2012年2月29日水曜日

ラ・パーズのダルシニア インテリア 2

クォーター・バースには [以前見られなかった] クッションが戻されている。

中にはセイル・バッグがひとつ。

さすがにティーク・ストレイクは奥までは張られていない。




フリッカのクォーター・バースの長さは約7フィートで人が横になるのに充分だが、出入りにはちょっとしたコツを要する。しかし、この艇ではその入り口のアウトボード側に特製のシェルフを付けたので実際にバースとしての利用は子供で無い限り難しそうな気がする。ボート・フックを使わなければ奥のセイルの出し入れさえ困難だろう。

標題のインテリアとはかけ離れたフォアから見上げたマストの写真。

マストのフォア側に立ててあるのはウィスカー・ポール。スプレッダーの上にある円いものはマスト・マウントの [レイダー] だ。この高さなら波浪の高い荒れた海でもかなり有効なはず。








中央特製のシェルフに置いてあるのがレイダー・スクリーン。その右はプリンセス・ブランドのプロパン・レンジ。



バルクヘッドにはイクストラの配電盤も付けられている。その横はGPSプロッターだが、画面左端のEPIRBの上にはバックアップ用ハンドヘルドのGPSも乗せられている。アウトボード側、VHFの上にDatamarine 製の各機器(風向風速計、ノット・メーター、デプス・サウンダー)用コントロール・パネルらしきものも見えるが、実際に乗艇して確認してみたいものだ。

尚、昨日の [用途不詳] のコントロールは軽油を燃料とする [エスパー室内暖房機] 用と判明した。

(写真はPSC製434艇中412番目 Dulcinea です。)
フリッカのリグ

2012年2月28日火曜日

ラ・パーズのダルシニア インテリア 1

オイルでメンテされた室内。基本的には [1年半前] と変わりないが人一人暮らしている生活感がある。どうやら女性らしい。

室内は整理整頓されすっきりしている。

テーブルを降ろした状態。





スタンダードではテーブルを壁に留めるのにベルクロを使っているが、この艇にはラッチが装着してある。

テーブルをセットした状態。

画面下の壁にラッチが見える。






シンクの向こうには鏡が付いた。

消化器の位置は料理中でもVバースからでもアクセス出来、機能的には申し分ない。





対面のSTB側。

ハル内壁もティークのストレイク張り。






この一角、少し雑然と見えるが未整理ではない。画面右のボックスに入った缶はフォグ・ホーン。ついつい便利なので帽子掛けに使ってある。セッティー後ろの棚にはウィンチ・ハンドルが置いてあり、団欒用のカード・ゲームUNOの箱も見える。

サイドデッキ下バルクヘッドに装着されたコントロールは用途不詳。

(写真はPSC製434艇中412番目 Dulcinea です。)
フリッカのスペック

2012年2月27日月曜日

ラ・パーズのダルシニア スターン


以前登場したウィンドヴェイン(自動操舵装置)、ウィンドパイロット社の [パシフィック・ライト]

モニター・ウィンドヴェインに比べ軽量なのでフリッカのような小型艇にはちょうど良いようだ。










ハードタイプのソーラー・パネル。アングル可変式。メキシコの太陽の下では効率が良いに違いない。



エンジン・ダッシボードの布カバーを外したところ。








ダッシ前にはキー差込口とスターター・ボタンの部分だけが開いたプレキシグラスのカバーも付いている。これは他の艇でも目にした。後期(1990年代)フリッカのスタンダードかも知れない。

(写真はPSC製434艇中412番目 Dulcinea です。)
日本のヤフー・フリッカ・グループ

2012年2月26日日曜日

ラ・パーズのダルシニア デッキ

ウェザーに洗われた [1年半程前のデッキ] と見比べてみよう。

ティークはオイルを染み込ませた布で拭いていくだけで生気を取り戻す。

ティークは内部に自身の自然のオイルを保っているので表面に 『ティーク』 オイルとして市販されているもの(中味はタング・オイル等)を塗らなくても腐らない。

白っぽくなったままの状態の方がソールティーに見えて良いと言う人も少なくないが、オイルを引いたばかりのティーク・デッキも悪くない。


オイルを引くと製材したばかりのティークのような色合いと肌触りが甦る。






フォアデッキは無論、フォアワード・ハッチ、シーフッド、トウ・レイル、サイドデッキ、コーミング・トップ、コーミング・ボックスのティークは全てオプション。どこをティークにするかは注文時に選べた。これ程ティークの多いフリッカは極めて少ない。

