2009年3月31日火曜日

3枚羽根のフォールディング・プロペラ

1980年代フリッカの標準装備プロペラは固定式2枚羽根だ。(90年代でもそうだったかも知れない。) 3枚式固定羽根はオプションだった。

帆走中、少しでも水の抵抗を少なくするために稼動していない時は羽根を折り畳んでいるフォールディング( )プロペラ。これにも2枚式、3枚式とあるが、今日は3枚式の話。

3枚式の利点は2枚式に比べて推進力が強く、特にバックの時にパワーがあること。





この写真はこの3枚式の利点と、水の抵抗を少なくするフォールディング( )プロペラという利点を兼ね備えた、イギリスのダーグロー社製JFプロペラ(設計はスウェーデンらしい)。詳しくは [こちら]**)。問題は値段。1個$1500位だが3個以上まとまると20%割引してくれるらしい。

* 後日註 1: このダーグロー社製品は羽根を折り畳むフォールディング式ではなく、抵抗を少なくするために羽根の向きを変えるフェザリング式の様だ。
** 後日註 2: 2014年5月にチェックしたところダーグロー社サイトからJFプロペラというブランドは消えてしまっている。同型はリンク先から Propellers > FeatherStream をクリック。JF から FeatherStream になって、羽根部分がブロンズではなくSS製になった様だ。

(写真はPSC製434艇中423番目 Caraway です。)
キャラウェイ・ホームページ

2009年3月30日月曜日

鳥払い (Video)

取り払い、じゃない、鳥払い (バード・スケアー Bird Scare) は言ってみれば、カカシ。マリーナに係留中、数々の水鳥に加え、カラスや鳩など、ボートに糞を落とす生物を近づけないためのもの。



CDを2枚張り合わせ、両面とも光るようにし、ラニヤードをつけ、ライフラインなどから吊るしておく。鳥はこの光って動く物体が自分よりも大きい鳥の目に見えて近づかないらしい。 付けてから2シーズン、フンの被害は99%無くなった。最低でも半年に1回はCDを交換し、輝きを保つ必要がある。雨の多い地域では交換頻度がもっと高いかも知れない。セレニティでは12-13箇所に設置してある。

(ビデオはPSC製434艇中295番 Serenity です。)
Flicka20_Japan

2009年3月29日日曜日

シーズン近づくSF湾 (Videos)

3月28日、今月最後の土曜日のセイリング。まだ本格的ではないが、午後には夏パターンの西風となり、充分デイ・セイリングを楽しめた。



10-12ノットの風を受け、フル・メイン、フル・ジブで帆走中。艇速4.7ノット。



(ビデオはいずれもPSC製434艇中295番目 Serenity です。)
Flicka20_Japan

2009年3月28日土曜日

Nor'Star - Westerly フリッカ

今日のフリッカも昨日の艇と同様、ノー’スター+ウェスタリー製。

ウッドのキャビンの造りは全く同じ。この艇が1975年製だから昨日の艇もその頃か。




キャビン内のニーとバルクヘッドがマストの荷重を支えている。(PSCは1977、78年頃に生産開始。)

ノー’スター+ウェスタリー製フリッカの特徴あるコックピット。コンパニオンウェイ前のブリッジ・デッキとスターンデッキの幅が際立っている。

この造りとコックピットの大きさそのものが当時の30フィート級のクルージング艇(例えばアメリカで最初にファイバーグラス艇を造り始めた、オレゴン州ポートランドにあった 『キャスケイド』 製ヨット)に大変似ている。

スターン横のスクロールワークはバウのものと同じ。

この写真で興しろいのはセイルを降ろしている時やリーフを入れる時にマストを載せる特製(?)のブーム・ギャローズ。横木の色が暗くてこの写真では見づらいが、通常アーチ型のギャローズが水平の角型。しかも前後のサポートのないパイプ・レールの上に立っている。

上からの荷重だけなら大丈夫だろうが、前後からのあらぬ衝撃には耐えられないのではないかと心配だ。

タンバーク色のセイル、ギャーフ・リグ。マストとブームはスプルース(マツ科トウヒ属)製。







第二次大戦中、ハワード・ヒューズが 『スプルース・グース』 という747よりも大きなプロペラ機を造ったのも同じ材木だった。

(写真はいずれもノー’スター製20艇中、番数未確認、1975年製 Oemai です。)
フリッカ・ホームページ

2009年3月27日金曜日

リブ・アボードのフリッカ

特に長期クルーズに出ていなくてもマリーナでヨットに住み着いている人たちがいる。艇に住むことや住んでいる人のことを Live-aboard というが、フリッカは20フィートでも結構リブ・アボードしているオーナーは多い。

このフリッカはPSC製ではなく、それに先立つノー’スター製。








ノー’スター製は20艇しか造られなかったが、まだ殆どが残っているのだろう、あちこちに良く登場する。ノー’スター製のフリッカといっても、ノー’スターはハルを造っただけで、後はやはり南カリフォルニアにあったウェスタリーという会社に任せていた。

