ネヴァダとカリフォルニアの州境レイク・タホのフリッカ 『リル・トゥートゥ』 。今年夏、売りに出ていたが、どうやら既に新しいオーナーの手に移ったようだ。
PSCが独自モールドで造船を始めた直後の1978年製。
バックステイはオフ・センターのミニ・バンプキンに装着。船外機仕様。キャビン内はヘッド(トイレ)がVバースにある「オープン・レイアウト」型。
この写真ではスターボード側に別のフリッカも泊まっている。
この湖をベースにしているフリッカは4~5艇あるようだ。
リル・トゥートゥについては [フリッカ・フレンズ2008年秋号(4-8頁)] にSF湾から太平洋岸サンタ・クルーズまでミニ・クルーズをした時の記録がある。出発点のバークリーまでと終点のサンタ・クルーズからはトレイラーに載せ牽引した。
(写真はいずれもPSC製434艇中053番 Lil' Toot です。)
⇒ フリッカ・パッセージのページ フリッカ各艇の長距離航行記録を載せるページ。(全6ページ、各ページ一番下の Next>> をクリック。)
2010年12月31日金曜日
2010年12月30日木曜日
ロープ・ライト
冬季はメンテナンスのシーズン。シアトルのトゥーカンのオーナーは仕事が終わり食事を済ませてから艇での作業をすることが多いという。
艇内の夜間作業用照明として重宝しているのがこれ。12Vの電源を使うロープ・ライト。
クリスマスの電飾に使う人が多いが、暗いところだとこんなに明るい。
狭いスペースでも名前のとおりロープのように入れ込んで這わせることができる。
延長コードと併用すれば殆どどんなところにでも設置できる。
電球1個の照明と違い、作業中に影も出来難いのではないだろうか。
(写真はいずれもPSC製434艇中340番 Toucan です。)
⇒Toucan ホームページ 左のメニューの Blog をクリック。
艇内の夜間作業用照明として重宝しているのがこれ。12Vの電源を使うロープ・ライト。
クリスマスの電飾に使う人が多いが、暗いところだとこんなに明るい。
狭いスペースでも名前のとおりロープのように入れ込んで這わせることができる。
延長コードと併用すれば殆どどんなところにでも設置できる。
電球1個の照明と違い、作業中に影も出来難いのではないだろうか。
(写真はいずれもPSC製434艇中340番 Toucan です。)
⇒Toucan ホームページ 左のメニューの Blog をクリック。
2010年12月29日水曜日
アンカー・スナッバーのヴァリエイション
今日の話題はSFベイ・エリアのフリッカ [ドリーム・キャッチャー] にある錨泊用の特殊な仕掛け。
フリッカのバウスプリット先端にはクランズ・アイアンと呼ばれるブロンズ製金具(上のフォアステイ、両サイドのウィスカー・ステイ、下のボブステイ、計4本のステイを留める)が付いているが、下のボブステイ装着部を利用した仕掛けだ。
通常各ステイはステイ先端のターンバックルのトグル(U字型金具)に太いピンを通して留める。
しかし、この艇のボブステイ・トグルは単なるピンの代わりにシャックルのピンで留めてある。
つまりボブステイ・トグルもシャックルもクランズ・アイアンに同時に留められる一石二鳥のアイデアだ。
こうして付けたシャックル(この写真の白いU字型金具)に首が360度回転するスウィヴル型ブロックを装着。そのブロックにスナッバーとして使う3ツ撚りラインを通してある。言わばいつでも展開できる常設スナッバーだ。
使用時はラインの一端をデッキにクリート。もう一端はアンカーを打ってチェインが張ったところでチェインにフックで掛けるか、ローリング・ヒッチで結える。その上でさらにチェインを艇から出していくとラインを結んだところから艇側のチェインは緩み、アンカーからの荷重はラインに移される。つまり簡単にスナッバーの装着ができるという訳だ。
***
オーナーのバートはこの設定が気に入っているようだが、これには危惧すべき点が二つある。
(1) ラインにゴムのスナッバーが仕込まれていないため、ショック吸収はラインの伸びだけが頼り。
(2) クランズ・アイアンは各ステイからの引っ張り荷重を受けるように設計されており、アンカー・ロードからの余分の大きな荷重を受けるようには出来ていない。しかもアンカーからの荷重がバウスプリットの一番細い先端部にかかる。
この設定は決して安全とは言えない。やはり直接各舷のチョックを通す、ゴム入りの [スナッバー] や [ブライドル(ページ下の写真)] の基本形を用意した方が良い。
(写真はPSC製434艇中261番目 Dream Catcher です。)
⇒フリッカ・ホームページのデータベースにある同艇の紹介
フリッカのバウスプリット先端にはクランズ・アイアンと呼ばれるブロンズ製金具(上のフォアステイ、両サイドのウィスカー・ステイ、下のボブステイ、計4本のステイを留める)が付いているが、下のボブステイ装着部を利用した仕掛けだ。
通常各ステイはステイ先端のターンバックルのトグル(U字型金具)に太いピンを通して留める。
しかし、この艇のボブステイ・トグルは単なるピンの代わりにシャックルのピンで留めてある。
つまりボブステイ・トグルもシャックルもクランズ・アイアンに同時に留められる一石二鳥のアイデアだ。
こうして付けたシャックル(この写真の白いU字型金具)に首が360度回転するスウィヴル型ブロックを装着。そのブロックにスナッバーとして使う3ツ撚りラインを通してある。言わばいつでも展開できる常設スナッバーだ。
使用時はラインの一端をデッキにクリート。もう一端はアンカーを打ってチェインが張ったところでチェインにフックで掛けるか、ローリング・ヒッチで結える。その上でさらにチェインを艇から出していくとラインを結んだところから艇側のチェインは緩み、アンカーからの荷重はラインに移される。つまり簡単にスナッバーの装着ができるという訳だ。
***
オーナーのバートはこの設定が気に入っているようだが、これには危惧すべき点が二つある。
