2010年3月31日水曜日

カター・リグのニーナ

PSC424番艇ニーナのファーラー、トップ部分は [1月に見た] が、今日はボトムの写真。

SSプレイトを当て、スルー・ボルト+ナットで留めたバウスプリット。






少なくとも1980年代中頃まではバウスプリットは [3本留め] だった。デッキの裏側にはアフトの2本分だけをカバーするやはりSS製の短いバッキング・プレイトが当ててある。フォアの1本はデッキのエッジに近く一段高くなっているため円盤が当ててあるだけでバッキング・プレイトはない。

その後の艇ではあまり役に立っているとは言えないそのフォアの1本をなくして [2本留め(2枚目の写真参照)] となったが、このカター・リグのニーナでは2本留めと同じ長さのプレイトながら、ボルトを3本にし、前2本を使って、イナー・ジブ・ファーラーのボトムを留めるための長いアイ・プレイトを装着してある。

尚、ボルト3本式のセレニティーでは、ボルト1本を使って短いアイ・プレイトを装着(現在は一番アフトの1本を使用)、そこにワイヤー・ラフ・ステイスルのタックについたペンダントをセットする。

1980年代中頃まではブルピット・レイルも下の横棒のないタイプだったが、後の艇ではこのタイプとなる。

後ろにアンカー・ロードを巻き取るウィンドラスが見える。フリッカのような小型艇では必要性を感じないが、歳をとると便利を通り越して必需品になるのかも知れない。







(写真はいずれもPSC製434艇中424番目 Nina です。)
フリッカ・ホームページのフリッカ・データベースにあるニーナの紹介

2010年3月30日火曜日

ソールト・レイクのクム


新調したメインスルとジブで帆走中。










新艇時(1983年)の古いメインを使っていた頃のクム。








ヘッスルはクルージング(アシメトリカル)スピネイカー。

0~6ノットの弱い風の時はこのセイルかドリフターが欲しい。小生どものセレニティーにはいずれも付いて来なかった(小生どもは恐らく3代目オーナー)。フリッカ140%ドリフターと表記のあるセイル・バッグだけはあったが、中身がなかった。ドリフターがあればこの写真のように3~4ノットの風でも帆走できる。いつか購入したい。

しかしライフラインやポート・ガラスの交換など、先にやりたいことが残っているのでその後になりそうだ。

(写真はいずれもPSC製434艇中265番目 Kumu です。)
USヤフー!フリッカ・グループ

尚、当ブログの左上、白い検索フィールドに Kumu と入れて Enter キーを押す、または虫眼鏡のアイコンをクリックすると、過去の記事がこの本日の記事の下に掲示されます。

2010年3月29日月曜日

無風 (Video)

* 画面が黒くなっている場合でも、スタート・ボタンをクリックされ度。
* Click "Start" button on the viewer, even when it shows nothing but pitch black. Video will play.




潮下り陽射しも香る春風は白帆を揺らし落ち着かずとも (南辺無風)

(ビデオはPSC製434艇中295番 Serenity です。)
日本のヤフー!フリッカ・グループ

2010年3月28日日曜日

ゴーイング・アロフト

このフリッカは一昨日見たノー'スター製11番艇の Hrai Roo (H はサイレントでライ・ルーと発音)。















2002~2003年、シアトルからアメリカ西海岸、バハ・カリフォルニア、南太平洋をクルーズしてシアトルに戻った。

同艇の航海写真ログ [ペンリン島のページ] (September 29-October 10, 2003)には、アメリカ西海岸から同島まで航海し、そのまま島の砂浜に残されたPSC製フリッカの姿も見える。

尚、先日ノー’スター製フリッカではシュラウドが各舷2本づつ(アッパー、ロウアー各1本)と書いたが、それは間違い。チェインプレイトは各舷2個づつだが、前の1個にロウアー・シュラウドのフォア、後ろの1個にはロウアー・シュラウドのアフトとアッパー・シュラウドの両方を張ってある。( [こちらのページ] も訂正済み。請ご容赦。)

