2011年2月28日月曜日

2月27日日曜日の風 (Video)

このところ週日や土曜日は天気が崩れても日曜日は晴天というパターンが続いている。

この2月は昨年の2月と似ていた。今年もこのまま5月にシーズン入りするまで晴天で風のある週末が続くのではないかと期待が持てる。



ハンターズ・ポイント沖でゆっくりタックして南へ。

(ビデオはいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・ホームページ で今売りに出ているフリッカのリスト。

2011年2月27日日曜日

配管: エンジン・ルームのヴェント(通気)ライン?

STB側のコックピット排水ホース(中央の太いホース)の右隣りに見える2本の黒いホースが本日のテーマ。

2本とも先端は何処にも接続されておらず、宙ぶらりん。

なぜ先端近くにクランプが付いているのかは不明。












この2本のホースを初めて目にした時、以前はどこかに接続されていて今は使わなくなったものをそのまま放置しているのではないか、と思った。












後方を見ると、エンジン・ルームとコックピット・ロッカーを仕切る合板に孔が開けられ、そこからコックピット・ロッカー側に抜けている。












コックピット・ロッカーの底部。船尾側から船首方向を望む。








手前の白いパイプの陰になってちょっと見辛いが、一等奥、壁を抜けた2本の黒いホースが束になり、バッテリーを置く白い厚板の下を右側(アウトボード側)へ延びている。

(尚、手前の黒い太いホースはホールディング・タンクからの排出用 = これについてはまた後日)。

アウトボード側に達した2本のホースはハルの内面に沿って上へ。

途中ブロンズ製二股ソケットで2本が1本になり、さらに上へ。

エンジン・ルームに向かう際、なぜ2本に分かれなければならないのか、理由は不明。






もしかしたら横波や追波を受け、ヴェントから水が入った場合、ヒール角によって低い側のホースに落とし、もう1本で気道を確保するのか。いや、そうだとしたら上から3枚目の写真のように、エンジン・ルームに入ってわざわざまた高く吊り上げる必要もないはずだ。不可思議。

ホース先端はコックピット・コーミング横に装着されたブロンズ製ヴェント(通気口)に接続されている。

(向こう側に見えるのはホールディング・タンクのヴェント・ライン。このようにコックピット・ロッカーはアウトボード側上部で個室ヘッド(トイレ)後ろのウェット・ロッカーと繋がっていてエアーが自由に往来できる。)




ヴェント外観。

右側がエンジン・ルームからのもの。







と言う訳で、今はエンジン・ルームにぶら下がったホース2本ともエンジン・ルームの通気を良くするヴェント・ラインと勝手に解釈しているが、本来の用途は何だったのだろう。他のフリッカではどうなっているのか、ぜひ見てみたいものだ。

尚、1GM10 のエンジン稼動(燃料燃焼)にはエンジン・ルームに直径50mmのホースから入って来る量の外気が必要だそうだ。フリッカではコンパニオンウェイ下、エンジン・ルームへのアクセス口を閉じてしまっても、エンジン・ルームのスターン部分上部はSTB側がコックピット・ロッカー、ポート側がクォーター・バースと空間が繋がっているためエアー供給が不足することはない。

この他にも

(1) コックピット・ロッカー(ロッカーの蓋の下や、個室ヘッドからエアーが入って来る) ⇒ 上の4枚目の写真に見えるような、コックピット・ロッカーからエンジン・ルームへ通じる各種孔の隙間(エンジン・リモート・コントロールとギアのワイヤーを通す孔、ホールディング・タンクからの排水用ホースを通す孔、など)

(2) フォア・デッキのハウザー・パイプの隙間 ⇒ チェイン・ロッカー ⇒ 燃料タンクの下 ⇒ ビルジ ⇒ スタッフィング・ボックス下のエンジン・パンの開口部。

(3) コックピット・ソールの [エンジン・アクセス・ハッチ下の隙間] (ただし、ガスケットで完全に封鎖してしまった場合は皆無)、

などエアーの抜け口は方々にあり、密閉状態からは程遠い。

昔のガソリン・エンジン船内機のセイルボートはスターン部にも必ず相応のカウルを付けて通気を確保することが必須だった。ディーゼルの場合でも良く見られた。しかしフリッカでは上記のようにエンジンへのエアー供給源に問題はないようだ。

