2011年3月31日木曜日

スパーキー - オン・トレイラー

一昨日のフリッカ、[スパーキー] 。 現オーナーのジムはスパーキーに10年以上乗ってきた。

航海灯は初期タイプでステム上部両側に付いている。









バックステイは右舷側にミニ・バンプキンで張り出したオフ・センターの1本式。ラダー両側にある孔はコックピットからの排水口。



いずれも初期PSCフリッカの特徴。

初期フリッカにはマスト・アーチ下のポスト(柱)がないので室内のオープンさが強調される。





Vバース上の収納キャビネットのドアが後のPSCスタンダードのドアより小さめ。

ポートライト(窓)は全6個とも、厚さ1/2"のアクリリック。フレームは特注の厚さ1/8"SS製。固定式。





コンロ下が引き出しではなくルーヴァーのドアになっているのもPSC初期艇の特徴。ギャリー前のカボード(棚)は独特のオープン型。

バウスプリットとキャビントップのハンド・レイルは個性的な紅色のウッド。







マホガニーにしては赤すぎるし、名前も真っ赤な [ブラッドウッド] 、それとも [パープルハート] だろうか。ファクトリー製ではなく、後で換装されたものと思われる。

スタンディング・リギングはシャックル、ピン、ターンバックル等を含み全て2007年に換装。






トレイラーも2009年にベアリング、リム、タイヤ、ブレーキを換装する等、メンテに怠りは無い。

尚、Vバース下一等手前の収納(両舷側とも)、スターボード側セッティー下の収納、いずれもそのままフタ部分を厚さ1/2"のアクリリック板でカバーし、清水タンクとし、この3つのタンクからの配管をシンク下でマニフォールドに繋いだ後、活性炭のフィルターを通し、フット・ポンプで汲み上げるようにしてあるそうだ。容量は〆て約35ガロン(約140ℓ)。スパーキーは船外機仕様なのでセッティー下の燃料供給+リターン・ライン配管の心配はない。

(写真はいずれもPSC製434艇中058番 Sparky です。)
フリッカ・ホームページの歴代カバー写真

2011年3月30日水曜日

配管: 給油ラインと燃料タンクのヴェント・ライン

本日で1984年製フリッカの配管シリーズは終わり。

船内機用燃料(軽油)タンクは船首のVバース下にある。

Vバース・クッションを取り外したところ。










一等上の台形のフタの下がタンク。フタ手前側にはフタを開ける時に指を入れる孔と、タンク・トップに付いている燃料ゲージ(メーター)を読み取るための少し大きめの孔が開けてある。

手前4枚のフタは収納スペースへのアクセス口。

フタを外したところ。

アルミ製タンクの上面、左下が燃料ゲージ。その右はタンク製作会社のラベル。



真ん中の大きい円形のフタはタンク内部清掃用のアクセス口。

前方のホース2本中、太い方がデッキからの給油用、細い方はタンク内の気圧を大気圧と同じに保つためのヴェント(通気)ライン。

尚、タンク手前には [以前見た] エンジンへの燃料供給ラインとエンジンからの燃料リターン・ラインが装着されている。



本日主題の給油ラインとヴェント・ラインの各装着口。

共にここからステムに沿って上前方のチェイン・ロッカーへ上る。


チェイン・ロッカー側に出て来た各ホース。










ロッカー底部に重なったロード(ロープ、チェイン)のため見えないが、右舷左舷方向に並んでいたホースは上に行くに従い、左舷方向に傾きつつ細いヴェント・ラインが太い給油ホースの前方に回る。

突然ムサ苦しい姿を見せて申し訳ないが、これで位置関係が分かるだろうか。

下のクッションの下がタンク、その前の白い壁の向こうがチェイン・ロッカー。

Vバース上には収納棚があり、その前方がチェイン・ロッカー上部。ここがチェイン・ロッカーへの唯一のアクセス口だ。





上の写真は5年前、ヴェント・ラインに [燃料・エアー・セパレーター] を仕込んでいるところ。

ヴェント・ラインは燃料・エアー・セパレーター経由でハルの外へ。

(右の陸電コードは無視され度。セレニティーでは110-120Vの船内配線がないので、陸電は必要時にチェイン・ロッカー内に収めているコードをフォア・デッキ右舷側にあるハウザー・パイプから外に出してつないでいる。コードのもう一方の端は艇内に置いたサージ・プロテクターに接続。)