(1) ラインにゴムのスナッバーが仕込まれていないため、ショック吸収はラインの伸びだけが頼り。
(2) クランズ・アイアンは各ステイからの引っ張り荷重を受けるように設計されており、アンカー・ロードからの余分の大きな荷重を受けるようには出来ていない。しかもアンカーからの荷重がバウスプリットの一番細い先端部にかかる。
この設定は決して安全とは言えない。やはり直接各舷のチョックを通す、ゴム入りの [スナッバー] や [ブライドル(ページ下の写真)] の基本形を用意した方が良い。
(写真はPSC製434艇中261番目 Dream Catcher です。)
⇒フリッカ・ホームページのデータベースにある同艇の紹介
2010年12月28日火曜日
ジプシー・レイディー再訪
PSC220番艇 『ジプシー・レイディー』 は色々な意味で [ユニークなフリッカ] (クリックすると本日の記事の下に過去の記事が掲出される)だが、ヨットワールドのサイトに今までになかった写真がいくつか追加された。
まず昨日の話とのつながりで、ボブステイのカバーに注目。
このカバーはホーム・センターで買えるPVCパイプを被せただけのもの。見かけは悪いかも知れないが錨泊中アンカー・チェインがボブステイに当たってガーンガーンと音を立てたり、ガリガリッとボブステイを擦るのを防ぐのに効果的。完全に消音はできないが、ボブステイの保護には大いに役立つ。日常的にアンカリングするフリッカでは同様のカバーを付けている例も珍しくない。
(註:チェインがボブステイにぶつかるのを防ぐ方法としてはこの他、既述のように [アンカー・スナッバー] や [ブライドル(ページ下の写真)] の使用が一般的。またアンカー・ロードにチェインとラインを繋いだものを搭載している場合、チェインを全部出し切って海中に落とし、ラインをデッキにクリートする方法もあるが、無論それではラインがボブステイに擦れるのは避けられない。)
***
ハルに塗られた太いホエールストレイクにマッチさせるかのようにラダーの喫水上にも同色のデコレーションがある。
ラダー・チーク(頬板)には葡萄のスクロールワーク。
プレキシグラスの差し板は観音開き。
この艇は1983年製以前の旧型デッキ・モールドで造られているためブリッジデッキがなく、コンパニオンウェイの切り込みが深い。
メインシートはミッド・ブーム型だが、プランク(厚板)をアスワートシップ(艇の左右方向)に渡し、その上にトラヴェラーを装着している。
コックピットをカバーするビマイニはメインシートをうまくかわして設置。
特製ラザレット搭載のために手動ビルジ・ポンプは左舷クォーター・バースの中ほどに移動。
エンジンのダッシボードも右舷コックピット・シート側に移した。
ここまでして収納スペースを増やす心は20フィート艇で長期クルーズに出たり、リブ・アボードした人、したいと思っている人以外には理解し難いかも知れない。
(写真はいずれもPSC製434艇中220番 Gypsy Lady です。)
⇒ www.yachtworld.com キーワード欄にFlickaと入れてサーチ・ボタンをクリック。
まず昨日の話とのつながりで、ボブステイのカバーに注目。
このカバーはホーム・センターで買えるPVCパイプを被せただけのもの。見かけは悪いかも知れないが錨泊中アンカー・チェインがボブステイに当たってガーンガーンと音を立てたり、ガリガリッとボブステイを擦るのを防ぐのに効果的。完全に消音はできないが、ボブステイの保護には大いに役立つ。日常的にアンカリングするフリッカでは同様のカバーを付けている例も珍しくない。
(註:チェインがボブステイにぶつかるのを防ぐ方法としてはこの他、既述のように [アンカー・スナッバー] や [ブライドル(ページ下の写真)] の使用が一般的。またアンカー・ロードにチェインとラインを繋いだものを搭載している場合、チェインを全部出し切って海中に落とし、ラインをデッキにクリートする方法もあるが、無論それではラインがボブステイに擦れるのは避けられない。)
***
ハルに塗られた太いホエールストレイクにマッチさせるかのようにラダーの喫水上にも同色のデコレーションがある。
ラダー・チーク(頬板)には葡萄のスクロールワーク。
プレキシグラスの差し板は観音開き。
この艇は1983年製以前の旧型デッキ・モールドで造られているためブリッジデッキがなく、コンパニオンウェイの切り込みが深い。
メインシートはミッド・ブーム型だが、プランク(厚板)をアスワートシップ(艇の左右方向)に渡し、その上にトラヴェラーを装着している。
コックピットをカバーするビマイニはメインシートをうまくかわして設置。
特製ラザレット搭載のために手動ビルジ・ポンプは左舷クォーター・バースの中ほどに移動。
エンジンのダッシボードも右舷コックピット・シート側に移した。
ここまでして収納スペースを増やす心は20フィート艇で長期クルーズに出たり、リブ・アボードした人、したいと思っている人以外には理解し難いかも知れない。
(写真はいずれもPSC製434艇中220番 Gypsy Lady です。)
⇒ www.yachtworld.com キーワード欄にFlickaと入れてサーチ・ボタンをクリック。
2010年12月27日月曜日
ターンの係留
PSC071番艇 『ターン』 はこれまで [3回取り上げた] (クリックすると本日の記事の下に過去の記事が掲出される)が、オーナーがまた興しろい写真を出した。
フォアデッキ上にコイルしたラインが目を引く。
左舷から常設アンカーに取った係留ラインはスプライスして作った輪っかをクリートに掛けてある。デッキ上にコイルして置いてあるラインはその輪にボーリンで一端を結びつけてあるのだ。
これは係留ラインの取り回しを楽にするため。
