2010年3月13日土曜日

ラトリンズ(Ratlines)

シアトルの [アメリカン・パイ] のラトリンズの写真を、トゥーカンのオーナー、ロンが撮影した。トゥーカンでも実用として片舷にラトリンズ装着を考えているそうだ。

ラトリンズはシュラウド3本中、マスト・スプレッダーの下から出ている2本のシュラウドの間に仕込む。


スプレッダーから上に4~5段の折り畳み式マスト・ステップ (このリンク先一番下の写真) を付ければマストトップまで上れる。ラトリンズだけでも海面下や海面すれすれの岩礁、漂流物など、障害物を見張るのに重宝するだろう。

装着の際、2本のシュラウド間のスペースを締め込むのは避けなければならないが、緩すぎるとステップが滑る。ちょうど良いスペースでセットしていくのは難しそうだ。

ラング(ステップ)装着部分のシュラウドには何か(ラニヤード?)を巻いて滑り止めにしてある。


ラング両端に差込んだボルトを締め込んで装着しているが、板はシュラウドの通る孔から外側の部分を幅何mmかにわたり中心部を除去した上でシュラウドに挟み、除去した部分を差し戻した上でボルト・ナットで締め込んでいる。鋸クズとして落ちた分だけ締め込めるのでうまく装着できるのだろう。

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ラングには板の他、ロープを使う方法もあるが、プロはその場合も3段目毎くらいに板を使うことを推奨している。全段がロープの場合、ラトリンズに登った時、体重で2本のシュラウドがお互いに引き寄せられ、シュラウドを締め付けすぎることを防ぐためという。

また、下の段からボトム・アップで装着して行くよりも、トップ・ダウンで付けていくのが良いそうだ。既に装着した段に乗って上の段を取り付けて行くと、特にロープの場合、2本のシュラウド間のスペースを順次ガチガチに締め上げていくことになるからという。(上の方はボースンズ・チェアなどに座って作業するしかない。)

いずれにせよ、スプレッダーまでのラトリンズ+それから上4~5段は折り畳み式マスト・ステップ、という考えはなかなか魅力的だ。将来のプロジェクト・リストに載せておきたい。

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尚、一番下の踏み板に開けた孔は [ビレイング・ピン] を差し込むためのもの。

(写真はいずれもPSC製434艇中 066番、1979年製の American Pie です。)
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