ウェスタリーの作ったキャビンはすべてウッドだ。ウッドならではで、ボート・フックも天井に取り付けるように収納してある。セッティーの背もたれの裏にあるスペースを利用した収納へのアクセスとして整然と並んだ楕円形の開口部が良い雰囲気を醸し出している。

暑いフロリダのこと、セッティーには生活の臭いのする冷蔵庫や扇風機が置いてある。



ギャリーには電子レンジ、それにとてもセイルボートの中とは思えないランプ・シェイドもあったりして、コージーな棲家という感じがする。


フリッカは天井が高く(180センチ位)キャビン内の居住性が高いので、小型艇でもリブ・アボードには向いていると言える。これも長期クルーズで乗員を疲れさせないフリッカの特長のひとつだ。

(写真はいずれもノー’スター製20艇中、番数未確認 Bully です。)
フリッカ・ホームページ

2009年3月26日木曜日

土曜日のウォーム・アップ・セイリング(Videos)

先週末のセイリングの続き。



頭上を通るSF空港からのジェット機がちとうるさい。海上10cm位に置いた手持ちのキャメラで撮影。潮を被っても防水なので気楽。



艇のずっと後方に見えるのがサンフランシスコ市街。湾を南東へ向かっている。

(ビデオはいずれもPSC製434艇中295番目 Serenity です。) ⇒Flicka20_Japan

2009年3月25日水曜日

地中海のキャラウェイ

この艇はこれまでも度々登場したフリッカ・ホームページ管理人アンガスのフリッカ 『キャラウェイ』 。

ファクトリー製より30cmほど長い特製バウスプリットをつけているので、ヘッスル(これはジェノア)も大きくできる。



メインスルとポール出ししたジェノアのウィング&ウィングで追い風を目一杯受けて、快調にランしている。

こちらはジェノアを巻き、代わりにステイスルを揚げ、クロース・ホルドで風上に向かう同艇。このステイスルはイナー・ステイにハンクするのではなく、セイルのラフ(先端の辺)にステンレススティールのワイヤが入った、いわゆる『ワイヤー・ラフ』のステイスル。

通常このタイプのステイスルはハルヤードをキチッと引っ張っても、ハルヤードの伸びのため今ひとつ張りが足りず、パフォーマンスに影響する。



そこでアンガスはこのセイルのため [ダイニーマ(Dyneema)] のハルヤードを購入した。これで思い切り張り上げることができるようになり、上り角も稼げるようになった、という。バルクヘッドにある風向計(アパレント・ウィンド=見かけの風の角度)を参照 = 写真はクリックすると拡大。

(写真はいずれもPSC製434艇中423番目 Caraway です。)
フリッカ・ホームページ

2009年3月24日火曜日

ギャリーの流しの下

フリッカのシンク(流し)の下の話、2題。

シンク下のスペースはこのようにハルの形そのもの。底が斜めのため台所用品を置くにしても使いにくい。





剥き出しのハルの内側に見えるのはシンクからの排水用のスルー・ハル。右隣りのアイス・ボックスからビルジへの排水ホースも右下手前から左へ走っている。その他清水用、電気冷蔵装置用などのホース、テューブ類が見える。

このスペースを使いやすくするため、この艇のオーナーは他のオーナーの造りを参考に、簡単に取り外しの出来る2枚割りの底板を置いた。

現在、その上の奥に洗剤などを置く棚を製作中。ついでにSS製シンクの裏の錆びも落として...

再び錆びるのを防ぐため、銀色のペイントを塗った。









Vバースの下、燃料タンクの手前キャビン側にはかなり大きい収納スペースがあるが、やはりハルの形そのままに、両舷とも底が斜めなので使いにくい。両方の舷の合う一番底の部分はチェイン・ロッカーからの水がビルジへ流れる通り道でもあるので、濡れては困るものは置けない。そこにも幅30cmほどの水平な底板を置けば随分使いやすくなるのかも知れない。

(写真はいずれもPSC製434艇中340番目 Toucan です。)
Toucanホームページ

2009年3月23日月曜日

バウ・ウェイブズ(Videos)

昨日のビデオと同じ土曜日のウォーム・アップ・セイリングの様子 - Bow Waves 。 SF湾では久々に水の透明度の高い日だった。







この日、キャメラ用ブームは使わず、すべて手持ちで撮影。

(ビデオはいずれもPSC製434艇中295番目 Serenity です。)
Flicka20_Japan

2009年3月22日日曜日

ウォーム・アップ (Video)

サンフランシスコ湾。3月初旬を過ぎたあたりから、雨空が少なくなるとともに暖かくなって来た。風も日を追うごとに北風から北東、東、東南、南風と方向を変え、週日には南西、さらにシーズン中毎日決まって吹く西風に近い日も出てきた。

それでも週末になると決まって雨模様、雨が降らなくても無風、などオフ・シーズンの冬のパターンに逆戻り。シーズンに向けてのメンテや準備に力を入れるしかなかった。

だがやっと本日、時折小雨が降るくらいの天気ながら最高12ノットの風。夫婦で待ちに待ったシーズンの始まりを楽しんできた。5月末から9月が毎日好天のセイリング日和が続く本当のシーズンだが、いつも前と後ろを勝手に延長している。