バウ、スターンともそれぞれ常設アンカーに係留するシステムの場合(または2アンカー・システムでバウとスターンにアンカーを打った場合)、1本取りしたバウラインが反対側(この写真では右舷側)からの横風を受けた時、ボブステイ(バウスプリットからバウ下部に伸びているステイ)を擦りやすい。ラインが擦れること自体好ましくないが、乗員が艇に居る場合、その音も気になるものだ。その時ラインを風上側に移すが、この係留ラインをバウスプリットの前を回して反対側の舷に取る作業はラインが張っているために結構思ったようには行かない。イクステンション・ラインが付いていればこの作業を安全にスムーズに行えるという訳だ。
尚、プラット・フォームに見えるのはバッグ式セイル・カバーをかけたジブ。カバー後端にハルヤードを掛け、デッキ(プラットフォーム)から吊り上げて保管。これでジブを外してロッカーに仕舞う作業は不要となる。
常設アンカー係留艇だけに、チョックはファクトリー装着の小型から特大品に換装してある。
以前書いた特製の頑丈なバウスプリットやスルーボルト用SSプレートともバランスが取れているようだ。
(写真はいずれもPSC製434艇中071番 Tern です。)
⇒フリッカ・データベース
フォアデッキ上にコイルしたラインが目を引く。
左舷から常設アンカーに取った係留ラインはスプライスして作った輪っかをクリートに掛けてある。デッキ上にコイルして置いてあるラインはその輪にボーリンで一端を結びつけてあるのだ。
これは係留ラインの取り回しを楽にするため。
バウ、スターンともそれぞれ常設アンカーに係留するシステムの場合(または2アンカー・システムでバウとスターンにアンカーを打った場合)、1本取りしたバウラインが反対側(この写真では右舷側)からの横風を受けた時、ボブステイ(バウスプリットからバウ下部に伸びているステイ)を擦りやすい。ラインが擦れること自体好ましくないが、乗員が艇に居る場合、その音も気になるものだ。その時ラインを風上側に移すが、この係留ラインをバウスプリットの前を回して反対側の舷に取る作業はラインが張っているために結構思ったようには行かない。イクステンション・ラインが付いていればこの作業を安全にスムーズに行えるという訳だ。
尚、プラット・フォームに見えるのはバッグ式セイル・カバーをかけたジブ。カバー後端にハルヤードを掛け、デッキ(プラットフォーム)から吊り上げて保管。これでジブを外してロッカーに仕舞う作業は不要となる。
常設アンカー係留艇だけに、チョックはファクトリー装着の小型から特大品に換装してある。
以前書いた特製の頑丈なバウスプリットやスルーボルト用SSプレートともバランスが取れているようだ。
(写真はいずれもPSC製434艇中071番 Tern です。)
⇒フリッカ・データベース
2010年12月26日日曜日
クリスマス・イブの日 (Videos)
木・金と久し振りに青空。金曜日、クリスマス・イブの日に機走で出航。
オフ・シーズンに入ってからメインテナンスと雨天のためマリーナを出るのは実に2ヶ月振りだ。
予報ではこの日8-10ノットの南東の風だったが、少し時間が早かったのでベタ凪。
マリーナに帰着して1時間後、自宅に帰ろうとする3:30 PM 頃に良い風が吹き始めた。しかし、海上に出られて満足。
***
今年もすでに冬至を過ぎ、1日1-2分づつ日が長くなり始めている。春が来るのもあっと言う間だ。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
⇒ USヤフー・フリッカ・グループ
オフ・シーズンに入ってからメインテナンスと雨天のためマリーナを出るのは実に2ヶ月振りだ。
予報ではこの日8-10ノットの南東の風だったが、少し時間が早かったのでベタ凪。
マリーナに帰着して1時間後、自宅に帰ろうとする3:30 PM 頃に良い風が吹き始めた。しかし、海上に出られて満足。
***
今年もすでに冬至を過ぎ、1日1-2分づつ日が長くなり始めている。春が来るのもあっと言う間だ。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
⇒ USヤフー・フリッカ・グループ
2010年12月25日土曜日
ポートライト・カバーのプロトタイプ
ポートライト(窓)から入って来る夏場の直射日光はきついので今の中にカバーを作ることになった。ベター・ハーフは早速寸法を取ってプロトタイプを作成。
なるべく簡単に、ということで四角に切った麻布の周りをパイピングしたもの。下辺真ん中に紐の出入り口がある。
本番はゴム紐を入れる予定だが、取り敢えず艇にあったラニヤード(細紐)の頭に安全ピンを付けて通してみた。
他のフリッカではポート下部にあるポート開閉用の締め具2本の周りをわざわざくり貫いているものもある。
しかしそうやっても機能的には無意味で、見栄えも悪くなるようなのでこのように全体をすっぽりカバーすることにした。ゴム紐を入れると正にシャワー・キャップ式。
外から見たところ。目隠しにもなりそうだ。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
⇒ フリッカ・ホームページにある、今売りに出ているフリッカのリスト
なるべく簡単に、ということで四角に切った麻布の周りをパイピングしたもの。下辺真ん中に紐の出入り口がある。
本番はゴム紐を入れる予定だが、取り敢えず艇にあったラニヤード(細紐)の頭に安全ピンを付けて通してみた。
他のフリッカではポート下部にあるポート開閉用の締め具2本の周りをわざわざくり貫いているものもある。
しかしそうやっても機能的には無意味で、見栄えも悪くなるようなのでこのように全体をすっぽりカバーすることにした。ゴム紐を入れると正にシャワー・キャップ式。
外から見たところ。目隠しにもなりそうだ。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
⇒ フリッカ・ホームページにある、今売りに出ているフリッカのリスト
2010年12月24日金曜日
コックピットのないフリッカ - リストア進行中 15
煙突を降りて来るサンタ?