(写真はノー'スター製20艇中11番目 Hrai Roo です。)
Hrai Roo 航海写真ログ 。ページ上部にある各リンクをクリック、クルーズ先々で撮影された写真もご覧あれ。

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標題とは関係のない、YouTube にあるフリッカ・ビデオのシリーズ第2弾。最終日(今回はミニ・シリーズです)の今日は、2009年オレゴンからハワイまで航海したスヌーカムスの [太平洋をサーフィン]

2010年3月27日土曜日

ウィスパー

1981年製。現オーナーの手に渡ったのは1年半程前だが、1シーズン超で早々と売りに出された。

どうも意気消沈して顔色もさえないようだ。
















この艇のティークは以前から何も塗られていないのでそれはそれで良い。しかし、トウ・レイルやプラットフォームはティークでも、バウスプリットはティークではないのでニスかペイントの保護が必要。

現オーナーは何も手を入れていないようだ。10数ヶ月でかなり荒れてしまった。







ちなみに、これは2008年10月、前オーナー時の写真。









雨や雪の多いパシフィック・ノースウエスト。腐りやすい木部には注意。

ティークはブロンズ・ウールで表面の汚れを落とすように磨くだけで生地が出て新品同様になる。





生地の上にセトールなど保護剤を塗布すれば艇の見栄えも見違えるようになる。

ハルヤードなどラニング・リギングも全部交換時期のようだ。

出来ればステイやシュラウドも交換したい。

この右舷側の写真は再び2008年10月のもの。

ハルヤードやリーフィング・ラインがコックピット前まで引っ張られたシングルハンダーズ・パッケージ仕様だ。










手入れをしてくれる良い買い手が現れることを祈りたい。









艇のエンジンはヤンマーの船内機。スターンの小さな船外機はディンギー用。







20フィート艇のフォア・デッキに7フィートのディンギーを載せるのは難しい。前方チェンバーのエアーを意図的に抜いている訳ではないと思うがどうだろう。

Vバース上の収納はない。











ギャリーにもドア付きのカボードがなく、この艇のインテリアは全般的にシンプルだ。

しかし、小奇麗さが保たれている。


レンジはオライゴ (Origo) の非圧式アルコール・兼・電気コンロ。一口だが新品は500ドルもする。アルコール・コンロは電気のない所で、電気コンロ (120V 1100W) はマリーナで、と使い分ける。

(写真はいずれもPSC製434艇中182番目 Whisper です。)
Whisper のスルー・ハルについて
www.yachtworld.com キーワード欄に Flicka と入れてサーチ・ボタンをクリック。

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標題とは関係のない、YouTube にあるフリッカ・ビデオのシリーズ第2弾2日目。僚艇から撮影した [Sampaguita] 。 (サンバギータの写真は [こちら] 。)

2010年3月26日金曜日

別のノー'スター

背景には椰子の木。アメリカ艇だが、掲げたコータジー・フラッグ(訪問地の国旗)はメキシコの旗。太平洋岸バハ・カリフォルニアかその南のアカプルコあたりと思われる。いずれにしてもクルーズ先としては申し分ない。(注:このノー’スター製11番艇ライ・ルーはこの後 [南太平洋を周って] からシアトルに帰った。)

この艇はノー'スター製には珍しく、バウスプリットにプルピット・レイルとプラットフォームが付いている。





PSC製に先立つノー'スター製フリッカは1977年までに約20艇が作られたが、細かいところはまちまちで [1番艇?][2番艇][17番艇]、どれを見てもこの艇と比べてそれぞれポートの形やトウ・レイルの下にあるラブ・レイルの位置や形などがちがう。

[18番艇] にはユニークなアフト・キャビンまで付いている。ノー'スター製フリッカのデッキや艤装はウエスタリー社が担当していたが、セマイ・カスタムとして融通の利く生産をしていたようだ。