(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・データベース

2011年2月26日土曜日

ジャム・クリート 2

キャビントップ上のクリートも、[コックピット・コーミング上] のクリート同様、全てジャム・クリートだ。

(シングルハンド・パッケージのフリッカではハルヤードやメインスル・リーフィング・ラインを全てコックピットから操作できるようにウィンチやクリートがキャビントップに装着されている。)

セレニティーのキャビントップ、STB側。

各ラインをジャムして留めるとこういう形になる。




外(画面右)からメインスル・ハルヤード、ステイスル・ハルヤード、メインスルの 1st リーフィング・ライン。ステイスルは小さいセイルなのでウィンチなしでも楽に揚げきることができる。

ポート側。

外(画面左)から、ジブ(へッスル)ハルヤード、メインスルの 2nd リーフィング・ライン。



係留中のSTB側。

実際は帆走中でも8の字にヒッチすることが多い(特にハルヤード)。




8の字にするのはジャムの延長だから何の苦労もない。ジャムしてあるからラインが戻ることもなく、悠々と留められる。ジャム・クリートの効用だ。

係留中のポート側。












このポート側は本来なら画面右のクリートをウィンチからのジブ・ハルヤード用に使い、2nd リーフィング・ラインはキャビントップ前方のアイを通して左側のクリートに留めるべきだが、セレニティーではリーフィング・ラインは好みで両舷とも一番内側としている。

(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・ブローシュア (8頁版)

2011年2月25日金曜日

2月20日日曜日第4レグ帆走 (Video)

この日3:30 pm 頃、最終レグで西風12.5~13ノット。プリ・シーズン、
予想以上の風に恵まれた幸運な日曜日。フリッカはこの位以上の風が得意。



このビデオはオリンパスの電池切れで、バックアップ・キャノンのコンパクト・モードで撮影。

(ビデオはPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・ニューズレターのページ (最近は写真やトピックがフリッカ・ホームページ中のブログ集、また各個人のブログやUS・ヤフー・フリッカ・グループに出て、ニューズレターの媒体としての価値が殆ど消滅したため記事の材料が集まらず、新しい号は出ていない。しかしアーカイヴは興しろい。)

2011年2月24日木曜日

デッキ・リーク修繕

コーキング材で隙間を埋める。

六角ナットとケーブル間のギャップは無論、ナット上とケーブルの足元を全部カバーするように盛り上げた。




右舷側電線も念のためテープで追加補修。

この後デイ・セイリングに出航した。こちらも後日コーキングしたい。



天井は水分をペーパー・タオルやティッシュ・ペーパーで3~4回吸い取った後、空気乾燥させるため要所にティッシュをはめて空間が大きくなるようにしておいた。












昨日書いたようにポスト(柱)周辺は漏れた水が集まり易く、特に湿っぽかった。







このポストがなかったら過去の右舷の場合と同様、水はアーチ前面のケーブルに沿って流れ、この辺りの断熱材はここまで濡れることがなく、手で触っても殆ど気付かないような乾いた状態で、断熱材を切開することに再び躊躇していたかも知れない。

幸い水曜まで4日間晴れの予報。ジッパーを開いたまま乾燥させ、今週末に再チェックする。





(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・ブローシュア(14頁版)

2011年2月23日水曜日

デッキ・リーク

2月20日日曜日午前、艇に着くと、ギャリー前の壁に漏水の痕跡がはっきり見える。前日までの激しい雨でデッキからリークしたのだ。

漏水は壁を伝って下のアイスボックスの上へ、さらにボックスの蓋の周りから中へ落ち、ボックスの底に溜まっていた。量は約20ccで、ビルジへの排水ホースに流れるほどの量ではなかった。

漏れた翌朝の晴天時に来れたのは幸い。まだ湿っているところがあるはず。




早速原因の調査。リークの痕跡から漏れた箇所は間違いなくマストを支える分厚いアーチ部分。

アーチ部分の天井ビニール・カバーのジッパーを開け、裏の断熱用クッションをマスト下から順に手で触ってみる。すると、デッキ・オーガナイザーあたりに湿り気が。やはり原因はここか。

これまで切るのを躊躇してきた断熱材の中央部を鋏でカット。オーガナイザーを点検。






うーん、この部分自体に漏れはない。ボルト・ナットの出っ張りで断熱材が多少下がっていたためそこに水が溜まったということだろう。

まさかとは思うがマストを支える金属板(タバーナクル)のボルト・ナット部分からのリークか。艇が多少とも右舷に傾いている時は右舷に流れ、今回のように左舷に傾いている時は左舷に流れ、ふむ、タバーナクルの再ベディングならマストをアンステップしなくちゃならない、ちょいと面倒なことになりそうだ、と考えながら、断熱材を右舷端まで全部カット。