実は造作の終わったコックピットの下をキャビン内から体を突っ込んでグラインダーで均しているオーナー。12月11日撮影。
コックピット下を使えるスペースとして仕上げる作業の第一歩だろうか。
(写真はPSC製434艇中、番数不明、1980年製フリッカです。)
⇒ 進展状況は [ここでチェック]。そこで見られない場合 [こちらでチェック] (写真は未整理で種々混載。他艇の作業写真もあるのでフリッカと混同されないようご注意。)
実は造作の終わったコックピットの下をキャビン内から体を突っ込んでグラインダーで均しているオーナー。12月11日撮影。
コックピット下を使えるスペースとして仕上げる作業の第一歩だろうか。
(写真はPSC製434艇中、番数不明、1980年製フリッカです。)
⇒ 進展状況は [ここでチェック]。そこで見られない場合 [こちらでチェック] (写真は未整理で種々混載。他艇の作業写真もあるのでフリッカと混同されないようご注意。)
2010年12月23日木曜日
ミス(Myth)
「ミス」 はテキサス州コーパス・クリスティーのオーナーが1976年カリフォルニア州サンタ・バーバラに在ったノー'スター(ノース・スター)からハルとデッキだけを購入* 、残りは6年かけて全て自分で造り上げたフリッカだ。
そのオーナーが造船の記録を [写真満載の本] にして自費出版した。(PREVIEW BOOK! をクリックすると本の全頁がプリヴューできる。拡大しても文字は読み取れないが写真は楽しめる。)
PSC製よりマストは高くブームは長い。オーナーの話ではバックステイはないそうだ。
キャビン内を見るとPSC製フリッカはギャリーの配置がスターン(船尾)側からコンロ、シンク、アイスボックスとなっていてドロップ・リーフ式テーブルはアイスボックスの壁に折畳むようになっているが、ミスはその順序が逆。
これは昔ビンガムがフリッカを自作したい人たちに売っていた図面一式中の1枚。
ミスにはドロップ・リーフ・テーブルこそないが、オーナーはこの図面を忠実にフォローしたようだ。
その後ミスはオーナーも変遷し、それと共にホーム・ポートもメキシコ湾岸のテキサスから東海岸のノース・カロライナ、さらに北に上ってニュー・ジャージー、ニューヨーク、そして3年前から現(5代目)オーナーの住むメリーランドと変わってきたが、この12月、初代オーナーが件の本を出版したとUSヤフー・フリッカ・グループに報告、その投稿を読んだ現オーナーが名乗り出て両者がつながった。この本は現オーナーにとって最高のクリスマス・プレゼントとなったようだ。
尚、ミスはハル色がグリーンであることもあり、遅くとも3代目オーナーの時に既に 「スイート・ピー」 と改名されている。またフリッカで唯一ティラーではなくワーム・ギア式ホイール・スティアリングを装着していることでも知られる。その件については [こちら] を参照。
***
* 本日までの記事ではノー’スターではフリッカのハルだけしか造らず、木造デッキを同じ南カリフォリニアのウェスタリーに造らせていた、と書いていたが、この Myth の初代オーナー・ビルダー Reginald Hinnant のおかげで、ノー’スター製全20艇中、このハルID NSB20000015 の15番艇以降はデッキも(ノー’スター、ウェスタリーどちら製かは不明だが)モールドから作成されたものだったことが判明した。(ただし、マスト下のニー、その他内装は木なのでデッキ、キャビンとも見た目には全部木製に見える。)
このデッキ・モールドもハル・モールドと共にPSCに受け継がれ、PSCではデザインを全般的にリファインした独自のモールドで生産を開始するまで、最初の何艇かは受け継いだモールドで製造したということのようだ。
リンク:
⇒ [PSCで造船の第1号艇]
⇒ [PSC独自のモールドによる第1号艇]
(写真はノー’スター製20艇中15番目 旧名 Myth の Sweet Pea です。)
⇒ フリッカ・データベースにある同艇の紹介
そのオーナーが造船の記録を [写真満載の本] にして自費出版した。(PREVIEW BOOK! をクリックすると本の全頁がプリヴューできる。拡大しても文字は読み取れないが写真は楽しめる。)
PSC製よりマストは高くブームは長い。オーナーの話ではバックステイはないそうだ。
キャビン内を見るとPSC製フリッカはギャリーの配置がスターン(船尾)側からコンロ、シンク、アイスボックスとなっていてドロップ・リーフ式テーブルはアイスボックスの壁に折畳むようになっているが、ミスはその順序が逆。
これは昔ビンガムがフリッカを自作したい人たちに売っていた図面一式中の1枚。
ミスにはドロップ・リーフ・テーブルこそないが、オーナーはこの図面を忠実にフォローしたようだ。
その後ミスはオーナーも変遷し、それと共にホーム・ポートもメキシコ湾岸のテキサスから東海岸のノース・カロライナ、さらに北に上ってニュー・ジャージー、ニューヨーク、そして3年前から現(5代目)オーナーの住むメリーランドと変わってきたが、この12月、初代オーナーが件の本を出版したとUSヤフー・フリッカ・グループに報告、その投稿を読んだ現オーナーが名乗り出て両者がつながった。この本は現オーナーにとって最高のクリスマス・プレゼントとなったようだ。
尚、ミスはハル色がグリーンであることもあり、遅くとも3代目オーナーの時に既に 「スイート・ピー」 と改名されている。またフリッカで唯一ティラーではなくワーム・ギア式ホイール・スティアリングを装着していることでも知られる。その件については [こちら] を参照。
***
* 本日までの記事ではノー’スターではフリッカのハルだけしか造らず、木造デッキを同じ南カリフォリニアのウェスタリーに造らせていた、と書いていたが、この Myth の初代オーナー・ビルダー Reginald Hinnant のおかげで、ノー’スター製全20艇中、このハルID NSB20000015 の15番艇以降はデッキも(ノー’スター、ウェスタリーどちら製かは不明だが)モールドから作成されたものだったことが判明した。(ただし、マスト下のニー、その他内装は木なのでデッキ、キャビンとも見た目には全部木製に見える。)
