2010年12月4日土曜日

軽油を燃やすキャビン・ヒーター

エスパー・エアトロニクス・シリーズのヒーター、D2を取り付けているフリッカは [以前取り上げた] (写真2枚目、カタログのリンクもそちらにあるので参照され度)。

D2はシリーズ中で一番小さく、セイルボートなら30フィート艇位までカバーできるとされているが、ニュー・イングランドのフリッカ 「スカウト」 ではオーバー・サイズのD4を装着した。30~36フィート艇に適当とされる熱量だ。

スカウトのオーナーが選んだ装着場所は左舷コックピット・コーミングの中。







写真左がスターン側。丸い左の口から室内の空気を吸入、本体を右に通過する際、熱交換器のヒレに触れ、暖まった空気が本体右に付けられたホースから出ていく。

黒色の細いホースは燃料の軽油を燃やすための空気吸入用。その下の灰色の細いホースが燃料管(軽油はエンジン用の燃料タンクから供給)。燃焼室は完全密閉されており、排気ガスは黒い太いホースを通って艇外に排出されるので、室内の空気を汚さず、一酸化炭素中毒の心配がない。

燃費は一時間に4/100ガロン(1/100クォート)、つまり約10cc。暖かさと共にこの低燃費が人気の理由だが、ファンを動かすなどの直流電力が1AH(アンペア・アワー)必要という。

クォーター・バース入り口から見たところ。コーミング内部の空間をうまく利用している。

(尚、スカウトでは手動ビルジ・ポンプを右舷コックピット・ロッカーの中からこの左舷クォーター・バース中に移したので奥にそれが写っている。バース・クッションは外しているので下に覘き窓付き清水タンクの蓋が見える。)




暖まったエアーをキャビン内に運ぶホース。










この写真1枚だけではエアーの実際の放出口がどこにあるのか不明。前出の [ダルシ二ア(2枚目の写真)] ではコンパニオンウェイ下、ソール(床)のすぐ上、という理想的な位置から出てくる。尚、ダルシ二アでは本体はエンジン・ルームに装着。

これはスカウトのクォーター・バースに頭からもぐり込んでコーミング内を見上げたところ。

排気管はトランサム(写真下部)の孔に接合されている。










トランサム外観。

バックステイ・チェインプレイトの左に排気口が見える。

(外付けラダー周辺のパイプは 「モニター」 ブランドのウィンドヴェイン=自動操舵装置。スターン・アンカーもソーラー・パネルも見える。外洋・長期クルーズ志向艇だ。)






ギャリーとVバース間のバルクヘッドにあるサーモスタット。これで室温を一定温度に調整。

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[エスパー・サイト] の右側にある Video ⇒ How the air heater works をクリックするとエスパー・ヒーターの燃焼と暖房の仕組みが分かる。

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既にいくつか見たように(当サイト左上の白いサーチ欄に スカウト と入れて検索すると本日のログの下にスカウト関係の過去の記事が全てリストされる)、このフリッカのオーナーは艇のあちこちに手を入れている。明日は最近の様子を見てみよう。

(写真はいずれもPSC製434艇中366番目 Scout です。)
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