2008年11月9日日曜日

コックピット・ドレイン(排水)

PSC(パシフィック・シークラフト)は1983年末頃デッキ・モールドに改良を加えた。この改良ではブリッジ・デッキを新設、コックピット・ソール(床)も設計変更され、エンジン・ハッチの形状も新しくなった。この時、コックピット・ドレインの経路も変更されている。















上の写真は改良前の型。コックピット・ソールの四辺が隅から隅までぐるっと集水溝になっており、排水口はスターンにある。

同型のトランサム。喫水線近くに丸く見えるのが排水口。

この型の欠点は追波が排水口から入り経路を逆流してコックピットに入ってくること。特に重い船外機を降ろして機走中に追波を受けるとコックピット・ソールが水浸しになるらしい。




慣れないゲストは沈むのではないかと思う程びっくりするという。慣れたセイラーでも足が濡れるのは心地良いものではない。寒い日は尚更だ。

改良型ではコックピット・ソールのスターン側半分近くに溝はない。コックピット・ソールは前に向けて極く僅かだが傾斜しているのでこの部分に受けた水も前半分にあるエンジン・ハッチ周りに設定された溝を通ってコックピット前端に集まる。










コックピット前端にある排水口。ポート側にもあり、対になっている。排水口手前の丸いものはエンジン・ハッチを留めている大型のブロンズ製ネジ。





コックピット前端二つの排水口に入った水は、ホースを通って下へ。エンジン・ルーム両側の黒いホースが配水管。





手前の径の大きい黒いホースは後付け暖房装置の送気管。これについては本日は無視されたし。右舷のホースが左舷へ、左舷のホースは右舷へ導かれ、途中で交差しそれぞれ一番手前に見えるスルーハルのシー・コックにつながれている。これは艇がヒールした時、ハルの排水口から水が逆流してコックピットに入るのを防ぐため。水はこうしてハルの両サイド、水面下から出て行く。

停泊している艇の喫水線はおよそ消火器の天辺あたりになる。

(写真は上からPSC製434艇中169番目 Pikachu、番数未確認 Volans、番数艇名未確認艇、295番目 Serenity、412番目 Dulcinea です。)
Pikachu
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