尚、この艇には方々にトップガンかサンブレラ生地のカバーが見られる。コンパス・カバーも然り。





左舷側バルクヘッドの各ディスプレイも、スターンのエンジン・ダッシボードも同じ生地のカバー。




シート・クッションやコックピット・ソールのティーク・グレイティング(スノコ)で乗り心地も良いだろう。

(写真はPSC製434艇中412番目 Dulcinea です。)
フリッカの歴史 (History of the Flicka)

2012年2月25日土曜日

きれいになったダルシニア

昨年春までメキシコのサン・カルロスに上架され売りに出ていた [ダルシニア] がきれいに甦っている。

まるで新艇のような美しさ。










以前から艤装・備品は一級だったこの艇。このまま何処へでも乗っていけそうだ。現在の係留場所はコルテズ海に面したバハ・カリフォルニア(下カリフォルニア=カリフォルニア半島)の [ラ・パーズ]

何も塗られていなかったイクステリアのティークもしっとりしたオイル仕上げになっている。





船籍はカリフォルニア州のまま。現オーナーもアメリカ人らしい。サン・カルロスで購入後、1年程コルテズ海を楽しんだようだ。ダルシニアはこのオーナーによってまた売りに出された。

ラ・パーズのブロウカーを通しているが、このブロウカーもアメリカ人のようだ。

現地でヨットを買ってクルーズし、それが終わるとまた現地で売りに出す。それもひとつのスタイルで珍しいことではない。ダルシニアには今度はどんな出逢いが待っているだろう。








(写真はPSC製434艇中412番目 Dulcinea です。)
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2012年2月24日金曜日

夕陽

本日の写真はノー’スターやPSCがフリッカを生産し始める以前の1973年に造られた自作艇(カスタム・オーダー艇) [フリッカと言う名のフリッカ] から見たチェサピーク湾の夕陽。

平たい海に錨を降ろして眺める夕陽は格別。









チェサピーク湾と言えば [ブルー・クラブ] 。サンフランシスコの [ダンジェネス・クラブ]、ハサミの部分を食べるフロリダの [ストーン・クラブ] と並んで何度でも口にしたいおいしい蟹だ。

無論茹でれば赤くなるが、釜で茹で揚がったばかりのものをウェイトレスが大きなザルに入れて運んで来てそのままテーブルにバサッとひっくり返し、ナプキンと紙エプロンで身を守った客たちが木のハンマーで殻を割って食べるおいしいレストランが昔サンタモニカにあった。茹でた直後にまぶした塩と香辛料が利いていて、時折白ワインや甘いコールスローを口にして中和する。毎日メリーランドからブルー・クラブを空輸し、その名もメリーランド・クラブ・ハウスという名前の店だったが21~22年前のある日突然店が無くなってしまった。

この風景を見てつい思い出してしまった。いまでもよだれが出てくる。

(写真は1973年製の自作フリッカ Flicka です。)
フリッカ・ニューズレターのページ 最近は写真やレポートなどを皆んなブログやフリッカのグループサイトで発表・報告するので新しい号はここ2~3年発行されていないが、アーカイヴは楽しめる。

2012年2月23日木曜日

セイリング・グラヴズ

セイリング・シーズンが近い。

こちらでは10日程前に特に暖かい日があり、その時開花した桜が今はあちこちで満開になっている。セレニティーのメンテも残すはデッキのティークのエピファン塗り、ハルとデッキのファイバーグラスのケア(ニューグラス2)のみ。