(写真はノー'スター製20艇中11番目 Hrai Roo です。)
Hrai Roo 航海写真日記
Toucan ホームページ。 Flicka Pics の各ページを参照。

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さて標題とは関係のない、YouTube にあるフリッカ・ビデオのシリーズ第2弾。初回の今日は、たまたま [ギャーフ・リグのノー'スター製フリッカ] 。この艇もバウスプリットにプルピット・レイルとプラットフォームが付いている。

場所はフロリダ。すでに友人に売却してしまった艇だが、いつでも借りられるそうで、この日は親子三代5人でセイリングを楽しんでいる。

2010年3月25日木曜日

コックピットのないフリッカ - リストア進行中 4

スターボード(右舷)側コックピット・シートの中央部にラザレット(ロッカー)の開口部を付ける作業。

艇から外したコックピット・シート上に、枠組みの完成品を載せてみたところ。

これからコックピット・シートをカットしてこの枠組みを嵌めこむ。










枠組みを嵌め込んだコックピット・シートを艇にセットした。この枠組み部分にフタを被せることになる。




スターン部両舷のシート間にラザレットを作ることはしないのだろうか。もしかしたら前方コンパニオンウェイ下のブリッジ・デッキと同時に作成するのかも知れない。

(写真はいずれもPSC製434艇中、番数不明、1980年製フリッカです。)
⇒進展状況は [ここでチェック]

2010年3月24日水曜日

ウィッシング・スター

このフリッカは以前登場したノー'スター製 ([1][2] )。

テキサス州ヒューストン近郊ギャルヴェストンあたりを帆走中。

円形の小型ポートライトが3つ並んでいる。一番前のポートらしきものは実はポートではなく航海灯。









マルコーニ・リグでもチェインプレイトは各舷2個づつのようだ。前のチェインプレイトにはロウアーシュラウドのフォア、後ろのものにはアッパーとロウアーのアフト各1本を張っている。

フォアステイのアッパー・エンドがマストトップよりも下に装着されたフラクショナル・リグだ。(フラクショナル・リグはジブの面積が小さくなるので風上に上りやすい。)

キールにプロペラ・アパチャーはあるが、船内機はない。船外機を使っている。






ラダーを船体に取り付けるピントル+ガジョンは一番上の組を除いてダブル装着にしてある。ラダーの喫水線から上の部分の形がPSC製とちがうのも興しろい。

スタンション、ライフラインがない。バウ・プルピット・レイルもないので、マストを倒した時は先の部分を特製サポートで支える。












マスト・スプレッダーがPSC製よりかなり後ろ向きに設置されているのは、一番上の写真で見てのとおり、チェインプレイトが各舷2個で、アッパー・シュラウドをアフトのロウアー・シュラウドと同じプレイトに引いているため。

PSC製では3本のシュラウド中、真ん中の1本がアッパーで、マストの真横に降りて来る。その両側(前後)にロウアーが張られている。

***

1998年には大掛かりなメンテ・改修が行われたという。もともとシアトル近くのサンワン諸島あたりをホームにしていたが、90年代後半に新しいオーナーの手でテキサスに移動したらしい。

その後現オーナーの手に渡ったが、2007年以降トレイラーに載せられ陸置きされたままになっており、今売りに出されている。

(写真はいずれもNor'Star製20艇中017番目 Wishing Star です。)
フリッカ・ホームページ、売りに出ているフリッカのリスト

2010年3月23日火曜日

PSC最初のフリッカ・ブローシュア

パシフィック・シークラフト(PSC)のフリッカ・ブローシュア3種類の中、最初のもの。フロリダのディーラーに保存されていた。

まだフリッカの実物写真がなかったため、ビンガム提供のこの画像を使用した。PSCフリッカ1号艇(正確にはPSC製モールドによるPSCフリッカ1号艇)は1978年4月にニューポート・ビーチで [進水、初帆走] を行った。

