これはPSC製ハル番号172番、ライト・ジャックのインテリア。中央にマストからの荷重を支えるコンプレッション・ポスト(柱)がある。フリッカはコンプレッション・ポストが無くても良いように、キャビン・トップにマリン合板とファイバーグラスの積層で拵えた分厚いアーチが仕込まれているので、このような造作を目にできるのは極めて珍しい。
1981年製と思われるこの艇、キャビン内の仕上げはオーナー・フィニッシかも知れない。またオリジナル・オーナーが神経質な人で、どうしても無いと心配だと、ファクトリーにカスタマイズ・オーダーを出したのかも知れない。
もともと初期フリッカにはキャビン内にセンター・ポストどころかポストはひとつもない。バルクヘッドがあるだけだ。
PSCは一艇でも多く受注したかったのだろう、1984年くらいからフリッカの設計者ではなく、雑誌などに批評を書いている世間のヨット評論家の声を聞いて、スタンダードで左舷側に1本のポストを仕込むようになったが、それとて実はマストからの荷重を支えるためではなく、手すりと言った方が良い。
この艇のオーナーも近々、この邪魔なポストを取り払うそうだ。実はキャビン・ソール(床)に殆ど浮いているような状態なので簡単に取れるそうだ。ポストはその下の敷板の穴に差し込んであるが、それはポストが前後左右に振れないように、留めの役をするためだけのものという。
このフリッカには他にも一風変わったところがある。まずはこれ、逆Y字型のスプリット・バックステイ。
スプリットの場所が低すぎる。これではセイリング時、殆どいつも、ブーム・エンドに付いているメイン・シートがステイに擦れてしまう。この点どうも素人くさい。
この写真、部分的なのが残念だが、コックピット・シートに注目。
どうも右舷シート(ロッカー)の幅が板一枚分以上狭いように見えるがどうだろう。いや、それよりスターンに沿ってブリッジ・デッキが設えてある。実にユニークだ。キット(オーナー・コンプリーション)ボートでもデッキはFRPのファクトリー製だと思うが、これも自分でカスタマイズしたのだろうか。
この艇の他にもユニークなフィーチャーを持ったフリッカがまたいつか現れるかも知れない。
(写真はいずれもPSC製434艇中172番目 Right Jack です。)
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