日本で言う春X番の強風も既に何番か吹いて、西風の日も多くなり、いつでも私的にシーズンをオープンできる環境。実際2月に入ってから週末に出航する艇も増えて来た。

先日コンパニオンウェイのノン・スキッドを買いに行ったホーム・センターで見つけた手袋。





ワーク・アパレルでは知られたWells Lamont の製品。今年はこれで行ってみようと思う。手に嵌めてみたがなかなか良いフィット。補強部も滑り止めもなかなか。中指と薬指には使う身になって考えた指貫が付いている(手の甲側=画面右のペア参照)。右手の手袋を脱ぐ時は左手の指を、左手の手袋を脱ぐ時は右手の指をここに入れてグイと引くといとも簡単に脱ぐことができる。

通常価格6ドル半、当日のセール価格は5ドル。迷わず2組購入した。

(写真はPSC製434艇中295番 Serenity 関連の物です。)
USヤフー・フリッカ・グループ

2012年2月22日水曜日

セレニティー インテリア他部

曇り空のため室内も暗いが、以下、エピファン塗布完了後の他の部分のスナップ。時間はかかったがリフレッシュ出来て良かった。

しかし、ファクトリーが室内をニス仕上げ(またはエピファン仕上げ)にしなかった理由も身に染みて分かった。




オイル・フィニッシの場合、フリッカなら半日~1日で終わる。1週間~10日もかかる仕上げでは算盤に乗らないのだ。艇の生産ラインのスペースもいくらあっても足りなくなる。

機能に無関係なところにはできるだけ金をかけず、艇を早く安く手に入れたいという注文主たちの気持ちも大きかったにちがいない。





それにしても先日のテキサス(元ミシガン)州の自作フリッカは20ft艇中に良くも色んなものを詰め込んだものだと感心する。


ヘッド(WC)を斜めに配置して個室を短くする、スーパーストラクチャー(ハウス)のフォア・エンドを斜めにする、等の工夫で、室内のフォア&アフト(船首船尾方向)のスペースが少なくとも [ウェット・ロッカー分] 長く使えているのではないかと思う。

ビームやソールもPSC艇のようにモールドから造ったファイバーグラス製イナー・ライナーが無いので各舷およびソールをそれぞれ7~10cm程外に押し広げたようなスペースが確保出来ている気がする。長期クルーズやリブ・アボードを目指した自作艇の醍醐味ではないだろうか。

しかし、小生どもはこのオープンなPSC製インテリアが気に入っている。

(写真はPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・データベース

2012年2月21日火曜日

セレニティー キャビン・ソール

インテリアにエピファンを4回塗りした後、キャビン・ソール(床)にもエピファンを塗布。ただソールにはシンナーで約50%に薄めたエピファンを1回しか塗っていない。

そもそもエピファンその他のニス類仕上げは水に濡れると滑りやすいのでソールには向いていない。できれば生地をそのまま生かせるベアーかオイル仕上げのままが良い。それを敢えて塗ったのは、27年の歳月を経てソールが汚くなっていたからだ。特に初代~3代目オーナー中の誰かが使用済みエンジン・オイルか料理用オイルをこぼした後が黒っぽく大きい染みになっているギャリー前を何とかしたかった。また全体的に黄ばんで暗くなっていた板と板の間の白い部分(ハリー)も明るさを取り戻せたらと思っていた。

しかし、サンディングもエピファンもあまり効果はなかった(以前漂白剤も試したがそれも効果無し)。

比較的汚れのなかったVバース部分はまだ良い。









コンパニオンウェイからコンプレッション・ポストまで、殊に染みの入ったアイス・ボックス前部分はエピファンの乗りが甚だ良ろしくない。丁寧なサンディングとアルコール清拭の後、染み込みを良くする為シンナーで約50%に薄めたものを塗ったにも拘わらずそういう状態。エピファンの中でも殊に油分に強いことが歌い文句のグロス・フィニッシにしてそうなのだ。

2コート目以降を塗るのは無駄と判断してあっさり取り止めた。いつか新しい [ティーク&ハリー] に張り替える積もり。

それまではカーペットでごまかす。(キャビンのティーク・ソールは素足、又はソックスを履いただけの足には冷たい。寛ぐ時に履物は履きたくないのでいつもカーペットを敷いている。張り替えた後も居心地を良くするためにカーペットは手放せないと思う。)

