個室ヘッド(トイレ)はハルの外から水洗用の水(つまり通常は海水)を取り込み、ポンプでヘッドに入れる。
コンパニオンウェイ下。
3個のスルーハル・シーコック中、左上の小さなものがヘッド用(左側のホース)とエンジン冷却水用(右側のホース)の取水口を兼ねている。エンジンもヘッドも使わない時はこのようにコックを閉じておくのがベスト・プラクティス。
尚、下2個の大きいシーコックはコックピットからの排水用。この2つはいつ雨が降っても排水できるよう、通常このように開けておく。
シーコックから延びたホースは個室ヘッドのソール(床)の孔から上へ。
個室内から見たところ。
手前の赤いレバーの向こうがソールから出て来たホース。一度上に上り、ポンプに降りて来る。
上った所にもコックが付いている。エンジン稼動のためスルーハルのシーコックを開放している間も、通常このコックは閉じておく。
フリッカのヘッドは海面下にある。スルーハル・シーコックとこのコック、両方を開放したままにしていると、例えばヘッドに付いているポンプの取水バルブに海草が詰まり弁が少しでも開いたままになっていたなどの理由で、ヘッドを使用していない間にヘッドから水が溢れ出し、艇を沈没させる危険性がある。
上から見たところ。
水をヘッドに入れる場合、黄色いレバーをインラインにしてこのコックを開け、ポンプの赤いレバーを画面右側に倒し、黒いレバーを上下させる。水は上の白いホースを通り、ヘッド内に入る。
適量の水がヘッドに入った時点で、赤いレバーを画面左側に倒し、黒いレバーを上下させると、汚水は下の黒い太いホースを通ってへッド後方の汚水ホールディング・タンクへ出ていく。
この作業をヘッド内の水がきれいになるまで3~4回繰り返す。
ヘッドを出た汚水は一度海面上の高さに上ってタンクに落ちて行く。ホース頂部にはヴェント(通気口)が付いている。
この所謂ヴェント付きループは艇が右舷・左舷どちらにヒールしても必ず海面上に出るような高い場所に装着されている。
このヴェント付きループの無い艇では、異物が挟まったなどの理由でヘッドのポンプの排出バルブが少しでも開いた状態になっていると、ホールディング・タンクから汚水を艇外に排出するためのスルーハルからサイフォン作用で水が逆流しヘッドから溢れ、艇が沈没することがある。
尚、
(1) 1983年末頃以降のフリッカではサイフォン作用による逆流を二重に防止するため排出用スルーハル(これについてはまた後日)がトランサム右舷側の海面上(喫水より少し上)に設置されている。
(2) 写真3、4枚目。セレニティーでは個室内の取水コックがヘッドに座ると左手に位置するように設定されているが、1980年代後半以降のフリッカではヘッドの [後方に設定] (下から2枚目)されているものが多い。
(3) セレニティーでは水洗に海水は使用しない。故に個室内の取水コックはいつも閉じたまま、かつ、ポンプの赤いレバーはいつも排出の位置に倒したまま、にしている。海水を使うとどうしても独特の臭いが個室に残る。ジャーやボトル、バケツなどに入れた清水を使って流すとその臭みは無くなる。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
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