フリッカのラダーはトランサムに付けたアウトボード・ラダー、そしてヘルムはティラーだ。PSC製434艇中、ホイール(舵輪)付きの艇はただのイッパイもない。400セット以上売れたブルース・ビンガムの図面や、雑誌 『ラダー』 掲載の図面から自作した艇でもホイール付きフリッカの記録は皆無だ。
ただノー’スター製20艇中イッパイだけホイール・スティアリングのフリッカがある。フリッカ史上この艇だけがホイール・スティアリングだ。その艇の名は 『スイート・ピー』 。
ホイール・スティアリングと言っても、ヘルムズマンが舵輪の後ろで操作する今日のチェイン駆動やワイヤー駆動式のホイール・スティアリングではなく、ワーム・ギアと呼ばれる物。
ワーム・ギアはティラーやチェイン/ワイヤー駆動式のホイール・スティアリングに比べて一般にコックピットが広く使える利点がある。
しかしワーム・ギア一番の利点は舵軸についたギア(歯車)とホイールのギアが直接噛み合うので頑丈で故障も少なく耐久性があることだろう。日本の名艇、横須賀産の 『マリナー・ケッチ』 や 『フジ・ケッチ』 にも付いていた。
ただ舵取りのエンドからエンドまで(ハードからハードまで)が長い、というのが欠点と言えば欠点。つまり方向転換に舵輪を余計に回さなければならない。今では新艇に付けられることは全くなくなってしまった。
(写真はノー’スター製20艇中15番目 Sweet Pea です。)
⇒ フリッカ・フレンズ掲載の同艇:2、7、10、14-15ページ参照
⇒ フリッカ・データベースの同艇:Sweet Pea