(写真はPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・ホームページで今売りに出されているフリッカ一覧

2012年2月20日月曜日

セレニティー、コンパニオンウェイ・ラダーのノン・スキッド

インテリアのエピファン塗りの [完了] 後、気を付けなければならないのはその滑り。

ノン・スキッド(滑り止め)が無いと靴の底が水に濡れていたり、ステップ自体が何がしかの理由で濡れていたらツルッと滑って大事になり兼ねない。

デッキでも室内でも使われる後張りのノン・スキッドに [トレッドマスター・ノン・スキッド] がある。セレニティーでもそれにしようと思っていたが、後述の3つの理由で3Mのノン・スキッド(幅4インチの3M Anti-Slip Tape)を貼ることに決定。

しかし近くのホーム・センターで購入した3Mノン・スキッドの色はグレイ。グレイで長方形のノン・スキッドを貼るのはせっかくエピファン仕上げにしたインテリアに合わず無粋な感じ。

ベター・ハーフと相談して正円形にしたものを3つ並べたらどうだろうと考え、試しにプラスティック・カップを並べてみる。大きさは悪くないようだ。




3フィート購入したノン・スキッドのロールに裏側から鉛筆で型取りして行く。

この後、円形9個をハサミで切り取った。(3フィートで円が11個半取れるが残りはスペアとして保存。)










慎重にスペースを計算しながら裏紙を剥がし、階段2段+基盤1段に一式貼り終えたところ。

機能テストの結果も良く満足している。

何はともあれ安全第一。









***

3Mのノン・スキッドにした理由

● マリーン関係ネット通販サイト等でトレッドマスター・ノン・スキッドのユーザー評価を確認したところ、意外と耐久性不足、それに伴う剥がす時の難儀など、不満足な人の書き込みが多かった。

● セレニティーでは都合3段分が必要だが、コンパニオンウェイに適当なサイズのトレッドマスター・ノン・スキッドは [2枚一組] で販売されているので計二組の購入が必要。

● 二組購入するには値段が高すぎる($25x2、送料別)。

ちなみに4インチ幅の3Mノン・スキッドは3フィート購入で$3.75、税金を入れても4ドルちょっとで、コストは14~15分の1で済んだ。

(写真はPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・パッセージのページ フリッカ各艇の長距離航行記録を載せるページ。(全6ページ、各ページ一番下の Next>> をクリック。)

2012年2月19日日曜日

テキサス州の自作フリッカ その後 (On Trailer)

内装工事を始める前にテキサスまでトレイラーに載せられた時の姿。この状態で地面からキャビントップまでの高さは11フィート。トレイラーは自作なのか、ダブル・アクスル(2軸)とは言えアンダー・サイズで安定感が今ひとつ。

実際走行時不安定なので新(現)オーナーはテキサスまで時速50マイル以下でのろのろ運転をして来たそうだ。




牽引車に接続するトレイラーのタング部分もかなり短いので艇のステム下部が当たらないよう、ピックアップ・トラックのテイル・ゲイトを外してある。

プロペラはファクトリーの2枚羽根と同じ。シャフトも直径1インチだ。








しかしジンクはシャフト・エンドの差込み式ではなく、前に在るラップ・アラウンド式。同じく自作艇のカリフォルニアのレッド・ラスカルも(3枚羽根だが) [同様のコンフィグ]

(シャフトエンド式は海中で1~2年経つとジンクが蝕われて真鍮の留めネジが緩むせいか、機走中ラダーをどちらかの舷一杯に切った時に脱落することがある。ラダーとシャフト間の [スペースは狭く] 、脱落時にガリガリガリッとジングがラダーを擦る音がするのでそれと判るが、ラップ・アラウンド式はどうだろう。プロペラに当たって落ちそうな気もする。)

余談だがセレニティーでは今の2枚固定翼のプロペラを推進力アップのためいつか [3枚可変翼(フォールディング・プロップ)] に変えたいと思っている。

[以前見たように] バウ・プルピットのプラットフォームは自作艇らしくユニークだ。






アンカーはSTB側がフォートレス/ダンフォース型、ポート側がCQR。

***

昨日までこの艇のインテリアを見て来たが、これからイクステリアやリグの艤装を行うのだろう。今回のシリーズはこれでおしまい。尚、テキサスに移動する前のコックピットの写真は [こちら]

