フリッカは味深い、飽きの来ない、木のぬくもりを感じさせるヨットだ。フリッカのハルには丁寧にカーヴル・プランキングのラインまで入れてある。ステムの形もカーヴル・プランキングを張り込む木のステムそのものだ。マリーナやボートヤードでこれは木造か、と聞きに来る人の数は少なくない。
フリッカでファイバーグラスだからこういう形ができた、と言える点はひとつもない。逆に言えば造ろうと思えば全て木で造り上げることも可能なデザインということ。
外見がそうだから、キャビン内もウディな感じを出そう、とティークをふんだんに使ってあるが、この艇はまた特別。
ちなみに [このリンク・ページ] の写真、トップの1枚が典型的なフリッカの内装だ。
ティークのソール(フロアのこと)の周りのせり上がり、その上の垂直な壁の部分、どこもかしこもティークで被ってある。
ドロップ・リーフ式のテーブルも例外ではない。木のテーブルは昨日のフリッカとこの艇だけ。他には見られない。
この写真では下のバルクヘッドやカボードの直線と対照的に、複雑でありながら単純に見えるハウスの壁の曲線が実に良く捉えられている。フォアからアフト方向へどんどん低くなるサイドデッキ。キャビン内がティーク張りであろうがなかろうが、キャビン内部からこのようにきれいに木造船のラインが見えるヨットは今日ではあまり見かけなくなった。
(写真はPSC製434艇中424番目 MoonShadow です。)
⇒フリッカ・ホームページ