今日の話題はSFベイ・エリアのフリッカ [ドリーム・キャッチャー] にある錨泊用の特殊な仕掛け。
フリッカのバウスプリット先端にはクランズ・アイアンと呼ばれるブロンズ製金具(上のフォアステイ、両サイドのウィスカー・ステイ、下のボブステイ、計4本のステイを留める)が付いているが、下のボブステイ装着部を利用した仕掛けだ。
通常各ステイはステイ先端のターンバックルのトグル(U字型金具)に太いピンを通して留める。
しかし、この艇のボブステイ・トグルは単なるピンの代わりにシャックルのピンで留めてある。
つまりボブステイ・トグルもシャックルもクランズ・アイアンに同時に留められる一石二鳥のアイデアだ。
こうして付けたシャックル(この写真の白いU字型金具)に首が360度回転するスウィヴル型ブロックを装着。そのブロックにスナッバーとして使う3ツ撚りラインを通してある。言わばいつでも展開できる常設スナッバーだ。
使用時はラインの一端をデッキにクリート。もう一端はアンカーを打ってチェインが張ったところでチェインにフックで掛けるか、ローリング・ヒッチで結える。その上でさらにチェインを艇から出していくとラインを結んだところから艇側のチェインは緩み、アンカーからの荷重はラインに移される。つまり簡単にスナッバーの装着ができるという訳だ。
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オーナーのバートはこの設定が気に入っているようだが、これには危惧すべき点が二つある。
(1) ラインにゴムのスナッバーが仕込まれていないため、ショック吸収はラインの伸びだけが頼り。
(2) クランズ・アイアンは各ステイからの引っ張り荷重を受けるように設計されており、アンカー・ロードからの余分の大きな荷重を受けるようには出来ていない。しかもアンカーからの荷重がバウスプリットの一番細い先端部にかかる。
この設定は決して安全とは言えない。やはり直接各舷のチョックを通す、ゴム入りの [スナッバー] や [ブライドル(ページ下の写真)] の基本形を用意した方が良い。
(写真はPSC製434艇中261番目 Dream Catcher です。)
⇒フリッカ・ホームページのデータベースにある同艇の紹介