しかし、タバーナクル部分は断熱材もドライだったし、こうやって目視しても触ってみても何の問題もない。ホッとする。だが原因はどこだろう。












今度はアーチの左舷端からアーチ前端部に沿って断熱材の湿り具合を手で確かめていくと、この辺りが一番怪しい。



痕跡も明確。やはりここがリーク源のようだ。

しかし、この上に何があったかな。




ポスト(柱)左上の部分にペーパー・タオルを入れ、水分を吸収しているところ。柱の接着している周辺は水が流れ難く水分が残り易いようだ。

念のために手前のハッチ部分からのリークはないかと、そこの天井コンパートメントのジッパーを開け、手で触ってチェックしたが問題はなかった。





ポスト(柱)左上の膨らんだ箇所から3-4cm左側が断熱材上のリーク痕跡の濃い部分。

デッキに上がるとちょうどその部分にマストトップのVHFアンテナからのコーアックス・ケーブルがデッキ下に入る孔がある。



ここが原因のようだ。良く観察すると、孔に付いた六角ナットと中に入るケーブル間の隙間を無くすため幾重にも巻いておいたビニール・テープが劣化して幅2-3mmの円形のギャップが出来ている。

劣化したテープを取り外したところ。円形ギャップが良く分かる。








これなら大雨・長雨でリークするのも無理はない。

ということは以前右舷側にリークした時はマストトップ航海灯電線のスルー・デッキから洩れていたということだ。




なるほど右舷側にリークした時断熱材を大方触ってみたがどこも濡れていなかったのはそういう訳か。水はアーチ前端に沿って右舷へ走っているビニール・カバー付き電線を伝いハウス側壁上部に至り、天井カバーの一番低い部分から壁を伝ってセッティー・クッションの上に流れ落ちていたのだ。

4シーズン程前にめくれたテープを目にして、見苦しいな、と貼り直しておいた補修テープが、リーク対策として利いていた訳だ。

ともかく大掛かりな修理は不要のようで一安心。かつ、今までの疑問が解けて納得。同時に、もっと早く断熱材を切開し点検しておけば良かった、と反省。

(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・パッセージのページ フリッカ各艇の長距離航行記録を載せるページ。(全6ページ、各ページ一番下の Next>> をクリック。)

2011年2月22日火曜日

2月20日日曜日の風 (Videos)

当初4.5ノットの北西~西風。2月にしては申し分ない。



ジブもメインもフルで北上。



この日はこの針路 N のレグの後、SE - NW - S と計4つのレグで2時間のデイ・セイリングを楽しんだ。

(ビデオはいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・ホームページの歴代カバー写真

2011年2月21日月曜日

出航日 (Video)

2月に入り10日間ほど晴天が続き、春のように暖かかった。しかし週日は風の日もあったが、週末の出航日は下のビデオ(2月13日)のように殆ど無風。

この季節、毎年ながら微風弱風用セイルのドリフターが欲しくなる。



その後1週間は冬に逆戻りで雨ばかり。土曜日も雨。ところが本日日曜日(2月20日)は持ち直してくれた。

これから出掛ける。風が5ノットも吹いてくれれば恩の字だが、どうなるだろう。

(ビデオはPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・スペックのページ

2011年2月20日日曜日

ジャム・クリート

PSC製フリッカには殆ど全ての艇にジブやジェノアなどへッスルのシートをクリートするためにジャム・クリート(jam cleat, jamb cleat)が付いている。

ウィンチの後ろにあるジャム・クリート。

その形と方向に注目。







ウィンチに対し斜めに装着されたクリートのスターン側は直立の脚が付いており、ウィンチ側は言わばV字の谷型になっている。

これはウィンチから出したシートを先ずスターン側に素早く引っ掛け、そのまま時計回りに廻したシートを反対側のV字の谷に引っ掛けてグイと引いて留めるからだ。(下の写真のように8の字で留める必要はない。無論8の字に留めても良いが。)