太い給油ホースはデッキ上の給油口に接続。










見ての通りデッキ・フィル(給油口)の方がハルに装着したヴェントより高いところにあるので燃料・エアー・セパレーター未装着の艇では給油時にトップ・オフ、つまり満タン・満ホースにしようとすると、燃料はデッキから溢れる前にヴェントから海面に洩れる。いずれにしろ給油はホースに入る燃料の音の変化に注意しながら行い、無理して入れ過ぎないことだ。

フォア・デッキ左舷側のデッキ・フィル。










左舷スクロールワークの上にあるヴェント(ホースの接続口 = 通風孔)。















尚、アルミ製タンクは経年劣化でピンホール・リークが発生、微量の軽油がビルジへ流れ込むこともあり、[タンクを換装] したオーナーもいる。

(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・スペックのページ

2011年3月29日火曜日

スーツ・オブ・セイルズ

[ミネソタ州中部] のフリッカ 『スパーキー』 のセイル一式。

芝生の上はセイルが汚れたり傷付いたりせず、セイルを広げてチェックしたり乾かしたりするには好都合で、時折目にする光景だ。

右上赤く見えるのがコード・ゼロ(code zero)とも呼ばれる、軽いナイロン製ドリフター。





横にまとめて置いてあるのは各セイル・バッグ。ドリフターの隣はバックアップとして取ってある古いメインスル。ブルーのセイルはスピネイカー。その下、左端は130%ジェノア。真ん中はツイン・ジブ(各々100%、色の濃い方が新しく、古いジブと交互にハンクできるようハンク縫込み位置がずらしてあり、1本のヘッドステイに2枚のジブを同時にホイストできる)。小さいセイルはストーム・ジブ(ハンク・オン式)。一等手前にワイヤー・ラフのステイスル。

サード・リーフまで仕込んだ新しいメインは艇に艤装されたまま。








スパーキーは元々長い間ロサンジェルスのMdR (マリーナ・デル・レイ) に係留されカタリナ島まで何度も往復したフリッカ。 [この写真] はランデヴーでのグループ・ショット。一番左がスパーキー。オーナーの仕事の関係でミネソタに移動したが、今週売りに出された。

(写真はいずれもPSC製434艇中058番 Sparky です。)
フリッカのリグ

2011年3月28日月曜日

冬でも錨泊

シアトルのフリッカ 『トゥーカン』 、去る2月 [スクアジン島] 南岸沖で迎えた錨泊の朝。












左舷奥に見えるのは [レイニアー山] 。この内海のピュジェット・サウンドでは殆ど何処からでも見える。

(写真はPSC製434艇中340番 Toucan です。)
Toucan ホームページ・ブロッグ

2011年3月27日日曜日

リトラクタブル(格納式)バウスプリット

カリフォルニア州 [サンタ・バーバラ] のフリッカ 『シャンティー』 。

シャンティーのバウスプリットは恐らくフリッカの中でこの1艇だけではないかと思われる格納式。格納式にしたのはマリーナのスリップ(係留ドック)の長さに収まるようにする為だったそうだ。

バウスプリットを格納するとSS製プルピット・レイル込みで約4フィート短くなる。全艇長(バウスプリットや外付けラダーを含む)24フィートのフリッカが20フィートのスリップに入れる計算。言うまでも無く係留費が安くなる。















バウスプリット先端のクランズ・アイアンに装着のヘッド・ステイ、ボブステイ、ウィスカー・ステイ2本、計4本のステイを外して垂直に立てる。ブルース・アンカーはプラットフォームに装着したまま。

ファーリング・ジブ装備のヘッドステイはクランズ・アイアンから外した後、そのままデッキに装着したアイに仮マウントするようになっているようだ。















ステム上部、航海灯の上にはクランズ・アイアンから外したボブステイ(バウスプリットを下から引っ張るステイ)を仮留めできるアイが装着されている。バウスプリットは展開時ドック上に来るので艤装作業は楽にできるはず。