このデッキ・モールドもハル・モールドと共にPSCに受け継がれ、PSCではデザインを全般的にリファインした独自のモールドで生産を開始するまで、最初の何艇かは受け継いだモールドで製造したということのようだ。
リンク:
⇒ [PSCで造船の第1号艇]
⇒ [PSC独自のモールドによる第1号艇]
(写真はノー’スター製20艇中15番目 旧名 Myth の Sweet Pea です。)
⇒ フリッカ・データベースにある同艇の紹介
2010年12月22日水曜日
1GM10 冷却水ポンプのシール交換 2
下の写真はシール2個を打ち出した後、ポンプのボディーをきれいに拭いたところ。
これから径の小さなウォーター・シール、そして大きなオイル・シールの順で新品のシール2個を挿入する。
ボディー中央部に見える長方形の孔がウィープ・ホール、つまりウォーター・シールのコア部(シャフトに接した円形の中心部)とシャフトの間の極僅かな隙間を抜け出てインペラ室から浸み出てくる水をエンジンの外に流し出すための孔だ。
ウォーター・シールはこの孔よりインペラ室側(画面左下)、そして径の大きなオイル・シールはエンジン側(画面右上)に嵌る。二つのシールの間には空間があり、そこにウィープ・ホールが開いている訳だ。
シールの向きについて:
先に入れるウォーター・シール(この図の9番)はリップ(小さなコイル・スプリングの付いている面)がインペラ室側に向くように、後で入れる径の大きいオイル・シール(同8番)は逆にリップがエンジン側を向くように挿入する。
(リップ面に在るコイル・スプリングはシールのコアがシャフトにできるだけ密着するようにという意図で付けてあるようだ。それでも磨耗が進んでシールがヘタって来ると漏水するようになる。)
(8) ウォーター・シール(径の小さなシール)の打ち込み。
ちょうど手元に打ち込みに都合の良い径のドライバーのハンドル部が合ったのでそれを上から当ててハンマーで適度に叩きながら打ち込んで行く。
尚、各シールの打ち込みに [径11mmと3/4インチ] のソケット・レンチ用ソケットを使っている人もいるようだ。
ウォーター・シール打ち込み完了。
打ち込んだウォーター・シールはウィープ・ホールを完全にクリアーし、もっと奥のインペラ室側(画面左側)に収まっている。
収まったウォーター・シールをインペラ室側から覘いたところ。
(9) 続いて径の大きいオイル・シールを径の大きいドライバーのハンドルを使って打ち込む。
オイル・シールが完全に収まったところ。
これもウィープ・ホールから覘いても見えない。ウィープ・ホールのスペースよりもエンジン側で止まっている。
(10) ベアリング付きのシャフトを嵌めこむ。
ベアリング付きのシャフトは指で押し込んで嵌める。
嵌ったものを手に取って観察すると、ベアリングの外周の手前にポンプ・ボディーに刻み込んであるサークリップ(スナップ・リング = 留め輪)嵌め込み用の溝が見えるはず。それが見えない中は大きい径のオイル・シールの打ち込みが不充分ということ。(この場合今一度シャフトを取り出して、オイル・シールをもう少し打ち込む必要がある。)
見えるのだが充分かどうか判断に迷う場合はサークリップを実際に嵌めてみれば良い。嵌れば充分。
尚、上の写真でシャフト・エンド(ボール・ベアリングで囲まれた所)にほぼ長方形のキーが見えるが、そのキーが下の写真に見えるエンジン本体のシャフト・エンドに在る凹部とポンプ装着時にカプリングするようになっている。
さて、サークリップを嵌め込んだところでシール交換自体は終了。
後はインペラを入れてポンプをエンジン本体に装着するだけ。
インペラの両側面と各羽根の先にシリコン・コンパウンドを塗って挿入。
スピード・シールの場合、カバー内側にも薄く万遍なく塗る。
外した時と逆の手順で全てを装着。
註:良く観るとアウトプット側のホース(上のホース)の先端手前部分を一部2~3mm切り取ってあるが、これは円形のスピード・シールの脱着時に邪魔になる部分を切り取ったもの。ホースがポンプの管に被っている部分は長く、その部分をクランプで締めているのでこの程度の切り取りは何も問題ない。
試運転。エンジン始動後5~6分して徐々に3000rpmまで回転を上げたところ。
キャメラのシャッター・タイミングが合わず噴射した瞬間が撮影出来ていないが、瞬時殆ど水平に飛ぶくらい排水の勢いは良い。
30分の運転でウィープ・ホールからは漏水が1滴も出てこなかった。これで作業完了。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
⇒ フリッカ・スペックのページ
これから径の小さなウォーター・シール、そして大きなオイル・シールの順で新品のシール2個を挿入する。
ボディー中央部に見える長方形の孔がウィープ・ホール、つまりウォーター・シールのコア部(シャフトに接した円形の中心部)とシャフトの間の極僅かな隙間を抜け出てインペラ室から浸み出てくる水をエンジンの外に流し出すための孔だ。
ウォーター・シールはこの孔よりインペラ室側(画面左下)、そして径の大きなオイル・シールはエンジン側(画面右上)に嵌る。二つのシールの間には空間があり、そこにウィープ・ホールが開いている訳だ。
シールの向きについて:
先に入れるウォーター・シール(この図の9番)はリップ(小さなコイル・スプリングの付いている面)がインペラ室側に向くように、後で入れる径の大きいオイル・シール(同8番)は逆にリップがエンジン側を向くように挿入する。
(リップ面に在るコイル・スプリングはシールのコアがシャフトにできるだけ密着するようにという意図で付けてあるようだ。それでも磨耗が進んでシールがヘタって来ると漏水するようになる。)
(8) ウォーター・シール(径の小さなシール)の打ち込み。