(写真は元々ミシガンで建造され、テキサスで仕上げ中の自作フリッカです。)
フリッカ・ブローシュア(14頁版)

2012年2月18日土曜日

テキサス州の自作フリッカ その後 (Around the Companionway 2)

昨日見た右舷側バルクヘッドとNavステーション間の [狭いスペース] はウェット・ロッカー。

ファウル・ウェザー・ギア(防水防寒着、合羽)を濡れたまま掛けておけるハンギング・ロッカーだ。














ティークのドアを付けて完成。

通風の良いグレイト(スノコ)を付けた下部との間に仕切りがあるのかは不明。











スノコの左のスイッチは一昨日見たハート・インタフェイス製 [インヴァーター兼コンヴァーター(チャージャー)] のメイン・スイッチのようだがどうだろう。その下はインヴァーター収納スペースの通気口。

コンパ二オンウェイには頑丈なグラッブ・ハンドルが装着された。















左舷側にも一つ。

















その後、バルクヘッドにコンパスを装着。

コンパス裏側のカバーはティークで自作(嵌め込みの仕組みを見せるために外してある)。

アウトボード側のものは単なるオーガナイザーらしい。







(写真は元々ミシガンで建造され、テキサスで仕上げ中の自作フリッカです。)
フリッカのリグ

2012年2月17日金曜日

テキサス州の自作フリッカ その後 (Around the Companionway)

既に見たようにインテリアの多くのコンポーネントはロックを解除して取り外すことができるが、同じアイデアはコックピットにも及んでいる。

画面中央のバルクヘッドに仕込まれたコックを回してロックを解除すると、右端に見えているコックピット・シートを外せる。



コックの向こう側にはスターンまで伸びたロッド(金属棒)が接続されており、ロッドに付いたフックでロック/解除を行う仕掛け。

その右下、階段固定用フックの真下にもコックがあるがこれはコックピット・ソールのエンジン・アクセス・ハッチ用。




本日の写真は全てティークを貼り込む前の写真だが、キャビンからのエンジン・アクセス口はこのまま開いたままにしておくのか不明。

左舷側コックピット・シートも同じ仕掛けで取り外すことができる。








尚、この左舷側バルクヘッドとギャリー間のスペースには温水器と冷凍冷蔵庫を入れるそうだ。バルクヘッドに仮留めしたホースは温水器用、銅管は冷蔵庫用プロパン・ガス供給ライン。

この艇に搭載予定のプロパン冷凍冷蔵庫はプロパンを単にフロン(フレオン)の [代替冷媒として使用するもの] ではなく、冷媒のアンモニア(+水)を熱して高圧にするためにプロパンを燃やす 『アンモニア冷媒吸収式冷凍冷蔵庫』 。その仕組みは [この図] を参照。特にマリーン用という訳ではないが例えば [このページ] で冷媒吸収式プロパン冷凍冷蔵庫の実製品が見られる。このタイプの冷凍冷蔵庫はプロパンの燃焼で稼動するため電気(DC12V、AC120V等)は一切無用。(実製品中にはプロパン、12V、120Vのいずれでも稼動できる [コンボ・タイプ] も有る。)

コンパニオンウェイは差し板ではなくアコーディオン式ドアで閉じる。








各フレームに嵌め込まれているのは一見固定式ルーヴァーの様だが実はシャッター。下段真ん中の例のように隙間を閉じることができる。

デイ・セイリングやローカル・クルージングをする分にはやっかいな差し板の着脱に煩わされることも無く、使い勝手が良さそう。しかし、外洋や長期クルージングには厚く強靭な差し板を使い、差し板が流されないように何がしかの方法でコンパニオンウェイに固定できる仕掛けが必要だ。

(写真は元々ミシガンで建造され、テキサスで仕上げ中の自作フリッカです。)
フリッカのスペック

2012年2月16日木曜日

テキサス州の自作フリッカ その後 (Nav Station 2)

