2月20日日曜日午前、艇に着くと、ギャリー前の壁に漏水の痕跡がはっきり見える。前日までの激しい雨でデッキからリークしたのだ。
漏水は壁を伝って下のアイスボックスの上へ、さらにボックスの蓋の周りから中へ落ち、ボックスの底に溜まっていた。量は約20ccで、ビルジへの排水ホースに流れるほどの量ではなかった。
漏れた翌朝の晴天時に来れたのは幸い。まだ湿っているところがあるはず。
早速原因の調査。リークの痕跡から漏れた箇所は間違いなくマストを支える分厚いアーチ部分。
アーチ部分の天井ビニール・カバーのジッパーを開け、裏の断熱用クッションをマスト下から順に手で触ってみる。すると、デッキ・オーガナイザーあたりに湿り気が。やはり原因はここか。
これまで切るのを躊躇してきた断熱材の中央部を鋏でカット。オーガナイザーを点検。
うーん、この部分自体に漏れはない。ボルト・ナットの出っ張りで断熱材が多少下がっていたためそこに水が溜まったということだろう。
まさかとは思うがマストを支える金属板(タバーナクル)のボルト・ナット部分からのリークか。艇が多少とも右舷に傾いている時は右舷に流れ、今回のように左舷に傾いている時は左舷に流れ、ふむ、タバーナクルの再ベディングならマストをアンステップしなくちゃならない、ちょいと面倒なことになりそうだ、と考えながら、断熱材を右舷端まで全部カット。
しかし、タバーナクル部分は断熱材もドライだったし、こうやって目視しても触ってみても何の問題もない。ホッとする。だが原因はどこだろう。
今度はアーチの左舷端からアーチ前端部に沿って断熱材の湿り具合を手で確かめていくと、この辺りが一番怪しい。
痕跡も明確。やはりここがリーク源のようだ。
しかし、この上に何があったかな。
ポスト(柱)左上の部分にペーパー・タオルを入れ、水分を吸収しているところ。柱の接着している周辺は水が流れ難く水分が残り易いようだ。
念のために手前のハッチ部分からのリークはないかと、そこの天井コンパートメントのジッパーを開け、手で触ってチェックしたが問題はなかった。
ポスト(柱)左上の膨らんだ箇所から3-4cm左側が断熱材上のリーク痕跡の濃い部分。
デッキに上がるとちょうどその部分にマストトップのVHFアンテナからのコーアックス・ケーブルがデッキ下に入る孔がある。
ここが原因のようだ。良く観察すると、孔に付いた六角ナットと中に入るケーブル間の隙間を無くすため幾重にも巻いておいたビニール・テープが劣化して幅2-3mmの円形のギャップが出来ている。
劣化したテープを取り外したところ。円形ギャップが良く分かる。
これなら大雨・長雨でリークするのも無理はない。
ということは以前右舷側にリークした時はマストトップ航海灯電線のスルー・デッキから洩れていたということだ。
なるほど右舷側にリークした時断熱材を大方触ってみたがどこも濡れていなかったのはそういう訳か。水はアーチ前端に沿って右舷へ走っているビニール・カバー付き電線を伝いハウス側壁上部に至り、天井カバーの一番低い部分から壁を伝ってセッティー・クッションの上に流れ落ちていたのだ。
4シーズン程前にめくれたテープを目にして、見苦しいな、と貼り直しておいた補修テープが、リーク対策として利いていた訳だ。
ともかく大掛かりな修理は不要のようで一安心。かつ、今までの疑問が解けて納得。同時に、もっと早く断熱材を切開し点検しておけば良かった、と反省。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
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