オープン側をフェアリードとして使い、V字の谷側でラインをジャム(ストップ)する、つまりライン脱着を素早く行えるように特化したクリート、と言う訳だ。

もっとも、この写真の様にセルフ・テイリング・ウィンチの場合、ウィンチ自体にジャム機能があるのでデイ・セイリングではクリートを使うことはめったにない。

***

良くキャビン・トップに見られる [クラム・クリート][キャム・クリート] ももちろんそれぞれジャム・クリートの一種。

***















前述の使用法や機能性からして、右舷と左舷のクリートは同じオリエンテーション(向き・装着方向)になっている。決して線対称の配置ではない。

それにしてもウィンチの回る方向にしろジャム・クリートの装着方向にしろ全部右利きの人間用に時計回りが基本になっている。左利きの人には不便かも知れない。

(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカのリグ

2011年2月19日土曜日

コックピットのないフリッカ - リストア進行中 16

2ヶ月近く音沙汰が無かったが、2月11日金曜日に最近の写真がアップロードされた。また作業を再開する気になったのだろうか。

少なくとも外観はあまり進行している [様子はない] 。コックピット・ロッカーの蓋もまだ仮の板が置いてあるだけ。



しかし、なぜかコックピット・コーミング上の背もたれの厚板がSTB側だけ外されている。

この艇ではないがPSCがコックピットのないユニークな造りのフリッカを出荷したことは知られている。その艇も以前何代目かのオーナー(USヤフー・フリッカ・グループのメンバー)がアフト・デッキを壊してコックピットを造ったという。([#172 Right Jack] との事。)

ともかくこうやって見ると背もたれ装着用のブロンズ製金具がいかに頑丈なものかが良く分かる。素人がこれ程までのブロンズ製品を何処かに発注して作ることは考え難い。このフリッカもPSCがファクトリーでコックピットではなくアフト・デッキを張り、その下のスペースを居住スペースにした特注艇として出荷したというのが真実かも知れない。[これ] がアフト・デッキが在った時の姿。 [リン&ラリー・パーディー] の艇と同じコンセプトだ。

(写真はPSC製434艇中、番数不明、1980年製フリッカです。)
⇒ 進展状況は [ここでチェック]。そこで見られない場合 [こちらでチェック] (写真は未整理で種々混載。他艇の作業写真もあるのでフリッカと混同なさらないようご注意。)

2011年2月18日金曜日

コックピット・クッション

コックピット・クッションは多くのフリッカでカスタム・メイドしたものを使っているが、これはMdR (マリーナ・デル・レイ) の 『ノウマッド』 のクッション。

フル・サイズのクッションはその上に立つことがあることも考えると厚さはこの位が良いのではと思うがどうだろう。

ノウマッドは船外機仕様なのでガソリン・タンクがコックピットのスターン側に置いてある。






コックピット側壁の出っ張りはまさにこのように蓋を置くために作り込まれたもので、船内機仕様でも同じモールドを使っているためそのまま残っている。

オートパイロットをポート側にマウントするようにしたのは正解。[STB側] の場合、コックピット・ロッカーの蓋開閉の邪魔になる。

(写真はPSC製434艇中054番 Nomad です。)
⇒ ノウマッドの スローモーション・ビデオ (2011年2月)

2011年2月17日木曜日

ヤンマー1GM10のボトム

この写真では上がフォア(バウ側)、下がアフト(スターン側)になる。

両側に出ている脚はエンジン・マウントのフォアのペア。左上の白っぽい缶はオイル・フィルター。その右下、横に真っ直ぐのびている管がオイル・パイプ。

右上にはウォーター・ポンプ。ポンプ内の水がシールを通過して浸み出した場合、長方形のウィープ・ホールから外に出されるが、その水が下のオイル・パイプに当たり、特に海水の場合腐食の原因となる。

ボディー中央部、長方形の出っ張りがオイル・リザヴァー(オイル・パン)。







オイル交換時はこの写真では裏側になるエンジン上部のオイル検油棒注入口からポンプで抜き取るのが普通だが、中には車のエンジンの様にオイル・リザヴァーのナット(この写真ではリザヴァーの右上)を外してそこから流し出すオーナーもいる。

しかしプロペラ・シャフトはフリッカを含みどのような艇でも大抵プロペラ側がエンジン側より若干低く設定されている。エンジンはシャフトにアラインしてあるのでエンジンもアフト側(この写真では下側)に僅かに傾斜している。従ってオイルが全部自分で流れ出て来ることはない。

その残りの部分にカーボンや小さな金属片などの汚れが一番溜まっている場合が多いはず。ナットを外してオイル排出をする場合、その少量の残り部分を注意深く拭き取るなどのケアーをしているのだろうか。

(写真はPSC製434艇中366番目 Scout 関連のものです。)
USヤフー・フリッカ・グループ

2011年2月16日水曜日

キャンヴァス・ファスナー

5年ちょっと前、セレニティーを購入した時、メインスル・カバーのファスナーが既に1個壊れていた。騙しだまし使っていたが、今年で6シーズン目を迎える。何とかしなくてはならない。