ちょうど手元に打ち込みに都合の良い径のドライバーのハンドル部が合ったのでそれを上から当ててハンマーで適度に叩きながら打ち込んで行く。
尚、各シールの打ち込みに [径11mmと3/4インチ] のソケット・レンチ用ソケットを使っている人もいるようだ。
ウォーター・シール打ち込み完了。
打ち込んだウォーター・シールはウィープ・ホールを完全にクリアーし、もっと奥のインペラ室側(画面左側)に収まっている。
収まったウォーター・シールをインペラ室側から覘いたところ。
(9) 続いて径の大きいオイル・シールを径の大きいドライバーのハンドルを使って打ち込む。
オイル・シールが完全に収まったところ。
これもウィープ・ホールから覘いても見えない。ウィープ・ホールのスペースよりもエンジン側で止まっている。
(10) ベアリング付きのシャフトを嵌めこむ。
ベアリング付きのシャフトは指で押し込んで嵌める。
嵌ったものを手に取って観察すると、ベアリングの外周の手前にポンプ・ボディーに刻み込んであるサークリップ(スナップ・リング = 留め輪)嵌め込み用の溝が見えるはず。それが見えない中は大きい径のオイル・シールの打ち込みが不充分ということ。(この場合今一度シャフトを取り出して、オイル・シールをもう少し打ち込む必要がある。)
見えるのだが充分かどうか判断に迷う場合はサークリップを実際に嵌めてみれば良い。嵌れば充分。
尚、上の写真でシャフト・エンド(ボール・ベアリングで囲まれた所)にほぼ長方形のキーが見えるが、そのキーが下の写真に見えるエンジン本体のシャフト・エンドに在る凹部とポンプ装着時にカプリングするようになっている。
さて、サークリップを嵌め込んだところでシール交換自体は終了。
後はインペラを入れてポンプをエンジン本体に装着するだけ。
インペラの両側面と各羽根の先にシリコン・コンパウンドを塗って挿入。
スピード・シールの場合、カバー内側にも薄く万遍なく塗る。
外した時と逆の手順で全てを装着。
註:良く観るとアウトプット側のホース(上のホース)の先端手前部分を一部2~3mm切り取ってあるが、これは円形のスピード・シールの脱着時に邪魔になる部分を切り取ったもの。ホースがポンプの管に被っている部分は長く、その部分をクランプで締めているのでこの程度の切り取りは何も問題ない。
試運転。エンジン始動後5~6分して徐々に3000rpmまで回転を上げたところ。
キャメラのシャッター・タイミングが合わず噴射した瞬間が撮影出来ていないが、瞬時殆ど水平に飛ぶくらい排水の勢いは良い。
30分の運転でウィープ・ホールからは漏水が1滴も出てこなかった。これで作業完了。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
⇒ フリッカ・スペックのページ
2010年12月21日火曜日
1GM10 冷却水ポンプのシール交換 1
冷却水ポンプの第1回シール交換は2006年2月に新品の1GM10に換装してから1年半(稼動162.5時間)後、2007年8月に行った。今回は2回目。1回目の交換から3年4ヶ月(稼動197時間)経っている。
ちなみにエンジンを換装して約20時間の頃からポンプのウィープ・ホールから2~3時間の稼動で5~10ccの水が漏れ、エンジン下のパンに溜まるようになっていた。1回目の交換はその量が20cc位にまで増えた時。
実は今回も2週間前に冷却水ポンプの [インペラ交換] を実施するまで30分の稼動で約20ccの水がパンに溜まる状態になっていた。しかし、インペラを交換した直後30分間の試運転ではその10倍、約200ccの水が漏れたのだ。その翌週末もやはり30分の運転で同等の水が溜まったばかりではなく、さらにエンジンを停めた後も4秒に1滴の割りで漏水を続けるようになった次第。
新しいインペラがどのように影響したのかははっきりしないが、インペラの幅が擦り切れていない分だけ厚く、微妙とは言えヘタっていたシールには「駱駝の水瓶を破る藁」ほどの充分な圧力となったのかも知れない。
***
これからは稼動200時間を目途にインペラとシールを同時に定期交換することにしたい。その方が手間も省ける。
***
では早速作業にかかる。
セレニティーではインペラ・カバーに [スピード・シール] を使っているので作業し易いようにまずスピードシールの大きいネジを全部外してカバーを取ってしまう。
その後 (1) インテイク、アウトプット、双方のホースのクランプのネジを緩め、両ホースを外す。
(2) 冷却水ポンプを留めている3本のネジを外す。
(3) ポンプ全体をエンジン本体から外す。
これは外した後のエンジン。
外したポンプ全体。
インペラの羽根の方向に注目。
インペラ交換時は [指定の方向(4枚目の写真)] に入れていたが、稼動僅か1時間で6枚中5枚が既に反対方向を向いている。
稼動したインペラの全ての羽根が正規の方向を向いていることは皆無と言って良い。いつも少なくて2~3枚、通常4~5枚は反対を向いてしまっている。(同リンク先2枚目の写真を拡大して観ると、交換前の古いインペラもやはり4枚が逆方向を向いているのが分かる。)
殆どの羽根が逆方向を向いてしまうのはインペラ室が正円形ではなく、ホース装着側の方が狭くなっているからにちがいない。この形はアウトプット口に近づいたところで水を圧縮して勢い良く押し出すための仕掛けだ。それがインテイク口で水を取り込む時にまた急に広くなるため勢い余って前のめりになるのではないか。それにしてもどういう訳か正規方向に向いたまま残っている羽根はいつもインペラを留めるキー(シャフト切り込み部)の反対側だ。
いずれにせよ極く短時間で羽根の向きが変わってしまうのならインペラを入れる時の羽根の方向など実際にはさほど気にすることはないのではないかとさえ思えてしまう。
本題に戻ろう。
これはインペラ室と反対側、つまりエンジンのシャフト側のベアリング。
(4) ベアリングを留めているサークリップ(スナップ・リング = 留め輪)を外す。