出航前に、アルミパイプをハルのカーブに合うように曲げて先の部分に車の掃除に使うダスター2本を付けたり雑巾を巻いた、特製ボトム・スクラッバーで [ハルのスライム] を落とした。フリッカは20フィート艇だからこういう時は楽をする。

(ビデオはPSC製434艇中295番 Serenity です。)
Flicka20_Japan

2009年3月21日土曜日

クルージング・スピネイカー

スピネイカー・ポールなしで帆走できるクルージング・スピネイカー。普通のスピネイカーとちがい左右対称ではない。普通のセイルのようにラフ(前方の辺)が決まっているので、ポールなしでもOKな訳だが、その形からアシメトリカル(非対称)スピネイカー、略してAspinと呼んだりする。

UK(今はUK-Halsey)製のものはフラッシャーと呼んでいるようだ。






クルージング・スピネイカーはダウンウィンドのランの時だけでなく、このように幅広いポイントで使える。

また、風が弱い時に揚げるセイル、ドリフターの代わりとしても重宝する。どちらも生地が薄いので風を孕みやすい。



この日、風はどのくらいあったのだろう。3ノットくらいか。

フリッカではクルージング・スピネイカーのタックは、バウスプリット先端のクランズ・アイアンの上のヒレにある二つの孔の中、前方の孔にペンダント・ライン(この写真では右下のライン)を使って付ける。クランズ・アイアンの後方の孔はフォアステイ用。








(写真はPSC製434艇中373番目 Windfiddler です。)
フリッカ・ホームページのフリッカ登録データベース

2009年3月20日金曜日

ベティ・ジェイン

南カリフォルニアからハワイ、南太平洋、またハワイへ、など初期のフリッカで長期クルージングをした艇として良く知られている。













この写真はPSCフリッカの雑誌広告に使われた。その広告は [リーフレット] としても印刷され、ボートショーなどで配られた。クルージングの経路を書いた地図も載っている。

気になるのはマストが真っ直ぐ立っていること。ハルの喫水線を見るとハル自体は設計どおりに水平に浮いている。だがマストは真っ直ぐ、どちらかというとバウ側に1-2度傾いて立っているような印象さえ受ける。

マストの傾きを「レイク」と言うが、通常フリッカのマストはスターン側へ2度程レイクしているのが普通。これにより極くわずかなウェザー・ヘルム(艇が風上に向こうとする)が生まれる。

しかし、ラン、リーチ、クロース・ホルドなど、色々なポイント(風への角度)でセイルする日帰りのデイ・セイリングではなく、カリフォルニアからハワイの太平洋横断など殆ど後ろからの風に押されて進むだけの長距離コースには、セイルに追風を孕ませる意味でこの方が良いのかも知れない。

だがハワイからタヒチへの往復など、ランのコースではないはず。件のリーフレットに、20-25ノットの風の下、ワーキング・ジブとシングル・リーフのメインだけで24時間平均100マイルの距離をカバーした、とあるから、マスト・レイクは余程顕著でない限り、目くじらを立てるほどのことは無いのかも知れない。

(写真はPSC製434艇中、番数艇名未確認、Betty Jane です。)
PSCフリッカの印刷物各種

2009年3月19日木曜日

1980年製フリッカのエンジン

このエンジン、見覚えのある人もいるだろう。ヤンマーのYS8。

1GM と1GM10 は基本的にシリンダーのボアが違うだけで、外見は殆ど変わらないが、このYS8 は一目でちがいが分かる。


1GM10 は [こちら]

当然ながらフリッカのエンジンを据え付けるエンジン・ベッドの造りも違う。1GM 時代になるとエンジン下のスペースが広くなり、エンジン・パンと呼ばれるオイル等を受ける広い皿、とでも言うべきものが造り付けになっているのでメンテ作業がしやすい。

ちなみにYSシリーズはおよそ1978-80年、1GM は1980-84年、1GM10 はそれ以降の生産。[このサイト] はスウェーデンのサイトだが、日英両語印刷のYS8 マニュアル(handböcker)"Sprängskisser Yanmar YS-SB" などもあり、YS8 を使っている人は重宝するかもしれない。

(写真はPSC製434艇中、番数艇名未確認、モンタナ州オザークス湖にある1980年製フリッカです。)
www.yachtworld.com SEARCH ボタンの上の欄に Flicka と入力、検索するとリストアップされます。

2009年3月18日水曜日

ゴーイング・アロフト


マストに登ることをゴーイング・アロフト(going aloft)という。家屋にも「ロフト」付きのものがあり、上に登るが、同じ語源だ。

このフリッカは昨日の写真と同じ艇。マストに [マスト・ステップ] が付いていないので、コックピットに居る男がウィンチを使ってボースンズ・チェアに乗った男をハルヤードで吊り上げている。




フリッカのマストはPSC製のスループで喫水線上30フィート11インチ(9.42m)の高さ。ノー’スター製スループはそれより2フィート程高いが、中・大型艇ではくぐれない橋の下もくぐれる時があるかも知れない。

