このフリッカのキャビンはいつも見慣れているものとは細かいところが少しづつ違っている。キャビン内を自分で仕上げたキット・ボート(オーナー・コンプリーション・ボート)のようだ。自分の好みに合わせ、良く考えて造ってある。
例えば少なくとも1980年代後半に入った頃まではアイスボックスのフタは一枚ものが普通。その後のものは真ん中からの二つ折り。この艇のものは珍しい6.5対3.5くらいの比率。
真ん中から二つ折りのものと違い、小さい方には取っ手がついていないが、大きい方の取っ手を掴み、フタ全体を後ろにずらせば、そこからも出し入れができるし、小回りが利き便利なのかも知れない。しかし要点は大きい一枚ものだと外してから置き場所に困るが、その不便を解消したという事か。
ポンプ式の蛇口は2本、海水用と清水用だろう。皿洗いには海水を使って仕上げだけ清水を使ったりする。
テーブルも変わっている。白色フォーミカのスタンダードではなく、クレイトを使い、エッジにはグルリと滑落防止用のストッパーが付いている。
脚もソリッドなティークの1本ものではなく、蝶番で二つ折りにできるようにしてあり、通常の取り外し式ではなく裏側に畳み込み式になっているようだ。
クォーターバースのクッションの下。普通ここは清水タンクになっている。そのスペースが二つに仕切った収納になっているようだ。カバーは通常この二枚分をマリーン合板一枚でカバーし、ネジ止めしてあるが、この艇では見ての通り、各スペースに孔を開けたフタを置いてある。
孔が開いていれば脱着がしやすいし、軽いという利点もあり、クッションを外した状態では風通しも良く、中も見えるので便利だろう。食品置き場か。清水タンクがどこにあるのか知りたいところだが、案外、キャビン・ソール(床)下のビルジ・スペースを利用しているのかも知れない。
クォーター・バース奥の合板のフタも気になる。
(写真はいずれもPSC製434艇中、番数艇名未確認、1980年製、メキシコにいるフリッカです。)
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