両舷のウィスカー・ステイはそれぞれSSプルピット・レイルに付いている下段ライフライン用のアイに仮留め (この艇は下段ライフラインを装着していないので好都合)。

***

デッキには分厚いSS製ブラケットが付けられ、バウスプリットの根元にはそれに折り畳み式にカプリングするSSイナー・ブラケットを装着。バウスプリットが定位置に収まると、横からロッドを入れ、ちょうどマストのフットをタバーナクルに固定するようにロッドをネジ止めする。

ブラケットの形はコックピットのないフリッカのアンカー [バウ・ローラー] (写真3枚目)に似ているが無論別物。

シャンティーはこの他にも実にユニークな特徴のある艇で、これからも追々取り上げたい。





シャンティー(Shanti)は Santhi、Shanthi とも書くようで、周知のようにサンスクリットの शान्ति、śāntiḥ が語源。平和、平穏、静穏、安心、落ち着きの意味。

(写真はいずれもPSC製434艇中、番数不明、1980~83年頃製 Shanti です。)
USヤフー・フリッカ・グループ

2011年3月26日土曜日

トンデレイヨの新作バウスプリット

フロリダ州 [セイント・ピータースバーグ] のフリッカ 『トンデレイヨ』 。数年前に初代オーナーから現2代目、フレッドの手に渡った。

フレッドは購入早々ラダーをハルに装着するためのブロンズ製金具ピントルが傷んでいたので3本共新たに鋳造してもらって交換。この2月にはバウスプリットとプラットフォームも新作を発注、先日完成した。

バウスプリットも両側のプラットフォームも全部ティーク。バウスプリットが8ポンド(3.63kg)、プラットフォームが各4.5ポンド(2kg)、全部合わせて17ポンド(7.6kg)。

尚、ファクトリー製はダグラス・ファーのバウスプリットが5ポンド(2.3kg)、ティーク製プラットフォームは各4.5ポンド(2kg)、合計14ポンド(6.3kg)。






ファクトリー製バウスプリットは3層のラミネートになっているが、この新作は3層は3層でも真ん中の2層目は1層目や3層目と目の向きを直角にして張り合わせているのが特徴。このため2層目は木を3本合わせて作る必要があったようだ。接着にはすべてエポキシを使用。

プラットフォームはどちらも1枚板。ファクトリー製では前方のオープンニングはほぼ長方形だが、この作では角にストレスが懸かるのを避けるためもっと丸くしてある。

尚、バウスプリットをデッキに装着する3本のロッド(ロッド両端はネジ切りしてある)用の孔の直径は3/8"(9.525mm)。プラットフォームを両側からバウスプリットに取り付けているロッドの径も同じ。

新作への換装のきっかけは3層のファクトリー製バウスプリットに剥離が見られたからだが、外した時の点検では腐食は皆無だったという。しかしダグラス・ファー製バウスプリットが腐食したという話は良く耳にする。ティーク製バウスプリットにして安心だろう。

プラットフォームまで同時に作り直したことにオーナーの思い入れが感じられるが、実はSS製プルピット・レイルも新品を発注済みで現在それが届くのを待っているところという。まとめて装着できる日が待ち遠しいことだろう。






(写真はいずれもPSC製434艇中217番、1982年製 Tondelayo です。)
⇒ リーフレットや雑誌広告に使われた 嵐の中の同艇のエピソード
⇒ 和訳は 日本のヤフー・フリッカ・グループ のブリーフケースを参照。(註: 同艇のハル番号は20番ではなく217番が正しい。)

2011年3月25日金曜日

冬篭り

寒い地域ではオフ・シーズン中、自宅敷地内で艇に風雪避けのボート・カバーをかけて保管するフリッカ・オーナーが多い。

アイリッシ・ペニーもメイン州の冬を自宅で過ごす。









必要に応じ内部点検ができるようにカバーのコックピット昇降部分は着脱可能。

内部を覘いたところ。

カバーを支える竜骨状枠組みについては [こちら]