先週末、今シーズンに備えてハルとデッキの本格的清掃後 「ニューグラス2」 を塗布し、またキャビン内のティークにはレモン・オイルを塗ったが、そういう作業をする時も、しみじみ小型艇で良かったと思う。尚 Newglass2 はワックスではない。強いて言えば、女性が爪につける無色透明のマニキュアみたいなものだ。似た製品にポリグロウ = PolyGlow というものもある。新艇ではなく、経年3-4年以上のファイバーグラス艇に使う。ワックスのように頻繁に塗布しなくても良い。

(写真はPSC製434艇中、366番目 Scout です。)
フリッカのスペック

2009年3月17日火曜日

ハルとデッキの接合部

写真の奥のヨットは無視して、手前の艇を見て欲しい。これはメンテのためバウスプリットを外し、ハルとデッキの接合部に被せたティークのレールも外したフリッカだ。

左右の舷ともバウから後方へカーブを描いて伸びているシアーが高さ約2cmのブルワークスを形成しているのが分かる。

ハルとデッキの接合部はファイバーグラス製ヨットの造船上、一目で設計の良し悪しが分かる場所のひとつ。いくつか方法があるが、フリッカではPSCの他の艇と同様、垂直に伸びたハルの天辺から内側に向け、ファイバーグラスのヒレが5㎝ほど水平に伸びている。

一方、デッキの方は端に階段が一段出来たように、水平のデッキから垂直に上へ約2cm伸び、また90度曲がって、外へ水平に5cmほど伸びている。そのハルとデッキ双方の幅5cm部分が重なった場所が写真に見えるブルワークスだ。

お互いの5㎝ほど伸びたヒレを合わせて、ちょうど容器のフタでも被せるように、ハルにデッキがピタッと乗る。重なった接合部にはエポキシなどの接着材が水漏れ防止のため隙間なくふんだんに付けてあり、さらにネジではなく、デッキ(上)側からボルトを通し、ハルの内(下)側からウォッシャーをはさんでナットで留めてある。これでハルとデッキは一体化した状態になる。クルージング艇に最適の頑丈な造りだ。

この接合部断面のイメージは80年代のフリッカ・ブローシュア(パンフレット)では [9ページ]、90年代のブローシュアでは [7ページ] の右端に掲載されている。

前者はパシフィック・シークラフト(PSC)の創設者たちがオーナーとして頑張っていた時代のブローシュアで表紙・裏表紙を入れて全14ページ。当時の本社ファクトリーのアドレスはロサンジェルス近郊のサンタ・アナ。

後者はファクトリー拡張のため近くのフラトンに移ってから造り直したもの。PSC31、34、37、デイナ、などが多く造られ、フリッカは完全にPSCの脇役になっていた頃だが、ページ数は8ページに減ったものの、フリッカはまだファクトリーのビジネス・プランにしっかり入っていた。

20フィートの小型艇を中・大型艇を作るような手間をかけて造ったため、生産効率が悪く、売値が高くなり客が離れてしまった。(特に80年代中ごろからファクトリーによる完成品しか売らなくなったのが響いたのかも知れない。)

***

余談だが、この写真では [以前話に出てきた] マスト・ステップのタバーナクルが、一番手前にはっきり写っている。

(写真はPSC製434艇中、366番目 Scout です。)
USヤフー!フリッカ・グループ

2009年3月16日月曜日

フリッカの絵

フリッカのブローシュア(パンフレット)には2種類あった。1980年代のものと90年代のもの。

これは80年代のオリジナル版ブローシュアに掲載されていたペン画。縮小時、縦横の尺を変更してあるため詳細が分からず、本来の見事さが分かりにくいが、 [こちら(12ページ)] で原版を見て欲しい。










この絵は福岡の博多湾や玄界灘でフリッカのセイリングを楽しむ [くつはらたけしさん] の『ミスティック』。












写真を撮っているとあまり感じなくなってしまっているが、もし自分の手でスケッチするなり、絵を描こうとする場合、フリッカは現代的なモダンなルックスのヨットより特徴のある艇なので、絵になりやすいのではないか、とも思う。そもそもフリッカの始まりは、設計者のブルース・ビンガムが軍役に就いていた頃、ニュー・イングランド地方、ロード・アイランド州の河辺に座礁したように置いてあった漁船何隻かを目にしてスケッチしたのが始まりだ。

ブルースの父親はフレッド・ビンガムと言い、ヨット設計を業にしていた。小さい頃から親父の仕事を見たり、ボートに囲まれて育ったブルースが、それら漁船のハルの形やシアーライン、デッキやスーパー・ストラクチャーも入れたプロファイルをすぐにスケッチして寸法まで書き留めたのは、フリッカのデザインを完成させた70年代初頭に先立つこと20年以上も前の話だ。

(2枚目の絵はPSC製434艇中、421番目 Mystic です。)
フリッカ・ホームページ

2009年3月15日日曜日

トリムの変化

トリムの変化、と言ってもセイル・トリムの話ではなく、ハルのトリムの話。

水に浮かんでいる船艇のトリムの変化とは、船艇に載せた荷物、器具、人員などの過重で、ハルが左右どちらかの舷側へ、またはバウかスターンか(船首か船尾か)どちらかへ傾く、またはその両方のことが同時に起きること。

