STB側のコックピット排水ホース(中央の太いホース)の右隣りに見える2本の黒いホースが本日のテーマ。
2本とも先端は何処にも接続されておらず、宙ぶらりん。
なぜ先端近くにクランプが付いているのかは不明。
この2本のホースを初めて目にした時、以前はどこかに接続されていて今は使わなくなったものをそのまま放置しているのではないか、と思った。
後方を見ると、エンジン・ルームとコックピット・ロッカーを仕切る合板に孔が開けられ、そこからコックピット・ロッカー側に抜けている。
コックピット・ロッカーの底部。船尾側から船首方向を望む。
手前の白いパイプの陰になってちょっと見辛いが、一等奥、壁を抜けた2本の黒いホースが束になり、バッテリーを置く白い厚板の下を右側(アウトボード側)へ延びている。
(尚、手前の黒い太いホースはホールディング・タンクからの排出用 = これについてはまた後日)。
アウトボード側に達した2本のホースはハルの内面に沿って上へ。
途中ブロンズ製二股ソケットで2本が1本になり、さらに上へ。
エンジン・ルームに向かう際、なぜ2本に分かれなければならないのか、理由は不明。
もしかしたら横波や追波を受け、ヴェントから水が入った場合、ヒール角によって低い側のホースに落とし、もう1本で気道を確保するのか。いや、そうだとしたら上から3枚目の写真のように、エンジン・ルームに入ってわざわざまた高く吊り上げる必要もないはずだ。不可思議。
ホース先端はコックピット・コーミング横に装着されたブロンズ製ヴェント(通気口)に接続されている。
(向こう側に見えるのはホールディング・タンクのヴェント・ライン。このようにコックピット・ロッカーはアウトボード側上部で個室ヘッド(トイレ)後ろのウェット・ロッカーと繋がっていてエアーが自由に往来できる。)
ヴェント外観。
右側がエンジン・ルームからのもの。
と言う訳で、今はエンジン・ルームにぶら下がったホース2本ともエンジン・ルームの通気を良くするヴェント・ラインと勝手に解釈しているが、本来の用途は何だったのだろう。他のフリッカではどうなっているのか、ぜひ見てみたいものだ。
尚、1GM10 のエンジン稼動(燃料燃焼)にはエンジン・ルームに直径50mmのホースから入って来る量の外気が必要だそうだ。フリッカではコンパニオンウェイ下、エンジン・ルームへのアクセス口を閉じてしまっても、エンジン・ルームのスターン部分上部はSTB側がコックピット・ロッカー、ポート側がクォーター・バースと空間が繋がっているためエアー供給が不足することはない。
この他にも
(1) コックピット・ロッカー(ロッカーの蓋の下や、個室ヘッドからエアーが入って来る) ⇒ 上の4枚目の写真に見えるような、コックピット・ロッカーからエンジン・ルームへ通じる各種孔の隙間(エンジン・リモート・コントロールとギアのワイヤーを通す孔、ホールディング・タンクからの排水用ホースを通す孔、など)
(2) フォア・デッキのハウザー・パイプの隙間 ⇒ チェイン・ロッカー ⇒ 燃料タンクの下 ⇒ ビルジ ⇒ スタッフィング・ボックス下のエンジン・パンの開口部。
(3) コックピット・ソールの [エンジン・アクセス・ハッチ下の隙間] (ただし、ガスケットで完全に封鎖してしまった場合は皆無)、
などエアーの抜け口は方々にあり、密閉状態からは程遠い。
昔のガソリン・エンジン船内機のセイルボートはスターン部にも必ず相応のカウルを付けて通気を確保することが必須だった。ディーゼルの場合でも良く見られた。しかしフリッカでは上記のようにエンジンへのエアー供給源に問題はないようだ。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
⇒フリッカ・データベース