セイル・カバーに付いているのはツイスト・ロック式(ターンバックル式)と呼ばれるファスナー。

壊れているのはツイスト(ターン)する金具の基部を留めている2個のスナップ・ボタンのひとつ。





仕組みについては [このビデオを参照され度] (写真の下にある "Video" タブをクリック)。

この類の小物は50個、100個単位の箱入りで買うと安いが、キャンヴァス・ショップを開く訳でもなし、かと言って少数買うとなると単価は上がるし送料の方が高くついたりするのでいつも悩まされる。

いずれにしても壊れている方の留具は外さなくてはならない。








そこで以前解れたセイル・カバーの縫い糸を保管してあったことを思い出し、それを再利用することにした。




この糸はなかなか頑丈で、刃物を使わないと切れない代物。この仕事には打ってつけ。針もキャンヴァス用のごつい針。

ワイフがジブのカバーをミシンで補修してくれている間にメインスル・カバーを預かり、ボタンを外した跡に手縫いで縫いつけた。


試着してみる。びくともせず、なかなか具合が良い。

自画自讃。しかし何でも役に立ちそうなものは取っておくものだ。











(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・データベース

2011年2月15日火曜日

ワークショップ

冬のメインテナンスは終わったはずだったが、一つ忘れていた。

過去5シーズンでところどころセイル・カバーを縫製している糸が解れだし、あまりに長く垂れ下がったものは手で引き抜こうとして(これがいけない、余計に解けるだけ)その挙句、鋏で切ったり、ナイフでカットしたりしていた。

幸い最も構造的な主幹部分の縫製ではなく、ビニール裏地の端の縫い合わせ(この写真では白い布の左辺)とか、背を縫い合わせた後の飾り縫い的な部分だったので、別段緊急に補修する必要は無いだろうとついついそのまま使っていた。








家庭用ミシンを持ち込んだキャビンはワークショップに早変わり。

大型クルージング艇には工具や交換用部品一式を揃え、万力付きワークベンチも備えたワークショップがあるが、フリッカの場合、ギャリーやテーブルで代用。

しかしフリッカは20フィート艇でもこういうことが無理せずにできるので助かる。




オリジナルは白い糸を使ってあったが、今回はラダー+ティラー・カバー作成時に購入した青糸を使用。




メイン・カバー、ジブ・カバー共、解れていた部分だけでなく、解れそうな部分も白糸を抜かずそれと平行するように縫製。



背縫いの部分も青糸で補修。

縫った後に早速フィットさせてみるとカバーがゴワゴワせず、作業がずっとスムーズに行くことが分かった(当然と言えば当然)。

いつもながら率先して補修してくれたベター・ハーフよ、ありがとう。






(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
日本のヤフー・フリッカ・グループ

2011年2月14日月曜日

葡萄の蔦のスクロールワーク

葡萄の蔦の [スクロールワーク] はフリッカのトレード・マークと言って良い程フリッカとは切り離せないが、シアトルのフリッカ 『トゥーカン』 のオーナーのロンは手入れの良い木造の古いパワーボートに施されているこのスクロールワークを目にした。

ハルやスーパーストラクチャーのラインや色とバランスが取れ、艇のキャラクターを際立たせている。


この良き海の伝統も最近のヨットにはめっきり見られなくなった。特に彫り込みやレリーフのものはそうそう見られない。せいぜい代わりに星形や鏃(ヤジリ)を模した三角形など、シンプルな飾りがある程度。

こちらはトゥーカンのスクロールワーク。

たまたま上のパワーボートと同じ色。


ファイバーグラス艇ながらカーヴル・プランキング(板の張り込み)のラインだけでなく、彫り込みのスクロールワーク(実際はモールドに作り込み)まで付けたフリッカは古き良き木造船時代の手間隙かけた味わいを今に引き継いでいる。

***

ところでロンはやはりトゥーカンを売るのは止めた。乗り換えようと思っていた24~27フィート艇で自艇とほぼ同じ位の値段のものとなるとどれもかなり手入れの必要な中古艇になる。それらと今まで大事にしてきた愛艇を比べると、どちらを取るか答えは明白だったようだ。