これはたまたま大人4人がフリッカのコックピットに乗った写真だが、艇が少しスターン側に沈んでいる。






バランスのとれたイーブンな状態からバウが約5cm浮き上がった状態。

フリッカはワイングラス型の丸いビルジということもあるが、小型艇なのでドックから人一人が乗り降りする時も左右にゆれる。またポート側にある水のタンクが殆ど空になってくると、艇がスターボード側に3-4cm傾いたりもする。

このように、フリッカは約6000ポンド(約2.7トン)の排水量のある重排水量型クルージング艇であるにしても、小型艇には変わりないのでトリムが変わりやすく、特に長期クルージングに出る時など、水や食料、燃料、その他の品物の積載時にバランス良く配置収納し、消費する時も必要なものを各所からバランス良く取り出していけるようにしなければならない。

***

尚、人間は品物とちがって移動が簡単だが、フリッカのデイ・セイリングは大人の場合4人が上限だろう。ヒールしての帆走時、ウェザー(風上)側コックピットに2人、同じくレールに2人、また真下りの時はコックピット両舷のシートに2人づつ、と都合も良い。

(写真はPSC製434艇中、273番目 Winnie Mae です。)
フリッカ・ホームページのフリッカ登録データベース

2009年3月14日土曜日

黒いボール

この写真はどうやって撮ったのだろう。

日中錨泊していることを示す黒いボールが掲げてある。








岸辺からさほど遠くないところにアンカーを打って停まっている。

フリッカのドラフト(喫水線から下、キールの一番深い箇所まで)は3フィート3インチ(1m未満)しかないからこういうこともできる。

これは上とは別の係留地での同艇 [ウィニー・メイ]









ドラフトが1m以下ということは、フリッカがア・グラウンド(座礁)、海底に船底を擦って動けなくなった場合、横にヒョイと飛び降りて、水深の深い方へ押してあげれば良いということだ。大人だったらちょうど腰のあたりまで水に浸かる位だからこの作業は難しいことはないだろう。小型フル・キール艇の利点のひとつだ。

(写真はPSC製434艇中、273番目 Winnie Mae です。)
フリッカ・ホームページのフリッカ登録データベース

2009年3月13日金曜日

マスト下のアーチ

このフリッカの名はアニカ。旧名はビッグフット。

フローティング・ドック(パントゥーン・ドック)ではない、固定式のドック。アメリカでは極めて珍しい。



干満の差が激しいところのようだ。ドック・ラインの張り方に気を使うだろう。 さて、本日はこういう風に外からは見えないマスト下のアーチの話。

この件、[以前にも書いた] が、今日2枚のインテリアの写真ではマストからの過重を支えるアーチの厚みがもっとはっきり分かる。


上のリンク先の各写真で分かるように、ファクトリー製フリッカのキャビン天井は昔の車の天井風にビニールのヘッドライナーで覆ってある。

そのビニールが弛んだり、汚れたり、破損したりしたため、この艇のオーナーはファイバーグラスのキャビントップとカバー間のフォーム断熱材、およびカバーそのものを除去してしまった。その後、新しいカバーを貼り付け、木製バトンを使ってそれを固定している。

ファクトリー仕上げでは断熱材と緩めに張ったカバーのためここまではっきりアーチの厚みが分からない。




興しろいのはキャビンの壁も一旦ベアーのファイーバーグラスまではがし、天井と同じ仕上げにしてあること。通常ティーク板などの上張りに隠されているアーチを支える厚板(機能的にはニー、knee)がはっきり見える。

マストからの過重はマスト下のアーチを通り、ニーからサイド・デッキを挟んでバルクヘッドに渡され、ソール(床)へ、さらにハル、キールへと伝えられている。このためフリッカにはキャビン内を突き抜けてキールに直接ステップするマストは不要となっている。

(写真はPSC製434艇中105番目 Annika a.k.a. Bigfoot です。)
フリッカ・ホームページのフリッカ登録データベース

2009年3月12日木曜日

スロー・ダンシング

激しいダンスも好いけれど、スローなダンスも良い。

フリッカのセイリングをスロー・ダンスに例えたのだろう。なかなか味のあるネーミング。






マルコーニ・リグでもタンバーク色のセイルはフリッカに合うと思う。

風は見たところ5ノットくらいだ。









2年ちょっと前にオーナーが変わって艇の名もロアンとなった。つい最近また新オーナーの手に渡ったという。今度は何という名前になったのだろう。

(写真はPSC製434艇中194番目 Roane a.k.a Slow Dancin' です。)
フリッカ・ホームページのフリッカ登録データベース

2009年3月11日水曜日

エンジン・ダッシボード

昨日のコックピット・ハッチのカバーの件、これが閉じた新型カバーの後ろ半分。

さて、本日はエンジン・ダッシボード(計器盤)の話しだが、このフリッカはパシフィック・シークラフト(PSC)の1984年製。



スターボード側コックピット・シートの壁にすべてのコントロールが集められているのが珍しい。奥から、エンジンを止める時の燃料供給ストッパー、ダッシボード、ギア・シフトとスロットル共用の一本式レバー・コントロール(レバーは脱着式で外してあるようだ)、手前は手動ビルジ・ポンプのハンドル取り付け場所。