(5) 横にしてシャフトをインペラ室側からハンマーで文字通り軽くタップし、エンジン・シャフト側に押し出す。
頭が出た後は指で押し出す。
画面左側のポンプ・ボディーの中に交換すべきシールが二つ入っている。
(註:ボール・ベアリングが2個付いたままのシャフトは分解しない。ベアリングを持ってシャフトを手で回し、スムーズに回るようなら何も悪いところはない。シャフトに付いた付着物を落としてきれいにするだけだ。)
これから交換するのはこの図の1番のボディーに入っている8番のオイル・シールと9番のオイル・シール。(9番はインペラ室からの水をシールするのでウォーター・シールと呼ぶ人もいる)。
尚、4、10、12(2個)がボール・ベアリング付きシャフト。一番外側の11番が最初に外したサークリップ。
また1GM10 では通常3番と13番は付いていない。古い1GMには付いているのではと想像する。もし付いている場合、上記ステップ (4) の前に取り外す。
(6) エンジン本体側にある径の大きい方のオイル・シールを取り出す。
シール取り出し作業は特に細心の注意が必要。インペラ室側から先の平たいドライバーなどをシールの端に当て、ハンマーで適度に叩いてエンジン本体側(この写真に写っている側)に打ち出して行く。
ドライバーはまず円周の0度部分、次に180度部分、90度部分、270度部分などと、平均に当てて叩き出して行くのがコツ。
この際、交換用の新品パーツを手元に置いて、打ち出すパーツと形状を見比べ、ドライバーの先を当てる所を確認すると良い。
注意:エンジン本体側からペンチなどを使って外そうと試みないこと。シールを壊して断片が出てくるのが関の山。
(7) 最後に9番のシールも同様に打ち出す。
両方のシールを打ち出したら、ボディー内部もきれいに掃除する。15番のオー・リングは目視で正常な状態を確認したらボディーに付けたままきれいに拭くだけでOK。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
⇒ フリッカのリグ
ちなみにエンジンを換装して約20時間の頃からポンプのウィープ・ホールから2~3時間の稼動で5~10ccの水が漏れ、エンジン下のパンに溜まるようになっていた。1回目の交換はその量が20cc位にまで増えた時。
実は今回も2週間前に冷却水ポンプの [インペラ交換] を実施するまで30分の稼動で約20ccの水がパンに溜まる状態になっていた。しかし、インペラを交換した直後30分間の試運転ではその10倍、約200ccの水が漏れたのだ。その翌週末もやはり30分の運転で同等の水が溜まったばかりではなく、さらにエンジンを停めた後も4秒に1滴の割りで漏水を続けるようになった次第。
新しいインペラがどのように影響したのかははっきりしないが、インペラの幅が擦り切れていない分だけ厚く、微妙とは言えヘタっていたシールには「駱駝の水瓶を破る藁」ほどの充分な圧力となったのかも知れない。
***
これからは稼動200時間を目途にインペラとシールを同時に定期交換することにしたい。その方が手間も省ける。
***
では早速作業にかかる。
セレニティーではインペラ・カバーに [スピード・シール] を使っているので作業し易いようにまずスピードシールの大きいネジを全部外してカバーを取ってしまう。
その後 (1) インテイク、アウトプット、双方のホースのクランプのネジを緩め、両ホースを外す。
(2) 冷却水ポンプを留めている3本のネジを外す。
(3) ポンプ全体をエンジン本体から外す。
これは外した後のエンジン。
外したポンプ全体。
インペラの羽根の方向に注目。
インペラ交換時は [指定の方向(4枚目の写真)] に入れていたが、稼動僅か1時間で6枚中5枚が既に反対方向を向いている。
稼動したインペラの全ての羽根が正規の方向を向いていることは皆無と言って良い。いつも少なくて2~3枚、通常4~5枚は反対を向いてしまっている。(同リンク先2枚目の写真を拡大して観ると、交換前の古いインペラもやはり4枚が逆方向を向いているのが分かる。)
殆どの羽根が逆方向を向いてしまうのはインペラ室が正円形ではなく、ホース装着側の方が狭くなっているからにちがいない。この形はアウトプット口に近づいたところで水を圧縮して勢い良く押し出すための仕掛けだ。それがインテイク口で水を取り込む時にまた急に広くなるため勢い余って前のめりになるのではないか。それにしてもどういう訳か正規方向に向いたまま残っている羽根はいつもインペラを留めるキー(シャフト切り込み部)の反対側だ。
いずれにせよ極く短時間で羽根の向きが変わってしまうのならインペラを入れる時の羽根の方向など実際にはさほど気にすることはないのではないかとさえ思えてしまう。
本題に戻ろう。
これはインペラ室と反対側、つまりエンジンのシャフト側のベアリング。
(4) ベアリングを留めているサークリップ(スナップ・リング = 留め輪)を外す。
(5) 横にしてシャフトをインペラ室側からハンマーで文字通り軽くタップし、エンジン・シャフト側に押し出す。
頭が出た後は指で押し出す。
画面左側のポンプ・ボディーの中に交換すべきシールが二つ入っている。
(註:ボール・ベアリングが2個付いたままのシャフトは分解しない。ベアリングを持ってシャフトを手で回し、スムーズに回るようなら何も悪いところはない。シャフトに付いた付着物を落としてきれいにするだけだ。)
これから交換するのはこの図の1番のボディーに入っている8番のオイル・シールと9番のオイル・シール。(9番はインペラ室からの水をシールするのでウォーター・シールと呼ぶ人もいる)。
尚、4、10、12(2個)がボール・ベアリング付きシャフト。一番外側の11番が最初に外したサークリップ。
また1GM10 では通常3番と13番は付いていない。古い1GMには付いているのではと想像する。もし付いている場合、上記ステップ (4) の前に取り外す。
(6) エンジン本体側にある径の大きい方のオイル・シールを取り出す。