(写真上はシアトル係留のパワーボート、下はPSC製434艇中340番 Toucan です。)
Toucan ホームページ・ブロッグ

2011年2月13日日曜日

レッド・ラスカル建造時の船台

自作フリッカの [レッド・ラスカル] は自宅のガレージで建造したが、船台は2個作ったという。1台目はハルを上下逆にした形で内側から支えるためのもの。2台目がこの写真のものでハル完成後それをフリップしてデッキや内部工作のためハルを外側から支えるものだ。

この写真はリギングを除く全てを完成させ、自宅からマリーナに艇を移動させる時のスナップ。





運送業者が船台ごとジャッキ・アップして左の赤いトラックで引っ張るフラット・ベッド・トレイラーの荷台に載せるための準備をしている。

右手前に立っている人物がオーナー。旅客機パイロットをしながら休みの日に造り続け、10年かかって完成。やっと運び出す日が来たがマリーナまで無傷で行けるだろうかと心配そうな様子。

船台は全て2x6(ノミナル・サイズ2"x6"、実寸1・3/4" x 5・3/4")で作成。底部枠組みの中、舷側の用材は2枚重ねだが、手前に見えるスターン部のクロス用材は1枚だけ。その部分が作業中ブヨンブヨンとしなりを見せ、肝が冷えたそうだ。ここも2枚重ねにしておくべきだったと後で書いている。

尚、一台目のハル造作用船台には狭いガレージ内で作業しやすいようにキャスターを6個(1個当たり荷重500ポンドで計算)付けていたが、この二台目にキャスターを付けるとしたら12個付けないと完成艇6000ポンドの重量を支えきれない計算になる。キャスターを付けると艇のトップがガレージの屋根裏に当たってしまうために付けなかったのだそうだが、ガレージの中からは底部枠組み下に鋼管を並べ、その上に載せて転がす方法で出したという。

(写真はカリフォルニアの自作フリッカ Red Rascal です。)
フリッカ・ニューズレターのページ (最近は写真やトピックがフリッカ・ホームページ中のブログ集、また各個人のブログやUS・ヤフー・フリッカ・グループに出て、ニューズレターの媒体としての価値が殆ど消滅したため記事の材料が集まらず、新しい号は出ていない。しかしアーカイヴは興しろい。)

2011年2月12日土曜日

コックピット・ソール

船内機仕様フリッカの場合、エンジン・アクセス用ハッチがコックピット・ソール(床)の前約2/3を占めている。しかし、1983年末期以降の新型デッキ・モールドで出来たフリッカの場合、後方部分(スターンに近い場所)にはその下の空間に直接アクセスできる便利な開口部は無い。

従ってその空間はエンジン用排水・排気管が通っている位のもので、空間の大部分が活用されず、デッド・スペースになっている。

そこでこのフリッカ [テキサス・ジャック] では後付でハッチを装着した。






このハッチの下は恐らくマリーン合板やファイバーグラス+エポキシで棚や仕切りが作り込まれ、収納スペースになっているのだろう。長期クルーズを予定しているオーナーには一考の価値があるかも知れない。

まだ実測した訳ではないが、開口部 7" x 11"、外周部 10+1/4" x 14+1/4" (" = インチ) の [このハッチ] (左側・ロックひとつ) ならぎりぎり収まりそうだ。(下記註参照

尚、90年代のフリッカではこの写真のようにエンジン・ダッシボード(計器盤)が埋め込み式になっている。

***

後日註: ぎりぎりではなくこの写真に写っているようにちょうど都合良く収まる。この写真のハッチは上のリンク先のハッチそのもの。

(写真はPSC製434艇中、番数未確認、1993年製 Peoria 改め Texas Jack です。)
フリッカ・ブローシュアのページ (14頁版、8頁版へのリンク有。)

2011年2月11日金曜日

マリーナへ (Videos)

タックして帰路に就く。



陽光で光る海を帆走するのは気持ち良い。太陽はまだかなり南寄りを廻っているが、頭上を通るようになるのももうすぐだ。



約5ノットの風で南下を続ける。引き潮(逆潮)のため対地艇速1.4~1.5ノット。このようなのんびり帆走もまた良し。

(ビデオはいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・パッセージのページ フリッカ各艇の長距離航行記録を載せるページ。(全6ページ、各ページ一番下の Next>> をクリック。)

2011年2月10日木曜日

オリオール オン・トレイラー

以前 『ニーナ』 と呼ばれていた424番艇が新(5代目)オーナーの手に渡り 『オリオール』 という鳥の名になった。

シアトルの 『トゥーカン』 も鳥の名だが、[オリオール][トゥーカン] 、どちらもフリッカのイメージに似ていないこともない。

ニーナ時代同様チェサピーク湾がベースだが、新しい母港はボルティモア対岸の [ロック・ホール] 。 新オーナーが大リーグ・ボルティモア・オリオールズのファンなのかも知れない。 (ちなみに [こちら] は鳥のボルティモア・オリオール。)