同艇の外観。ポート(窓)は長方形のプラスチック製。








ポートで節約してあることを考えると、コントロール類はすべて自分で取り付けたのかも知れない。(ダッシボードはファクトリー・スタンダードのパーツを使っている。)当時はこのように新艇注文時に細かくファクトリーでやらなくても良い作業を指定してお金を節約することができたという。

スクロールワークを自分でペイントすることにして金をいくらか浮かした、という実際のオーナーの話もある。

変な写真を取り出して申し訳ない。手前のブーム・エンドの作業は無視して、その下、コックピットの奥を見て欲しい。

このフリッカも上と同じくPSCの1984年製だ。エンジン・ダッシボードはこのようにスターンにあるのがファクトリー・スタンダード。






またスターボード側の壁にはビルジ・ポンプのハンドル嵌め込み場所(下の写真 = 白い四角いカバーがしてある)や、エンジンのギアとスロットルの各レバーが別々の2本式コントロールが付いている。

これらの配置や品物もすべて1980年代中期フリッカのファクトリー・スタンダードだ。






尚、エンジンを止める時の燃料供給ストッパーのノブはコックピット・シートのカバーを開けた、ラザレットの中にある。バッテリー2個も同じくラザレットの中。

(写真上2枚はPSC製434艇中、番数未確認の1984年製 Carina、下2枚は295番目 Serenity です。)
フリッカ・ホームページのフリッカ登録データベース

2009年3月10日火曜日

コックピット・ハッチ

フリッカのコックピット・ハッチには2つの型があることを [以前書いた]

旧型ハッチ。

蝶番がついていてポート側に立てるようになっている。このハッチ・カバー、骨組みはあるが、新型のものに比べて実に薄っぺらに出来ているように見えるがどうだろう。

尚、この艇は船外機仕様なのでエンジン・ルームにはバッテリーが鎮座している。




こちらは新型ハッチ。新型はカバーの四隅を大型ネジで留めるようになっており、エンジン等のメンテ作業時はカバーをこのように完全に外して作業する。

後日註: この型のハッチを閉めた写真は [このページ] 最後の写真参照。








マリン合板のコアに両面、四周ともファイバーグラスを積層したこの型のカバーは頑丈だが実に重い。万が一海上で開けざるを得なくなっても、二度三度考えてやはり開けるのは思いとどまるのではないかという気がするほど重い。マリーナでの作業時は外したカバーをドックの上に置いている。

(写真上はPSC製434艇中、番数艇名未確認、1980年製のメキシコにいるフリッカ、下は295番目 Serenity です。)
www.yachtworld.com SEARCH ボタンの上の欄に Flicka と入力、検索するとリストアップされます。

2009年3月9日月曜日

ロールアップ型フレキシブル・ソーラーパネル

ハードな固定式ソーラーパネルとちがい、ソフトタイプのものは使わない時クルクル巻いて仕舞い込むことができる。

フリッカではこのようにコンパニオンウェイ・ハッチの前に置いているオーナーが多いようだ。






しかしこの艇のようにシー・フッドが付いていない艇はハッチの開閉の邪魔になりそう。シー・フッドが付いていれば、ハッチはシー・フッドの下にスライドするのでその心配はない。

利用者の言によるとソフトなロールアップ型は薄い、軽い、フレキシブルというのが利点だが、機能的にはハードなパネルには及ばないという。


最近は性能も向上しているようだがどうだろう。たまたま [サーチで出てきたサイト] で見てみると、値段はハード・タイプに比べて高い気がする。

上2枚の写真はこの艇のもの。












写真で見る限り、太陽の恩恵を十分受けられる場所のようだ。陸電で充電できない艇でも毎週エンジンをかけずにバッテリーをフル充電しておくことが可能かも知れない。

(写真はPSC製434艇中071番目 Tern です。)
フリッカ・ホームページのフリッカ登録データベース

2009年3月8日日曜日

フリッカのセイル・マーク 2

PSC製フリッカになってからはPSCロゴにフリッカのFをつけたマークがフリッカのセイル・マークになった。それも2種類あるが、詳しくは [フリッカのセイル・マーク] を参照。

今日はPSC(パシフィック・シークラフト)に先立ち、1977年頃までフリッカをファクトリーで生産していたノー’スター製フリッカのセイル・マーク。

Nor'Star (North Star)、つまり北極星の名のごとく、星をあしらったマークの中心に20フィートの20が入れてある。遠目にもはっきり分かる、なかなか視認性の良いマークだ。



写真はノー’スター製フリッカ20艇中、初期のものという。南カリフォルニアに間違いはないが、背景に山が写っていることからするとノー’スターのファクトリーが在ったサンタ・バーバラあたりと思われる。見たところ風はおそらく12-13ノット位。

PSC製マルコーニ・リグと違っているのは、同じスループでもPSC製がフォアステイがマストヘッドまで伸びたマストヘッド・スループなのに対し、このノー’スター製は、見てのとおりフラクショナル・リグということ。