Navステーションのアウトボード側に並んだ配電盤、電圧計、VHF。(青いテープは何かの作業用らしい。)

VHF下には正体不明のエレクトロニクス。ステレオのコントローラーか。

格子付きのスペースはチャート収納場所。


画面右下のティークはシート(座席)の背もたれ。

チャート・ロッカーを開いたところ。











ティーク張りする前の写真だが、シートの中を覗いたところ。








グレーのボックスはATS(オートマティック・トランスファー・スイッチ)。ATSは艇を陸電(AC)に繋ぐとそれを自動的に艇の電源として選択する。陸電を外すと他の電源(DC12Vバッテリー)に切り替える。

右の平たいボックスは冷却ファン付きDCACインヴァーター。これで陸電を外していてもACが使える。ACDCチャージャー機能もあるのでバッテリー電圧が落ちている時艇を陸電に繋げばバッテリーを充電する。

尚、昨日見たGPSプロッター横に並んだ天井近くの [黒いパネル] はこれらの機器の稼動状況を表示するモニターだという。

チャート・ロッカー下の壁の前にティーク板を付け収納スペースとし、ソール(床)にもティークを張り終わった写真。

シート・トップは板で塞いでいるが、無論その上にはクッションが置かれる。

シート前面が斜めになっているので座り心地は悪くなさそう。





シート前面にもVバース両舷の [サイドデッキ下] と同じ円形の何物かが付いているがスピーカーか。

ソール下も収納。開口部の位置と大きさが興しろい。アウトボード側は浅いので開いても無意味だし、前部はいつでも爪先を乗せられて便利。L字型部分は蓋を置くにも好都合だ。

(写真は元々ミシガンで建造され、テキサスで仕上げ中の自作フリッカです。)
日本のヤフー・フリッカ・グループ

2012年2月15日水曜日

テキサス州の自作フリッカ その後 (Nav Station)

テキサスの自作フリッカに話しを戻そう。

ティーク張りが完成したNavステーションの姿。

シート上に置いてあるのはVHFを装着したパネル。



この艇では既に見たように多くのコンポーネントがロックを外して取り外せるようになっている。VHFの定位置はポートライト下右隅のスペース。

***

以下、電気配電盤フェイス作業中の写真。

既存の白い板をテンプレイトにティーク板をカットして張り合わせ。








なかなか煩わしい作業なので、いっそのこと自分流のレイアウトで配電盤を一から作り直すことも考えたと言う。

しかしこの裏側の配線を全部やり直すとなると厄介なので張り込みに決定。







正面頭上にはGPSチャート・プロッターなどが並ぶ。









正面のパネルが白いままなのは光の反射で紙チャート(海図)を少しでも読み易くするためかも知れない。

パネルは二つに折ってヘッド側に倒すとテーブルの延長となり食事にも使える。






(写真は元々ミシガンで建造され、テキサスで仕上げ中の自作フリッカです。)
USヤフー・フリッカ・グループ

2012年2月14日火曜日

セレニティー、エピファン・グロス塗布 その後

2月11日(土)、エンジン・アクセス口のカバーや梯子など自宅作業の物を艇に持ち帰ってセットした。

艇内がオイル・フィニッシ時と比べて明るい。

光沢だけでなくティーク自体が明るくなった。





***

ところで1月末にエピファン・グロスの4コート目を塗布 した後、翌週末に仕上がりをチェックしてみると、例えば丸味の付いたギャリーのトリム部分などに、見た目では分からないが手指で撫でるとザラザラしている箇所があった。シンナーで薄めない生のエピファンは塗っている間にポットの中でどんどん固くなり、ブラシも然りなので、塗装面がレヴェル・オフせず(フラットにならず)乾燥してしまったのだろう。

2月4日、ガサガサ感のある箇所をまず240番のサンディング・メッシで軽く撫でるようにサンディング。無論落ちてくる物はエピファンの固化した粒子のみ。表面が滑らかになったことを手指で確認してアルコール清拭。乾燥後サンディングにより白っぽくなった部分に伸びを良くするためシンナーで半分位に薄めたエピファンを塗布した。白っぽさは簡単に消え、光沢が戻る。

