「ミス」 はテキサス州コーパス・クリスティーのオーナーが1976年カリフォルニア州サンタ・バーバラに在ったノー'スター(ノース・スター)からハルとデッキだけを購入* 、残りは6年かけて全て自分で造り上げたフリッカだ。
そのオーナーが造船の記録を [写真満載の本] にして自費出版した。(PREVIEW BOOK! をクリックすると本の全頁がプリヴューできる。拡大しても文字は読み取れないが写真は楽しめる。)
PSC製よりマストは高くブームは長い。オーナーの話ではバックステイはないそうだ。
キャビン内を見るとPSC製フリッカはギャリーの配置がスターン(船尾)側からコンロ、シンク、アイスボックスとなっていてドロップ・リーフ式テーブルはアイスボックスの壁に折畳むようになっているが、ミスはその順序が逆。
これは昔ビンガムがフリッカを自作したい人たちに売っていた図面一式中の1枚。
ミスにはドロップ・リーフ・テーブルこそないが、オーナーはこの図面を忠実にフォローしたようだ。
その後ミスはオーナーも変遷し、それと共にホーム・ポートもメキシコ湾岸のテキサスから東海岸のノース・カロライナ、さらに北に上ってニュー・ジャージー、ニューヨーク、そして3年前から現(5代目)オーナーの住むメリーランドと変わってきたが、この12月、初代オーナーが件の本を出版したとUSヤフー・フリッカ・グループに報告、その投稿を読んだ現オーナーが名乗り出て両者がつながった。この本は現オーナーにとって最高のクリスマス・プレゼントとなったようだ。
尚、ミスはハル色がグリーンであることもあり、遅くとも3代目オーナーの時に既に 「スイート・ピー」 と改名されている。またフリッカで唯一ティラーではなくワーム・ギア式ホイール・スティアリングを装着していることでも知られる。その件については [こちら] を参照。
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* 本日までの記事ではノー’スターではフリッカのハルだけしか造らず、木造デッキを同じ南カリフォリニアのウェスタリーに造らせていた、と書いていたが、この Myth の初代オーナー・ビルダー Reginald Hinnant のおかげで、ノー’スター製全20艇中、このハルID NSB20000015 の15番艇以降はデッキも(ノー’スター、ウェスタリーどちら製かは不明だが)モールドから作成されたものだったことが判明した。(ただし、マスト下のニー、その他内装は木なのでデッキ、キャビンとも見た目には全部木製に見える。)
このデッキ・モールドもハル・モールドと共にPSCに受け継がれ、PSCではデザインを全般的にリファインした独自のモールドで生産を開始するまで、最初の何艇かは受け継いだモールドで製造したということのようだ。
リンク:
⇒ [PSCで造船の第1号艇]
⇒ [PSC独自のモールドによる第1号艇]
(写真はノー’スター製20艇中15番目 旧名 Myth の Sweet Pea です。)
⇒ フリッカ・データベースにある同艇の紹介