PSC製に比べ、マストが高く、ブームが長い。ブームはスターンから2フィートぐらい突き出ているから、PSC製マルコーニに比べ、3フィート以上長いということになる。バックステイは当然ラニング・バックステイだ。

後ろへレイクした高いマスト。二本マストのスクーナーではないにしても、ハルやキャビンの形、バウスプリット、長いブームと相俟って、小型艇ながらバランス良く、クラシックなラインで美しくまとまっている。

尚、シュラウド用チェインプレイトはマストヘッドからの1本用、スプレッダー下からの1本用、合わせて各舷2つづつしかない。

(写真はノー’スター製20艇中、番数艇名未確認、70年代半ばのフリッカです。)
フリッカ・ホームページ

2009年3月7日土曜日

タンバークのセイル・カラー

日本では血染め色という人もいる。英語では Tanbark (Tan Bark) 色だ。

欧米では根強い人気のあるセイル色。フリッカのようなクラシックなデザインのセイルボートに良く似合う。

ハイテクなルックスのレース艇こそがヨットだと思っている若い人は、古臭い外付けラダーにタンバークのセイルなどつけた時代遅れのものにどうして乗るのだろう、というより、そもそもこういうフネがなぜ現代でも存在しているのか、と疑問に思うかも知れない。実は筆者が昔そうだった。




ところがフリッカに限らず、クラシックなハルの艇に乗ってセイルしてみると、レース艇、軽量艇とは別の面白さ、使い方、楽しみ方が理解できる。どちらの方が良いというものではなく、コンセプトがちがうのだ。滑降を楽しむのにスノーボード派とスキー派がいるのと似ているかも知れない。両方の世界を楽しめる人も数多い。

本題から外れるが、フリッカはいつまでも飽きがこないデザインだ。マリーナを後にする時も振り返ってその姿を見ると引き返したくなる。




またフリッカを初めて見る子供たちは必ずと言っていいほど一目見て「かわいい、乗ってもいい?」と訊いてくる。海上では他の艇に乗っているゲストたちがカメラを向ける。高価な大型艇のオジさんたちも「いいフネに乗ってるな」とにっこりする。

フリッカには何か人の目や心をひきつけるものがあるのだろう。

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さて色がなぜタンバークなのか。タンとは樫の樹などの皮(バーク)に多く含まれているタンニン酸のタン。昔素材がキャンバス(つまり木綿)だった頃、セイルが腐ったりカビたりするのを防ぐため、生地がタンニンに付けられた。現代ではケブラー、マイラー、その他のレース用ハイテク・セイルを除き、殆どのセイルがダクロン製。タンニンにつける意味はない。クラシックなデザインの艇にはクラシックな色の帆が似合う、それだけの理由だ。

尚、ダクロン製はタンバークのセイルより白いセイルの方が長持ちすることは良く知られている。紫外線の吸収量のちがいが原因らしい。値段は素材に染めのプロセス(タンニンとは別の染料)が入っている分だけタンバークの方が高い。

(写真はいずれもPSC製434艇中、番数艇名未確認、1980年製、メキシコにいるフリッカです。)
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2009年3月6日金曜日

1980年製フリッカのキャビン

このフリッカのキャビンはいつも見慣れているものとは細かいところが少しづつ違っている。キャビン内を自分で仕上げたキット・ボート(オーナー・コンプリーション・ボート)のようだ。自分の好みに合わせ、良く考えて造ってある。

例えば少なくとも1980年代後半に入った頃まではアイスボックスのフタは一枚ものが普通。その後のものは真ん中からの二つ折り。この艇のものは珍しい6.5対3.5くらいの比率。

真ん中から二つ折りのものと違い、小さい方には取っ手がついていないが、大きい方の取っ手を掴み、フタ全体を後ろにずらせば、そこからも出し入れができるし、小回りが利き便利なのかも知れない。しかし要点は大きい一枚ものだと外してから置き場所に困るが、その不便を解消したという事か。






ポンプ式の蛇口は2本、海水用と清水用だろう。皿洗いには海水を使って仕上げだけ清水を使ったりする。

テーブルも変わっている。白色フォーミカのスタンダードではなく、クレイトを使い、エッジにはグルリと滑落防止用のストッパーが付いている。


脚もソリッドなティークの1本ものではなく、蝶番で二つ折りにできるようにしてあり、通常の取り外し式ではなく裏側に畳み込み式になっているようだ。

クォーターバースのクッションの下。普通ここは清水タンクになっている。そのスペースが二つに仕切った収納になっているようだ。カバーは通常この二枚分をマリーン合板一枚でカバーし、ネジ止めしてあるが、この艇では見ての通り、各スペースに孔を開けたフタを置いてある。







孔が開いていれば脱着がしやすいし、軽いという利点もあり、クッションを外した状態では風通しも良く、中も見えるので便利だろう。食品置き場か。清水タンクがどこにあるのか知りたいところだが、案外、キャビン・ソール(床)下のビルジ・スペースを利用しているのかも知れない。