このブローシュアの作成時期は1号艇の進水に先立つ1977年と思われる。表紙に新型のモデルA(A型)発表とあり、ギャーフ(ガーフ)リグがフィーチャーされている。

1977~78年当初はマルコーニ・リグだけで、その少し後、モデルAとしてギャーフ・リグを追加したのであれば、1980年前後作成のブローシュアと考えられなくもないが、モデルA = フリッカで、1977年印刷のものと考えた方が自然ではないだろうか。








見開きの左上にもギャーフ・リグ。しかし、中央にはマルコーニ・リグの大きな絵。

別ページのテキストにはモダンなスタンダード・リグのマルコーニ、トラディショナルなギャーフ(ガーフ)、どちらか選択できるとある。







サンタ・アナに30,000平方フィート(約28アール)の工場兼オフィスを開いて間もなく印刷されたものだろう。

(このフリッカ最初のブローシュア全体は [ヤフー・フリッカ・グループ] のブリーフケースに収録する。興味のある人はそちらで。)







これは1981年に生産が開始されたオライオン27のブローシュアに掲載された、当時のPSC製全艇のラインナップ。(絵はクリックして拡大。)

上からパシフィック・シーククラフト25・マークII、マリア・マークII、フリッカ、オライオン27 のプロファイル。






尚、PSCは1975年自宅ガレージで開業。その後小さな場所に移り、そこがすぐ手狭になったので本格的なサンタ・アナの工場に引っ越した。12~13年後(1990年代初頭)にフラートンにさらに大きな工場を作って移動し、同所で2007年まで営業。しかし同年、経営が行き詰まり、破産手続きを経て、東海岸ノース・カロライナ州に移動、現在に至っている。(フリッカ最後の艇は1998年製、またデイナは2007年以降シアトルのシークラフト・ヨットが生産を引き継いでいる。)

(絵上3枚はいずれも1977年頃のPSCフリッカ・ブローシュア、下1枚は1980年代初頭のオライオンのリーフレット裏面から。)
フリッカ・ホームページ

2010年3月22日月曜日

MdR のフリッカ - エンジン

珍しい3気筒エンジン。フリッカで3気筒エンジンを載せているのはこの艇だけではないだろうか。

Tridentの名前が見えるがどこで製造しているのか不明。









エアー・フィルターや発電機を外せばハッチからなんとか出し入れできる。それにしてもフリッカのエンジン・ルームに3気筒がフィットするとは驚きだ。3気筒だったら馬力は十分、振動も少なく静かだろう。

K2- の表示があるのでクボタ・ベースのエンジンかと思ったが、クボタの K2 は2気筒なのでちがうようだ。





不思議なエンジン。昔なら車を LA まで5時間飛ばして見に行くところだが、最近怠け者になってしまった。

[後記: その後、下のリンク先ページでクボタの3気筒エンジンと紹介された。]

(写真はいずれもPSC製434艇中、199番、1982年製 Corsair です。)
フリッカ・ホームページのデータベースにある同艇の詳細

2010年3月21日日曜日

MdR のフリッカ - インテリア

ギャリーを中心にインテリアもかなりパーソナライズされている。

画面一等右は通常アイスボックスのあるスペースだが、そこにはオーブン付きのギンボル式プロパン・レンジを設置。



ガラス絵の上には電灯。レンジの上に置いたフタをチャート・テーブルとして使える。

ギャリー前面全体にタオルや手拭いを掛けるパイプ。シンク下のスペースとその左の収納スペースは通気の良いルーヴァー付き扉でカバー。足元に見えるのはもちろん清水用の足踏みポンプ。

奥の棚、下の段は幅をミニマムにし、細長いカウンタートップのフタを置くスペースを作り出している。2口レンジのようにも見えるが、レンジはオーブンの上に付いている。深さ20㎝程のボックスではないかと思う。