このフリッカはカター・リグだが、 [室内] は特にティーク張りの面が多く、[ヘッド] はエアーヘッドに改造、など歴代オーナーが丹精を込めて来た。

今年の夏は新オーナーにとって忘れられない格別の夏になるだろう。

(写真はPSC製434艇中424番、1994年製の Oriole a.k.a. Nina, MoonShadow です。)
フリッカ・ホームページの歴代カバー写真

2011年2月9日水曜日

プロファイル

三浦半島Sマリーナ、ウィンドチャイムのプロファイル。














水平。きれいなプロファイル写真だ。船底塗料もハル・カラーと同じ。

メインにレイジー・ジャック、ヘッスルはファーリング・ジェノア、ハルヤードやリーフィング・ラインはコックピット前のキャビン・トップまで引っ張られている。もともとフリッカはシングルハンドも楽だが、これなら言うこと無い。

陸置きにはフジツボやスライムが付着しない、ブリスターの心配がないなどの利点もある。

(写真はPSC製434艇中、番数不詳、1984~1988年頃造船の Wind Chime です。)
りりあんと3号ホームページ。 ウィンドチャイムの僚艇 Haber660。毎週良く記録され相模湾東部の海の様子やオーナーのヨットライフが手に取るように分かる。
小網代日記。 Sマリーナ、小網代辺りの様子が活写されている。りりあんと3号オーナー夫人のブログ。

2011年2月8日火曜日

パワーボート (Video)

北上中、追い抜きをかけるパワーボート。

通過直後、ヘッドアップしてウェイク(曳き波)を斜めにカット。フェリーやタグボートなら迫力があるが、小さいボートだったので何と言う事は無い。

ヘルムを握っているベター・ハーフはこれまでも数知れず大小のウェイクを横切って来たベテラン。



のんびりとキャンドル・スティック・ポイントを通過し、ハンターズ・ポイントへ。

メインは2箇所(2本のリーフ・ポイント)でセイルをピンチしてしまっている。あと約1~2インチづつリーフィング・ラインを緩めるべき。オフ・シーズンからの起動日でまだボケている。



いつもながらこの辺りは風が落ちる。エッブ・タイド(引き潮)が強くなって来る時間でもあるし、今日はそろそろ反転した方が良さそうだ。

(ビデオはいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・スペックのページ

2011年2月7日月曜日

2011年シーズンを私的にオープン (Videos)

2月5日土曜日、オフィシャルには5月末がシーズンの幕開けだが、気温が20℃以上、晴天ともなれば、そんなことは言っていられない。サウス・ベイだけでもセレ二ティーの他多数のセイルボートが各マリーナから出航。マリーナ自体もボートの準備をするオーナーたちで賑わい、夏の様だった。

2:40pmにマリーナの外に出る。風は今ひとつ。北北西の風6.5~7.3ノットで北東(約50度)に向かう。艇速4.3~4.5ノット。しかしすぐに北西の風4.9~5.2ノットに落ちて艇速3.4~3.6ノット。



風はその後西北西に廻り、5.4ノットを超す。針路をいつもの真北に変更。3時位に太平洋からの風になるのは夏型。2月初めでこの様子だと、今年は毎日15~25+ノットの西風が吹く夏の到来も早いのではないか、と期待が持てる。(日本では冬に良い風が吹き、夏はダウンするが、SF湾はその反対。)



とにかくまだ冬なのに帆走ができた事に大満足。

(ビデオはいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカのリグ

2011年2月6日日曜日

クリート

『ノウマッド』 のキャビン・トップ・クリート。クリートしたハルヤードの上に輪にしたバンジー・コードが掛けてある。

しかし誰かクリートしたラインが勝手に解けた話を聞いたことがあるだろうか。







クリートした残りのハルヤード(レイジー・エンド)をコイルしてそのコイルが解けないようにするための工夫かも知れない。しかしセイルが畳んである間はバンジー・コードなどに頼らず、[コイルをラップ] しておけば済むことだから、帆走中にハルヤードをまとめておくことだけに使うのかも知れない。

それにしてもこの艇、もうラニング・リギングの交換時期ではないか。新調のラインはブロックやシーブも流れるように通過する。セイルをホイストする時もこんなに軽かったのかと驚くはずだ。