クォーター・バース奥の合板のフタも気になる。

(写真はいずれもPSC製434艇中、番数艇名未確認、1980年製、メキシコにいるフリッカです。)
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2009年3月5日木曜日

プロペラ・アパチャー

初期の船外機仕様のフリッカには船内機仕様フリッカの様なプロペラ用に切り込んだスペース、アパチャーがない。

この1980年製の艇にはアパチャーがある。

1979年頃にPSCがハル・モールドを自社で作り直した時からこうなったのだろう。


この艇にはアパチャーはあるが、プロペラ・シャフト用の孔は開いていない。アパチャーのない船外機艇を船内機仕様に変えるのは大変だが、この写真の状態のものを船内機仕様に変えるのは可能で、実際にその転換をしたオーナーもいるという。

しかし、USヤフー!フリッカ・グループのオーナーたちの間では、船内機艇に乗っている人は船内機艇が良い、船外機艇の人は船外機艇が良い、と思っている人が多く、コンバート例は極めて少ない。しかしヤンマーが壊れたのを機に、船内機に比べ値段の安い船外機を購入して走る人たちは見受けられる。

アパチャーのない船外機フリッカのハルは [こちら]

(写真はいずれもPSC製434艇中、番数艇名未確認、1980年製、メキシコにいるフリッカです。)
USヤフー!フリッカ・グループ

2009年3月4日水曜日

船外機用燃料タンクの置き場所

フリッカは1980年代半ば以降、ヤンマーの船内機を搭載している艇が圧倒的に多いが、それまでは逆に船外機仕様のものが多いようだ。特に70年代生まれのフリッカにはそれが顕著だ。

コックピット最後方には燃料のポリ・タンクを置く場所が設定してあり、その上にファイバーグラス製のカバーを置くようになっている。

そのカバーはポリ・タンクの上に乗っかって納まるのではなく、両脇がコックピット・シートの壁に仕込まれた出っ張りに引っかかって水平にストップするようになっている。





このアングルからだと分かりやすい。










コックピット・シートの壁に仕込まれたこの出っ張り(レッジ)は、船内機仕様のフリッカでもそのまま残っている。⇒ [リンク先2枚目の写真参照]

これを利用してコックピット・ベッドのためのベースの板を置いているオーナーもいる。⇒ [シアトルのフリッカ]

(写真はいずれもPSC製434艇中、番数艇名未確認、1980年製、メキシコにいるフリッカです。)
フリッカ・ホームページ

2009年3月3日火曜日

スクロールワーク

フリッカのスクロールワーク(彫り込み)は葡萄の蔦のデザイン。スクロールワークはフリッカのクラスの旗印、 [バージー] にもなっている。フリッカ・グループの最初のニューズレターの名前もフリッカ・フレンズではなく、スクロールワークという名前だった。

殆どのPSC製では [バウの両側が大版]、スターン両脇はこの写真のように小版のものをあしらってある。





実はこのスクロールワーク、フリッカのデザインが発表された当時はバウ、スターンともに同じもの(大)を使っていた。初期自作艇や [ノー’スター製のフリッカ] 全20艇、およびPSC製でもノー’スターから引き継いだハル・モールドで造られていた当初の艇は全部そうだ。スターン両脇のものが小さくなったのはPSCでハル・モールドを作り直してから。(1979年の#054ではすでに大小のコンビになっていることが確認されているが、どの番の艇からそうなったのかは未確認。)

この艇ではフリッカのシンボルとでもいうべきスクロールワークをさらにトランサムにも大きく引き伸ばしてペイントしている。




尚、この艇はもともと西海岸オレゴンをホームにしていたが、4年前にトレイラーに載せられて大陸を横断、今はニューヨーク州をベースにし、フリッカが集まるフリッカ・ランデブーなどにも参加して東海岸の生活を楽しんでいるようだ。この様に海路にしろ陸路にしろ北米や世界をあっちこっちへ移動するフリッカは少なくない。

(写真はいずれもPSC製434艇中、203番 Destiny です。)
フリッカ・ホームページ

2009年3月2日月曜日

オーニング

ビマイニのように展開、折りたたみはできないが、ブーム・テントも日除け雨避けに良く使われる。

オーニング(テント)で手っ取り早いのはブームに載せて家の屋根のようになる [屋形ブーム・テント]




同じブーム・テントでもこのフリッカのように骨が入っていてアーチ型になるものは機能的にも優れているし見た目も良い。

オーニングには [方形] のものもある。方形の場合、ブームにサポートされているわけではないので単にオーニングと呼んだ方が理にかなっているようだ。

ロサンジェルスのマリーナ・デル・レイから出航すると、サンタ・モニカ湾に出る。そこは波は殆ど無いが良く太平洋のうねりが規則的に寄せて来る。










南カリフォルニアはサンフランシスコ湾に比べ風は弱い。しかしSF湾では帆走シーズンがはっきりしている。夏は他の何処よりもセイリングに最適なSF湾だが冬は風が無く雨が降る。このような写真を見ると、昔12年間居た、年中セイリングの可能なLAが懐かしい。

(写真はいずれもPSC製434艇中、047番 Kara Du です。)
USヤフー!フリッカ・グループ