カバーを地面からドーム状に支える骨組みを [アルミ・テューブ] で作ったフリッカ・オーナーもいる。

(写真はいずれもPSC製434艇中、番数不明、1990年製 Irish Penny です。)
USヤフー・フリッカ・グループ

2011年3月24日木曜日

係留中のアイリッシ・ペニー

アメリカ最北東部 [メイン州] 沿岸は夏場の避暑地として有名だ。海岸線はこの写真のように複雑に入り組んでいる。

アイリッシ・ペニーは同州南部ポートランド近辺をホームポートにしているが、ニューヨークなど東海岸の蒸し暑い地域に住んでいる人々の中には入り江から入り江へ移動しながら夏の殆どをそっくりメイン沿岸で過ごすセイラーたちも少なくない。

見たところどうもマスト・レイク(傾斜)が古いスクーナー並みで激しすぎる気がする。






フリッカ設計上のマスト・レイクは1.75度で、マストの高さ 1' あたり 3/8" (30.5cm あたり9.5mm) スターン方向に倒れる勘定になり、キャビン・ルーフトップからのマスト高を27.9' (8.50m) とするとマストの天辺が根元より10+3/16" (26.4~26.5cm) 後ろにあることになる。

アイリッシ・ペニーでは設計どおりなのか、それより2倍位倒れているのかこの写真では何とも言い難い。もしかしたら積載物のためスターン方向にトリムが偏っており艇が水平ではないのかも知れない。

***

自艇のマスト・レイクを簡単に実測するには艇のロンジテューディナル・トリムが正しいこと(艇が船首船尾方向に水平であること)を確認して、メイン・ハルヤードの先に錘(重り)を付けルーフトップまで降ろし、マストの根元から錘までの距離を測れば良い。セレニティーではおよそ10.5" (26.6cm) だった。

尚、マスト・レイクは多少のウェザー・ヘルムを産み出すために必要で、フリッカではウェザー・ヘルムが足りない場合、バウスプリット先端の [クランズ・アイアン] 上部のヒレにあるヘッドステイ装着孔2個の中、後ろの孔に装着し直すだけで帆走パフォーマンスが向上するそうだ。

(写真はPSC製434艇中、番数不明、1990年製 Irish Penny です。)
⇒ 同艇の インテリアと陸置の様子 (クリックすると本日の記事の下に各記事が掲出される)

2011年3月23日水曜日

リトラクタブル(格納式)レイジー・ジャック - 追加

一昨日見た手製 [レイジー・ジャック] のセットアップ。クロースアップ写真2点がオーナーから追加された。

写真はクリックで拡大。

レイジー・ジャック上部のラインをコントロール・ラインとして下に引けるようにするためマスト側面に付けたチーク・ブロック。



コントロール・ラインをヒッチするクリート。










レイジー・ジャック下部のラインも格納時このようにクリートに掛けてからコントロール・ラインを引いているのでブームやマストにピッタリ寄り添っている。

(写真はいずれもPSC製434艇中071番 Tern 改め Lady Bug です。)
フリッカ・ブローシュア(14頁版)

2011年3月22日火曜日

デッキ・グランド補修

VHFケーブル用デッキ・グランドから雨漏りしたのでそこに [コーキング剤を埋め込んだ] ところ、以後約3週間大雨の日も有ったがリークは皆無だった。

しかしデッキ上のケーブルが動くためコーキングに柔軟性があるとは言えコーキングとケーブル間に隙間が生じ易いのではないだろうか。

そこで念のためケーブルをビニール・テープでデッキ・グランドに固定した。







近い将来古いケーブルやコードを新品に交換しなければならない。その時は単にデッキ・グランドを新しくするか、 [パイプ型のスワン・ネックや箱型のケーブルポート] を装着するか充分検討したい。

それまでは毎年降雨なしの帆走シーズン後、雨季が始まる前(9月末)にテープを剥がしコーキングを確認、新しいテープを巻くことでリーク防止対策としたい。(テープは剥がれ易いので熱で収縮密着させる [ヒート・シュリンク・テューブ] の方が良いかも知れない。)