(写真はPSC製434艇中054番 Nomad です。)
『ノウマッド』 オーナーのビル・ホウガンのタンブラー・ブログ 写真だけ楽しんで英語の書き込みは無視してください。

2011年2月5日土曜日

タラッサ - オン・ザ・ハード

PSC(Pacific Seacraft) が南カリフォルニアのコスタ・メサでフリッカの生産を始めたのは1977年。

それ以前はサンタ・バーバラに在ったノー’スター (Nor'Star) が、ブルース・ビンガム(フリッカ設計者)とケイティー・バークのカップルが造ったモールドを購入してファイバーグラスのハルを生産、同じ南カリフォルニアのウェスタリー社にデッキ造作を任せていた。

タラッサはその同じモールドを使ってPSCが生産した第2号(ハル#002)だ。





まだデッキ・モールドは無かったのでデッキやスーパー・ストラクチャー(ハウスを含むデッキ上の造作物)はファクトリーでのワン・オフか、艇のオーナーの自作。 おそらく後者、またはオーナーがプロにオーダーして造ってもらったものだろう。

(PSCは譲り受けたモールドによるフリッカ生産開始に平行し、独自のハル・モールド、デッキ・モールドの開発・製作をスタートさせた。)

バウスプリット先端のクランズ・アイアンに装着のフォアステイ(ヘッドステイ)、スプリット根元に装着したイナー・ヘッドステイ。完全なカター・リグ。

デッキはティーク製とのことだが、後年上にキャンバスを張り、ノン・スキッドなどの塗装を施したようだ。



昔の木造船では良く見かけた処方。フォアデッキにはブロンズ・クリートではなく木のサムソン・ポストが座り、チェインプレイトにも木が使われている。趣のあるフリッカだ。

サムソン・ポストやバウスプリット、それにハウスの壁はティーク同様に腐り難いアラスカン・イエロー・シーダーのようだ。タラッサ初代オーナーの地元、ワシントン州では入手しやすい木材だ。

タラッサというのはギリシャ神話で海の女神。長生きして欲しい。

同艇についての詳細は [こちら] を参照され度。

(写真はいずれもPSC製434艇中002番目、1977年製の Thalassa です。)
フリッカ・データベース

2011年2月4日金曜日

工夫

MdRのフリッカ 『ノウマッド』 のオーナー、ウィリアム(ビル)・ホウガンは口八丁手八丁のなかなかユニークな人間だ。昨年から長期クルーズに向け、艇と自分の準備に余念がない。

針路北西のポート・タックでサンタモニカ湾を北上中。









コックピット・コーミング横のクラム・クリートに噛ませたラインは [独自のプリヴェンター] 用。

ティークのトウ・レイルの下に見える長方形の孔はサイド・デッキからの排水用スカッパー(スタンダード)だが、画面手前に見える円形の排水口(後付け)は何のために付けたのか分からない。

フォール・アウェイしてブロード・リーチ。










ビルのアイデアか、前オーナーが付けたのかは不明だが、キャビントップにはティーク製のゲイト(門)が装着されている。ストッパー・ノットを結んでおけばハルヤードが不意にキャビントップからズリ落ちることはないが、それだけのために付けたのだろうか。

ヘッド・アップ。 だんだんマリブに近づいて来た。









シー・フッド後端には高いティークのトリムを付け足してある。メイン・ハッチを開けている時多少のスプレイ避けにはなるかも知れないが、これはファクトリー・オプション?

とにかくこの艇には以前にも見たようにあちこち他のフリッカにはないものが付いている。

***

さて、ビルが真骨頂を発揮しているのはこのビデオ。バットマンのベルトにヒントを得たというPFD(救命浮体)ショーツ。既製品のPFDと転落防止用テザー装着のためのハーネスをパンツ型に一体化したもの。

[YouTube Video]

ハーネスはマストに登る時のボースンズ・チェアにもなり、海上からデッキへの引き揚げにもそのまま使用できる。

上体がフリーなのでデッキ上の作業もしやすく、シャツやジャケット脱着の際も邪魔にならないばかりか、PFDは常時腰に巻かれているので安心。パンツにはベルクロ付きのポケットが付いているのでVHFやPLB等小物ディヴァイスも肌身離さず持っていることができる。

コンペにも提出したらしい。その結果がどうなろうと、なかなか実用的な工夫だ。

(写真はいずれもPSC製434艇中054番 Nomad です。)
USヤフー・フリッカ・グループ