***

以下、参考までにセトールと比較した場合の個人的な感想

● 夫婦二人の作業中の実感だが、大雑把に言ってシンナーで60~65%に薄めたエピファンがシンナーで割らない100%のセトールと同じ位の粘度。セトールは生のままでもブラシに含ませる量を少し多くすると塗った所からタラーッと下に垂れるが生のエピファンはそういう事は無い。この意味でエピファンの方がコントロールしやすく塗り易い。

● しかしエピファンは乾燥がセトールより格段に早いので4コート目の様に生のエピファンを同じポットから塗り続ける時はブラシを頻繁にシンナーに浸けたり、ポットに少量のシンナーを混ぜ足していくことが肝要だ。さもないと生のエピファンを塗っている積もりがいつの間にか120~130%またはそれ以上の濃さのエピファン(粒子が固化し始めたエピファン)を塗っていることになる。

● セトール(100%)は乾燥が遅く、塗る時だけではなく例えばデッキのティーク・レイルをうまく仕上げた積もりで家に帰り、1週間後に艇に戻って観てみると見事に何箇所かハルに垂れていることもよくある。

エピファンは手間はかかるが透明感のある仕上がりが秀逸。プロもエピファンを好む。評判どおり何年もこの仕上がりがもってくれることを期待したい。

(写真はPSC製434艇中295番 Serenity です。)
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2012年2月13日月曜日

テキサス州の自作フリッカ その後 (Galley 3)

本日もギャリーの舞台裏を見るための [ティーク張り完了] 以前の写真の続き。

ギャリー・エンドのバルクヘッドには海水と清水の各スプレイ蛇口と並んで2枚のコントロール・パネルが装着されている。



上はウォーター・メーカーのパネル。海水淡水化状況やタンク内の清水量をモニターする。右下のパネルはプロパン・ガスの [コントロール・パネル] 。レンジへのガス供給ラインをスイッチひとつで開閉するためのもの。

通常タンク(ボンベ)からのガスはまずガス圧を下げてレンジ用に最適化するためのレギュレーターを通るが、この艇ではさらにレギュレーターの直後に [ソレノイド] が付いていて、ガス供給ラインをリモートで開閉できるようになっている。

***

コントロール・パネルのスイッチをオンにするとソレノイドにDC12Vの電気が流れてガスの通り道が開く。電流が切れたり電圧が低い場合はガスの通り道が閉じる。つまり、レンジを使う度にタンクまで行ってタンクの元栓を手で開閉しなくても、ギャリーに居ながらにしてガス供給のオン・オフが出来るという仕掛けだ。

写真のコントロール・パネルはオン・オフ切替用の基本的なものだが、ガス漏れ警報装置も付加できるタイプ。もしかしたら既に艇内に警報装置1~2個を装着済みかも知れない。

警報装置付きの場合、パネルのスイッチがオンになっている時にガス・リークが探知されると自動的にガス供給がストップされ、赤いランプが付き警報が鳴る。またパネルのスイッチがオフになっていても探知機自体のスイッチは入ったままなので漏れたガスの濃度が爆発の危険のあるレベルの10%に達すると警報が鳴るという。

このコントロール・パネルと警報で安心という訳か、プロパンのタンク2本は艇内に格納されている。





場所は何と [Vバース前方] のコンパートメントのひとつ。上の引き出し型コンパートメントと下のチェイン・ロッカーのドアの間にある観音開きのドアがそのアクセス口。

小生はいくら警報装置やシャット・オフ機能があるとは言え、ガス・タンク殊にプロパン・タンク(及びレギュレーター+ソレノイド)はスターン・プルピットの外側に掛けるなど、ガスがソレノイドまでの供給ライン上のどこからリークしても艇外に流れ落ちる場所に置きたい。(それに12V電源を必要とする警報装置はいつでも稼動しなくなる可能性がある。)

尚、ソレノイドは風雨、埃など自然のエレメントに弱いので艇外に置く場合、保護用のカバーを掛けておく必要がある。

(写真は元々ミシガンで建造され、テキサスで仕上げ中の自作フリッカです。)
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