キャビン内。

水の流れた後はすっかり乾燥してウォーター・マークだけが残った。





いつかマスト下のアーチ部分全体に薄くエポキシを塗布しようと思っている。

ともあれ切って開いていたインシュレーション用スポンジを全体に平たく敷き戻し、ビニール・カバーもジッパーで閉じた。



このままもう少し様子を見つづける。

(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・ブローシュア (8頁版)

2011年3月21日月曜日

リトラクタブル(格納式)レイジー・ジャック

昨日のフリッカ、レイディー・バグはオーナー手製のレイジー・ジャックを装備している。

撮影のためレイジー・ジャックを展開してみせたところ。









レイジー・ジャックを装備しメインスルをフル・バトゥンにすると、セイルをダウスしたり(降ろしたり)、リーフしたりする時、セイルがサイドに落ちたり飛ばされたりせず、ブーム上に行儀良く降りてくれる。

その反面、セイルをホイストする(揚げる)時に、バトゥンがレイジー・ジャックに引っ掛かって難儀することもある。

レイディー・バグのオーナー、ピートはレイジー・ジャックをセイルのホイスト時には格納、ダウスまたはリーフ時には展開しておけるようにすることでこの問題を解決した。

セイルを降ろした後は、このようにレイジー・ジャックを格納している。

レイジー・ジャック上部はマストに沿って格納。




下部はブームに沿って格納。











両舷ともジャック上部のラインをターニング・ブロックに通し、下に引いてマスト側面のクリートにヒッチしてあり、格納・展開はそのラインで操作する。(マストに沿って格納した部分はグースネック辺りでマストにタイしてあるのではと想像する。)

尚、参考にした資料は [This Old Boat 誌の記事]

註:

(1) 同記事中の写真ではターニング・ブロックをスプレッダー下面に装着したアイに提げているが、レイディー・バグではマスト側面にチーク・ブロックを付けてある。これはプロのリガーに相談し、フリッカのスプレッダーは強風下でレイジー・ジャックをサポートできる程強くないのではないかとの助言を受け容れたからだ。

(2) SS製シンブルは格納している間マストに当たり雑音の源になったりマスト・ペイントを剥落させたりする。このためナイロン製にしたが、ナイロン製は紫外線に弱くSS製程長く保たないので定期交換の要有り。

(3) ラインは3ッ縒りのダクロン・ライン(径5/16")を使用した。

フリッカは小型艇なので$100ちょっとで出来そうだ。

(写真はいずれもPSC製434艇中071番 Tern 改め Lady Bug です。)
⇒ フリッカ・データベースにある [レイディー・バグ] の紹介。

2011年3月20日日曜日

てんとう虫

まだ明るい空にハーフ・ムーンを望みながらムーアリング・ブーイー(常設アンカー)に係留中のニューヨーク州 [ママロネック] のフリッカ 『レイディ・バグ』 。 旧名 『ターン』 から改名した。

鳥の名を艇名にしているフリッカは少なくないがターンは [海鳥の一種] で急降下ダイビングのうまい鳥だ(日本ではコアジサシか)。


こうやって改めて観てみるとターンもてんとう虫もフリッカの姿形に合っているような気がする。そういえば日本の [レイディーバード] もてんとう虫という意味だ。

(写真はPSC製434艇中071番 Tern 改め Lady Bug です。)
⇒ この071番艇はこれまで [4回取り上げた] (クリックすると本日の記事の下に過去の記事が掲出される)。

2011年3月19日土曜日

サンタモニカ湾

MdRのフリッカ、ノウマッド、サンタモニカ湾を帆走中。

風15~18ノット。メインもジブもフル。

ジブのみわずかに風を逃がしてディパワーしている様子だ。



ちなみにこの位の風で上る時はこの写真のようにルーワード(風下側)に座り、ジブを見ながら帆走すると良い。ルーワードに座ればジブのリーチが見える。

ティラーは親指と人差し指の間に入れ、またはそれに中指も添えて、首の横で軽く支えておく。ガチガチに握ってティラーと格闘しないこと。

艇は帆走しながらウェザーヘルムで自らゆっくり風に向かってヘッドアップしていく。ジブのリーチ上部を見ながらそのまま艇の動きに任せる。ヘッドアップし過ぎてジブの天辺近くがわずかにラフし始めたら、親指と人差し指の間のティラーを軽く操作してラフしなくなるまでバウを僅かにルーワードに戻す。艇速が上がって勢いが付いたらまた艇に自らのウェザーヘルムでゆっくりヘッドアップさせる。これの繰り返し。

