MdR(マリーナ・デル・レイ)のフリッカ、ノウマッドはロング・クルーズに備えて艤装も色々試しており、1年前にはメイン・ブームの [プリヴェンター] のセットアップを自分で考えて使っていたが、今は安く入手できる材料でブーム・ブレーキを考案し、テストを繰り返している。
ブーム・ブレーキは不意のジャイブを防ぐプリヴェンターではなく、ブームをゆっくりジャイブさせるための装置。
ブームにあるフォアのベイル(U字型金具)に付けたのは登山やロック・クライミングで特に下山時のスピードをコントロールするために使う Black Diamond ブランドのアルミ製 [フィギュア8ディヴァイス] 。
Wichard のブーム・ブレーキ [ジャイブ・イージー] を参考にしたそうだ。ディヴァイスの値段はWichard 製の約1/20という。もっともフリッカのような小型艇でなければフィギュア8のような小型ディヴァイスは使えないだろう。
フォアのロウアー・シュラウド底部トグルに付けた D クランプにHarkenの1/4"(" = インチ)マイクロ・ブロックを装着。
フィギュア8ディヴァイスからのラインはそれを通ってコックピットへ走る。尚、使ったラインは径3/16"の3ツ縒りナイロン・ライン30フィート。40フィートの方が使い勝手が良いだろうと感じたそうだ。
ウィンチに巻いてラインの張りを調整。エンドはクリートにヒッチ。
緩み過ぎると役に立たず、締め過ぎるとプリヴェンターになってジャイブできない(註)。何度もジャイブを試してちょうど良い締め具合を割り出したという。
さて、USフリッカ・グループではこのセットアップに関して色々議論が出ている。ノウマッドのオーナー、ビル自身はリガーとして定評のある [ブライアン・トス] のサイトのフォーラムに投稿して意見を仰いだ。ブライアンの意見は概要次の通りだったそうだ。
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(1) ブームのベイルにフィギュア8、フィギュア8にブームヴァング、と二つの違った役割の物を一つのベイルに装着している。ベイルが駄目になると二つ共駄目になる。
(2) ブーム・ブレーキに懸かる荷重の計算は出来ているのか。ブロックに懸かる荷重はラインに懸かる加重の2倍。マイクロ・ブロックはそれに見合う物を使っているのか。
(3) チェインプレイトにかなりのトルク荷重がかかる。
(4) ナイロン・ラインはダクロン・ラインよりはるかに擦り切れ易い。
(5) ラインの張りを調整していたとしても状況によってはブームがロックして危険な場合があるはず。
まだまだフィールド・テストで分析を重ね、安全性を確かめる必要があるだろう。
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註: ノウマッド・オーナーのビルはまさにこの理由のため、このセットアップをゆっくりジャイブさせるためのブーム・ブレーキとしても、またジャイブを防ぐためのプリヴェンターとしても使う積もりだそうだ。
後日註: オーナーのビルはUSヤフー・フリッカ・グループでラインの径は3/16"ではなく1/4"だったと記録を訂正している。
(写真はPSC製434艇中054番 Nomad です。)
⇒ ノウマッドの スローモーション・ビデオ (2011年3月)