レンジとオーブン。











家庭用と比べると小型だが、生活の臭いを感じさせる。リブ・アボードしていた可能性が大きい。

前方を望む。












ポートに付けた日除けと、ハル・イナー間のスペースを収納として利用するためにVバース両側に開けた各弦2個のオープニングが目を引く。

後方を見る。広い。

個室ヘッドのないオープン・レイアウト型だ。






シンプルだが居心地の良い、十分生活のできるスペースだ。

ヘッドはVバースにも見当たらないので、マリーナでは陸上施設、海上ではバケツを使うのだろう。(どんなセイルボートでも長距離外洋航海ではヘッドがあっても使用せず、バケツまたはそれに類したもので用を足す者が多い。ヘッドを海水で水洗すると独特の臭いがヘッドに立ち込める。)

(写真はいずれもPSC製434艇中、199番 Corsair です。)
www.yachtworld.com SEARCH ボタンの上の欄に Flicka と入力して検索するとリストアップされます。

2010年3月20日土曜日

MdR のフリッカ

サンタモニカ南隣りのマリーナ、マリーナ・デル・レイにはフリッカも多い。過去2~3年で1~2杯が売れて他の地域に移動してしまったが、今も大規模改修を完了したばかりの [デンジャラス] や今日のこのフリッカが売りに出されている。

1982年製のこの艇には各所に新艇オーダー時のオーナーの好みが反映されている。






通常各舷3本のスタンションも2本しかない。

スターン・プルピット・レイルもない。

トウ・レイルはティークではなくアルミ製。






(尚、PSCファクトリー・スペックのプルピット・レイルやスタンションの購入先については昨日 [出目金(?)のフリッカ] に後記を追加したので参照され度。)

バックステイは後期モデルと同じデュアル・バックステイだ。

艇のエンジンはディーゼル船内機で、この船外機はディンギー用。1920年代末に最初のモデルが出て、第二次大戦中に軍のスペックで24時間稼動し続ける高い信頼性を獲得した [イギリス製シーガル]。1997年以来製造されていないが今でも新品パーツが入手できる。



スターンにはメインシート用トラベラー。ファクトリーで装着したものだろう。その右下にはスターン・アンカー用のフェアリードが見える。

ラダーチーク(頬板)は痛みがひどく、新品を作って交換する必要がありそうだ。ティラーの姿も見えないが、例えばウエスト・マリーンで入手できるJ24用の差し込み部分の厚みを少し減らせば使える。

スターンに装着したブロンズ製ポートが目を引くが、その目的だけは今ひとつ釈然としない。






単なる収納スペースとは思えないが、船内機用ダッシュボード(計器盤)はどこだろう。

バウ・プラットフォームに搭載してあるのはブルース・アンカー。








ティーク・プラットフォームのアンカーやチェインが当たる部分にはSSパネルのカバーを付けている。

アンカー・ロード(チェイン+ロープ)の入るハウザー・パイプは楕円形ではなく円形の大型で、バウスプリットの真後ろ。船内機用の燃料注入口は左舷ではなく右舷。燃料タンクのヴェンティレーション(通気孔)も右舷スクロールワークの上にある。

これらの配置はプラットフォーム右舷に置いたアンカーから少し距離を取って左舷側に縦型ウィンドラスを設置するためのものと思われる。縦型ウィンドラスはデッキ上にはドラムがあるだけで、マシーンの殆どはデッキ下にあり、ロードをどちらの方向からも巻けるのが特長だ。

バウのプライマリー・アンカーがファクトリー・スタンダードの CQR ではなくブルース・アンカーであることと、上記バウ、スターンの各アンカー用のセットアップから、オーナーがカタリナ島のイスマスで頻繁に錨泊したことが分かる。かなりのシーマンだ。フォアステイにはハンクが下に落ちるのを防ぐ仕掛け(他の例 )も見える。

このフリッカはオリジナル・オーナーが自分の使い勝手を考えて仕上げた、出航回数の多い幸せなフリッカだったのではないだろうか。

(写真はいずれもPSC製434艇中、199番 Corsair です。)
www.yachtworld.com SEARCH ボタンの上の欄に Flicka と入力して検索するとリストアップされます。