シール取り出し作業は特に細心の注意が必要。インペラ室側から先の平たいドライバーなどをシールの端に当て、ハンマーで適度に叩いてエンジン本体側(この写真に写っている側)に打ち出して行く。
ドライバーはまず円周の0度部分、次に180度部分、90度部分、270度部分などと、平均に当てて叩き出して行くのがコツ。
この際、交換用の新品パーツを手元に置いて、打ち出すパーツと形状を見比べ、ドライバーの先を当てる所を確認すると良い。
注意:エンジン本体側からペンチなどを使って外そうと試みないこと。シールを壊して断片が出てくるのが関の山。
(7) 最後に9番のシールも同様に打ち出す。
両方のシールを打ち出したら、ボディー内部もきれいに掃除する。15番のオー・リングは目視で正常な状態を確認したらボディーに付けたままきれいに拭くだけでOK。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
⇒ フリッカのリグ
2010年12月20日月曜日
ベイキング・ソーダ
ベイキング・ソーダは本来料理に使うものだが、臭いを吸収してしまう消臭剤としても有効。(例えば家庭では冷蔵庫の中に置いたりする。)セレニティーでは中身は同じだが最初から箱の両面に不織布を張った窓の付いている特別な箱に入り、消臭用として販売されている1ポンド入り小箱を艇の方々に置いている。
箱には3ヶ月毎に取り替えるように書いてあるが、いつもズボラをして半年に一度取り替えていた。しかしこの1年何処へ行っても消臭用の箱に入ったものが入手できなかったこともあり、放ったらかしにしていた。(普通の箱に入ったものは空気に触れさせるため箱の上部など一片を切り取らなければならず、セイリングには向いていない。)
しかし1年も経って効果の無くなったものはとにかく交換しなければならない。
ということでベター・ハーフがコストコで13.5ポンド入りの袋を購入。小箱の古いパウダーを捨て、空にした箱の中へ新しいパウダーを各々1ポンド小分けすることにした。
箱の上部を剥がしてパウダーを入れ替え、また蓋をする。輪ゴムやテープで蓋を留め、適当に配置して行く。
例えば個室ヘッドにはセイル・バッグや係留用のリグなど色々なものを置いているので通常2個配置。
シーラントその他のサプライやエンジンのパーツ等、メンテに必要な品物を収納しているスターボード・セッティー下には計3個。
(右上角に少し見えるが、ここにはタンクからエンジンへの燃料供給ライン、およびエンジンからタンクへの未使用燃料リターン・ラインも走っている。)
Vバース各舷の棚やチェイン・ロッカーに続く収納スペース等にも配置。
艇内に配置した小箱は計10個。これでマリーナに着いてコンパニオンウェイを開けた時のキャビン内の空気が相当ちがう。
ちなみに小箱1個1~1.5ドル。大袋は約6ドルだから箱の再利用で経費を約半分節約できた計算。
***
尚、SFベイエリアの冬は日本の梅雨のような長雨のシーズン(いや、梅雨はひと月で終わるがこの長雨は数ヶ月続く)。クッション等も湿っぽくなる。室内を少しでも乾燥させるために週末にはこの様に陸電で温風機を回している。陸電は便利だ。Vバース上の収納内、ベイキング・ソーダの箱が乗っているのは陸電で使う電子レンジ。
注意:言うまでも無く、消臭剤として使用済みのベイキング・ソーダは料理、または歯磨きなど、人の口に入る事には使用不可。吸い込んだディーゼルなどの臭いが充満している。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
⇒ フリッカ・ホームページの歴代カバー写真
箱には3ヶ月毎に取り替えるように書いてあるが、いつもズボラをして半年に一度取り替えていた。しかしこの1年何処へ行っても消臭用の箱に入ったものが入手できなかったこともあり、放ったらかしにしていた。(普通の箱に入ったものは空気に触れさせるため箱の上部など一片を切り取らなければならず、セイリングには向いていない。)
しかし1年も経って効果の無くなったものはとにかく交換しなければならない。
ということでベター・ハーフがコストコで13.5ポンド入りの袋を購入。小箱の古いパウダーを捨て、空にした箱の中へ新しいパウダーを各々1ポンド小分けすることにした。
箱の上部を剥がしてパウダーを入れ替え、また蓋をする。輪ゴムやテープで蓋を留め、適当に配置して行く。
例えば個室ヘッドにはセイル・バッグや係留用のリグなど色々なものを置いているので通常2個配置。
シーラントその他のサプライやエンジンのパーツ等、メンテに必要な品物を収納しているスターボード・セッティー下には計3個。
(右上角に少し見えるが、ここにはタンクからエンジンへの燃料供給ライン、およびエンジンからタンクへの未使用燃料リターン・ラインも走っている。)
Vバース各舷の棚やチェイン・ロッカーに続く収納スペース等にも配置。
艇内に配置した小箱は計10個。これでマリーナに着いてコンパニオンウェイを開けた時のキャビン内の空気が相当ちがう。
ちなみに小箱1個1~1.5ドル。大袋は約6ドルだから箱の再利用で経費を約半分節約できた計算。
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尚、SFベイエリアの冬は日本の梅雨のような長雨のシーズン(いや、梅雨はひと月で終わるがこの長雨は数ヶ月続く)。クッション等も湿っぽくなる。室内を少しでも乾燥させるために週末にはこの様に陸電で温風機を回している。陸電は便利だ。Vバース上の収納内、ベイキング・ソーダの箱が乗っているのは陸電で使う電子レンジ。
注意:言うまでも無く、消臭剤として使用済みのベイキング・ソーダは料理、または歯磨きなど、人の口に入る事には使用不可。吸い込んだディーゼルなどの臭いが充満している。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
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