風は分単位でパフ(一番強い風)とラル(一番弱い風)を周期的に繰り返す。上記のようにジブを見ながら軽く操舵して行けば風の変化にも無理なく対応できる。アメリカのオールド・ソールトはこの走法をまさに 『風を登る (Climb the wind) 』 または 『艇に風を登らせる (Let the boat climb the wind) 』 と表現する。

ヒール角は27~28度。












(写真はいずれもPSC製434艇中054番 Nomad です。)
フリッカ・ニューズレターのページ (最近は写真やトピックがフリッカ・ホームページ中のブログ集、また各個人のブログやUS・ヤフー・フリッカ・グループに出て、ニューズレターの媒体としての価値が殆ど消滅したため記事の材料が集まらず、新しい号は出ていない。しかしアーカイヴは興しろい。)

2011年3月18日金曜日

ティラー・テイマーとオートパイロット

ノウマッドのティラー下部。 Davis の [ティラー・テイマー] と Raymarine のオートパイロット用クランク型ブラケット双方を直列に装着している。

共にティラーにスルー・ボルトの孔を開けて装着。

孔のトップはカウンター・サンク(皿穴)+木のプラグで処理。


ティラー・テイマーのサポートを受け、オートパイロット稼動中。








尚、ティラー・テイマーは一般にはティラー・ロックと呼ばれるディヴァイスのひとつ。ラインが滑り、ロックし難い場合もあるというが、一般にティラー・ロックはビーム・リーチからクロース・リーチまでの間では使えるが、それ以上の上りではロックしないと言われている。また宣伝文句と違いオートパイロットのようにそれだけでいつまでも一定のコースを保ち続けるというものでもない。自動操舵の補助的な仕掛けと考えた方が良い。

***

ノウマッドはシングルハンドでのロング・クルーズを予定しているので、これらもそれに備えた、大切な準備の一環。

しかし、今のところデイ・セイリングやショート・クルーズの範囲を出る予定の無いセレニティーではどちらも付けていない。幸いフル・キールのフリッカはポイントによってはこのような装置によらなくても手放しでコースを保って帆走出来る。それ以外ではティラーを指2~3本で軽くコントロールする。セイル面積やトリムを調整し艇のバランスを取ってそのように帆走できるようにするのもセイリングの醍醐味(一番おいしいところ)のひとつで、そちらの面を楽しんでいる次第。

***

尚、ティラー・ロックにはラインまで含め [全パーツを揃えたキット] もある。錨泊・係留時のティラーの動きを留める道具として重宝している人もあるようだ。

(写真はいずれもPSC製434艇中054番 Nomad です。)
フリッカ・パッセージのページ フリッカ各艇の長距離航行記録を載せるページ。(全6ページ、各ページ一番下の Next>> をクリック。)

2011年3月17日木曜日

ノウマッドのメインシート

フリッカのメインシートには[ブーム・エンド型とミッド・ブーム型] がある。しかし、1977~78年のフリッカはブーム・エンド型はブーム・エンド型でも、センター部分だけが2段になったスターン・プルピットの [下段にセット] (リンク先トップの写真)するようになっている。

MdRのフリッカ、ノウマッドもそのタイプ。このタイプはメインシートがちょうどヘルムズマンの首の高さにあり、邪魔になりやすい。

ノウマッドではその不都合をなくそうとバンジー・コードでメインシートのフィドル・ブロックを吊りあげている。





同時にシート自体もカラビナーで引いて吊り上げ効果を高めている。

その仕掛けの帆走中のクロースアップ。

バンジー・コードをどこから吊っているのか不明。




バックステイにヒッチしているのかも知れない。

興しろいのは風が強くなるとこのようにクリートから取った別のシートに荷重を掛け、本シートはレイジーにしている事。



このセカンド・シートのアイデアは、ブーム・エンド型シートのフリッカ全艇に共通して使える有効なブーム・コントロール法ではないだろうか。シートの角度からしてブームが浮くのをかなり抑えられそうだ。