2010年3月19日金曜日

シップス・ベル

視界100フィート(約33m)の朝霧の中を航行するトゥーカン。設定したコンパス・コース(針路)を保ち、GPSとチャートで位置を確認しながら、無事目的地に到着したという。












オーナーのロンはこの後さらに経験を積むため、自分の熟知している係留地近くの海域で、霧の出やすい夜間の航行もしてみたそうだ。

霧中、夜間、強風下、雨天下などでの実体験は他の何ものにも変えられない。いつも今日は25~30ノットの風があるから出航しないなどと言っていては、マイルドな風波が急変したりした時、ぶっつけ本番で初めて悪天候や困難な状況に遭遇することになる。

これらの状況に備えて日常訓練を重ねておくことは重要だ。天候ごとに訓練目標・項目を設定して、気象状況に合わせて少しづつスキル・アップを図るようにすれば、いざという時に適切な判断を下し正しい行動がとれるようになるだろう。

これは同艇のシップス・ベルだ。








ベルは昔から主に [時間を知らせる] ために使われていたが、フォグ・ホーン同様、霧中の警鐘としても使われて来た。今でも相手に注意を喚起させるために使われる。

ベルには船名、造船年、造船所名が刻まれ(またはレリーフ状の盛り上げ)、その後船名が変わっても、ベルだけは造船時からのものをそのまま引き継ぐのが伝統で、難破した船は ID をベルで確認できた、と上のリンク先ページに書いてある。

また海軍人の子供の洗礼にはシップス・ベルを使ったそうだ。洗礼後、洗礼を受けた子供の名前をそのベルに刻むのも伝統だったという。

(写真はいずれもPSC製434艇中340番 Toucan です。)
Toucan ホームページ 左のメニューの Blog をクリック。

2010年3月17日水曜日

個室ヘッド数々

フリッカの個室ヘッド(トイレ)。新艇オーダー時にオーナーの好みに合わせてオプションや特注ができたのでいろいろバラエティーに富んでいる。

最もスタンダードなファクトリー・フィニッシのヘッド。







画面右側、ヘッド後方の収納スペースの下にヘッド用ホールディング・タンクがある。(ティッシュの乗った小さな棚は自作、これからステインやニスを塗るところ。)

この艇はハルの内張りをティークのスノコ張りにしてあるので、ヘッドの中も同様の仕上げ。ファクトリー・フィニッシ。














ソール(床)部分がティーク+ホーリー。下にオープン・ボックス型収納がない。代わりにヘッド後方に同様の収納が設えてある。

ハルのカーペットがソールのすぐ横まで来ているのは珍しい。カーペット張りはファクトリー、ソール部分はオーナー・フィニッシと思われる。





後方の収納は珍しいがファクトリー・フィニッシかも知れない。ここが塞がれているという事は、その後方、ホールディング・タンク上の広いスペース利用のため、そこにもコックピットからアクセスできるロッカーが設置されている可能性が大きい。

カーペットの内張りの代わりにティークを張った艇。ティークのスペーシングから見てオーナー(がプロに依頼した)フィニッシと思われる。ペーパー・ホールダーはファクトリー・オプション。

ヘッド後方に上の艇と同じ収納があれば、上の艇もこの艇もその収納が間違いなくファクトリー・フィニッシと言えるのだが、残念な事にこの写真では見えない。




尚、ヘッド前面の壁、上と中ほどに横に渡したレイルはコンパニオンウェイの差し板の収納用と考えられる。写真には写っていないが恐らく下にも一本渡してあるのだろう。このアイデアは興しろい。

ヘッド後方収納スペースに観音開きの扉付き。すぐ前の側面にあるフタ付きの小さな収納も含め、ファクトリー・フィニッシだろう。



中にはこういう簡素なヘッドもある。
















ヘッドのバルブは座って左側にあるものと思っていたが、このように右後ろに付いている艇が今日の写真だけでも4杯確認できた事は少し驚きだ。シートの左側にあるセレニティーが例外的なのかも知れない。

