フリッカの自作艇は1970年代の後半に相当数造られた。ハルはフェロ・セメント(鉄筋コンクリート)、デッキとハウスは木造が多い。
この艇は一見自作艇だが、ハルはPSC製の002番、ファイバーグラス製だ。
ハウスはフリッカ設計者ビンガムのキャンバー(トップの円弧)のきついデザインでも、後のPSCのファクトリー・デザインでもなく、自分なりにアダプトしたと思える角型。デッキ、ハウス、インテリアは自作のように見える。
しかしPSCのハルは当初ノー’スターから受け継いだモールドで造っていたし、もしかしたらPSCが生産を始めた当初はノー’スター製フリッカのデッキとスーパーストラクチャーを担当していたウェスタリー社の関与もまだあったのかも知れない。1977年末頃のノー’スターからPSCへの過渡期についてはまだはっきりと分かっていないことが多い。
フリッカ・デザインの源流、ニューイングランド地方のニューポート・ボート、さもありなん、と思わせる姿。
上架するのか降ろしたばかりなのか、トラべルリフトのベルトが所定位置についたまま。
サイド・デッキが広いのはビンガムの当初のデザインどおり。目を引くのはバンプキン。船首に付いたバウスプリットでフォアステイを船外に伸ばしているように、船尾にバンプキンを付け、バックステイを後ろに伸ばしている。これによりメインスルの面積拡大が可能。ブームがPSCスタンダードより1~2フィートは長い。リグはカターでマストからはヤンキー用のイナー・ヘッドステイと同じ高さのところにラニング・バックステイが付いている。
ディーゼルの計器盤はコンパニオンウェイの下にある。
エンジンは Volvo MD1、オーナーは5年ほど前 MD2010 か Westerbeke 12C wp に換装したい旨書いていたが、どうなっただろうか。この写真は2005年撮影。
尚、もともとは太平洋側ワシントン州の艇だったが、その後オーナーの変遷、転居により、フロリダ、テキサス、ロード・アイランドと場所を変えた。
フリッカ・デザインの源、ニューポート・ボートのふるさと、ロード・アイランド州に辿り着いたのは偶然だろうか。
(写真はPSC製434艇中002番目、1977年製の Thalassa です。)
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