(写真はいずれもPSC製434艇中054番 Nomad です。)
フリッカ・ホームページの歴代カバー写真

2011年3月16日水曜日

帆走中リグのダイナミズム

MdRのフリッカ、ノウマッド。ポートタックで帆走中。

ヘッドステイとジブのラフ。

風15~18ノット。








ヘッドステイがセイルからの荷重でしなって(落ち込んで)いるのが見えるだろうか。これでもバックステイ(ノウマッドはオフ・センターの1本式)のターンバックルを4回転余計に締め込んだ後。バックステイを締め込む前のヘッドステイはもっと落ち込んでいたという。

ノウマッドにはハルヤード用ウィンチがなく、これ以上ラフのサッグ(落ち込み)をなくすのは無理のようだ。

マストのSTB側へのしなり。

セイルからの荷重でスプレッダーから上の部分がSTB側にしなっている様子。



ウェザー(風上)のシュラウドのターンバックルを締めこむ前はこの2倍くらいしなっていたとの事。

マストのキャンバー(スターン方向へのしなり)。

バックステイを締め込んだ結果のしなり。




セイルはややフラットになる。伸びきった古いセイルなのでビームリーチ~上りではこのトリムが特に有効。

追い風で走るラニングの場合は逆にセイルの膨らみを少しでも大きくするためにバックステイを緩める。

***

ちなみにセレニティーでは上り下りでバックステイのテンションをアジャストすることはしないが、やはり [スターン方向にしなっている] 。6年前の購入時にアンステップ、横にして無荷重で観察した時も同様にカーブしていた。長年(22年+)の締め込みでその形が定着してしまったようだ。

(写真はいずれもPSC製434艇中054番 Nomad です。)
フリッカのリグ

2011年3月15日火曜日

配管: 清水タンクのヴェント・ライン

ポンプによるタンクからギャリーへの清水供給を常時スムーズに行うためには、水位の変動でタンク内の圧力が下がってはいけない。そのためタンクにはタンク内圧力を大気圧と同等に保つためのヴェント(通気)ラインが付いている。

清水の出て行く供給ラインはタンク前面=船首側底部の孔に装着されている( [リンク先一番下の写真参照] )が、ヴェント・ラインはタンク後ろの面=船尾側上部の孔に接続されている。

タンクはクォーター・バースの下にある。

クッションを取り除くとマリン合板製のタンクの蓋がある。蓋にあるのは密閉した清水注入口。











タンクの後方にある収納スペースの蓋を外したところ。

タンクのヴェント・ラインはここから覗き込んで撮影する。











タンク後方上部の孔から延びたシースルーのホース。

インボード側の合板壁に沿ってスターン方向へ。



尚、ホース下、中途半端に延びたファイバーグラスの切れ端はタンクのファイバーグラスではない。タンクをハルに留めるための一片の端。タンクのグラスではないことを示すために意図的に突き出させてあるのだと思う。また、タンク本体やインボード側の仕切りも含め、目につくところは白いペイントを塗布してある。(余談だが剥き出しのファイバーグラスは紫外線に弱いのでペイントまたはジェルコートでカバーすることが必要。)

ホースにもペイントが付いてしまっている。










ホースはずっと後ろへ延びて...











このスペースの最後尾に近いところで仕切りの合板に開けられた孔を通ってエンジン・ルーム側へ。














白く塗られた合板のエンジン・ルーム側に出て来たホース。

上の合板はクォーター・バースの床より上に見える合板。


ホースはエンジン排気排水用ホースと並んでトランサムとコックピット後部の壁の間のスペースを喫水線より上に上る。













ずっと上に延びたホースは艇のセンターラインの所で下に降りて来て、エンドがそのままエンジン・ルーム内にとどまっている。

一度高く上に上げたことにより、艇がどれほどピッチ(ロンジテューディナル=船首船尾方向の揺れ)しても、ヒールまたはロール(アスワートシップ=右舷左舷方向の揺れ)しても、このホースを水が通ることはないのでこれでOK。



(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・スペックのページ