(写真一番上はPSC製434艇中340番 Toucan、一番下は281番 Nitnoy、その他の艇は番数・艇名不詳。)
Toucan ホームページ

出目金(?)のフリッカ

このフリッカは [オーシャン・ジプシー] 。オーナー・コンプリーション・ボートだ。

この艇のポート(窓)は後ろの大きいものだけが開閉式。









大きいポートが殊更突き出て見えるのはなぜだろう。前二つのポートが締め切り式でフラットだからそう見えるだけだろうか。また、なぜか大きいポートのベース周りだけブロンズの緑青がないので、その分余計にポートが誇張されて見えるのだろうか。

周知のように、船外機仕様としてオーダーされた初期艇にはキールにプロペラ用アパチャー(切り込み)がない。



船外機と言えば、機走・機帆走時、波で艇が大きくピッチングする(前後に揺れる)場合、このようなロング・シャフトでもプロペラが海上に出て空転する場合が無きにしも非ずと言う。

しかし、船内機、船外機はそれぞれ初期価格、燃費、安全性、操舵性、メンテのしやすさ、艇のトリム(バランス)などの点で長所短所あり、一概にどちらが良いとは言えない。自分に合ったものを選べば良い。USフリッカ・グループへの書き込みでもオーナーの好みは二分している。というよりそれぞれ自分の持っている艇のものが気に入っている様子。

個室ヘッド型か、オープン・レイアウト型か、などど同様、慣れればどちらでも良いことのようだ。どのフリッカでもメンテの良さがキーになる。

***

後記: 奇しくもこの2日後、米時間3月18日にオーシャン・ジプシーの現オーナーからUSヤフー・グループに投稿があった。バウ・プルピット、スターン・プルピット、ダブル・ライフラインのスタンションを取り付けたいと調査し、PSCにこれらのパーツを供給していた [部品メーカーを突き止めた] という。

メーカー: Railmakers, Inc.  Costa Mesa, CA.
(担当:Dave Hawley 電話:949-642-6506)
バウ・プルピット = $500、
スターン・プルピット = $600、
スタンション = 一本 $50
(高さ24インチ、ダブル・ライフライン仕様、デッキ・ロール設定アングル5度)

以上、PSCのオリジナル・スペックどおりの製品。同社にはまだ製作のための治具もそのまま残っているという。(尚、価格は1年前のもので、それぞれ単発オーダー価格。梱包費・送料別。)

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(写真はPSC製434艇中136番目 Ocean Gypsy です。)
フリッカ・ホームページのデータベースにある同艇の紹介

2010年3月16日火曜日

有りもので済ますコックピット・テーブル

セレ二ティーにはコックピット・テーブルがないので代用品で済ませる。
[木のテーブル] を作ろうかとも思ったが、使わない時は単なる荷物だ。

収納スペースが限られている小さなボートでは、いま艇に有るものを利用した方が合理的ではないか。

そこでウィスカー・ポール+ウィスカー・ポールと同じ長さに伸ばしたボート・フックで枠をつくる。






ブームに回した1本のラインの両端を使って各ポールをローリング・ヒッチで固定する。スターン側はそれぞれリーフ時に使っているラインの切れ端でプルピット・レイルの柱にヒッチ。

キャビン内から持って来た板は奥から (1) エンジン・ルームのカバーを裏返しにしたもの、(2) スターボード・セッティー下の収納のフタ、(3)Vバース下の収納のフタ。

時間はかからない。ここまで設定するのに2~3分。見た目より驚くほど安定性がある。






有り合せのテーブル・クロスを掛けて出来上がり。









大人4人がゆっくり腰を掛けられる。V字型なので出入りが実に簡単。

2人の時は2枚で十分だ。











足元にテーブル用スタンドがないので、レッグ・ルームが広く、使い勝手はすこぶる良い。






夏場、セイリング後テーブルを広げる時間には西日がきつい(ちょうど右舷から入る)ので、そこにワイヤー・ラフのステイスルを張ろうと思う。

(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・ホームページのフリッカ・フレンズ・ニューズレター