このフリッカは以前にも出てきたレイク・タホの 『サリー・アン』。
セイルボートのマストはハウスのデッキを突き抜け、キャビン内のソール(床)も突き抜け、キールの上に起ててある、いわゆる 「キールにステップ」 したマストが多い。しかしマストを倒してトレイラーで引っ張ることのできるフリッカのマストは通常デッキの上に起ててある 「デッキにステップしたマスト」。
ちょうどキャビントップのマストの起つ場所周辺は幅25cmくらいにわたり、キャビン内側に右舷から左舷まで分厚いマリン・プライウッド製コアにファイバーグラスを積層した頑強な補強材がアーチ状に組み込まれている。
キャビントップでアルミ製マストをがっちり受け止めているのがタバーナクルと呼ばれるステンレス製の板。強いて言えば両舷に翼を立て、前方後方にも短い翼を開いた形をしている。(この写真は別のフリッカ 『セレニティー』 のもので、見てのとおりシングルハンダーズ・パッケージの一貫としてハルヤードやリーフィング・ライン用のブロックが装着してある。しかし原型は皆基本的に同じ。)
サリー・アンのオーナーは3、4年前、自艇購入直後に大幅なメンテを行い、タバーナクルのリベッド(付け直し)作業も行った。その際キャビンの内張りを開けたみた。デッキ上から通された4本の取り付けボルトはいずれもファイバーグラスに直に小さなウォッシャーを置いてナット締めしてある。
クリートなどとちがい、上に載ったマストからの重量が上からコンプレス(圧縮)する形でプレートをキャビントップに押し付けるだけだからこれで良いのかも知れない。
しかし同艇ではせっかくの機会なのでこの様に厚いアルミ合金製バッキング・プレートを自作して取り付けた。
これでまた心配しなくても良い事がひとつ増えた、という事だろう。
(写真は上から2枚目を除いていずれもPSC製434艇中294番目、1984年製の Sally Ann、上から2枚目は295番目 Serenity です。)
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