2009年1月31日土曜日

ドリーム・キャッチャー

昨日インテリアを覗いた 『ドリーム・キャッチャー』。名前の由来はインディアンの夢捕獲網だ。コックピットから見ると、シュラウド、ステイ、ハルヤード、レイジー・ジャック、フォアデッキ両舷のセイフティ・ネットなど、諸々のラインの織り成す光景がドリーム・キャッチャーを思わせるのでひらめいたのだそうだ。

係留中のオーニング。ブームを利用した日よけテントそのまま。








その下にドジャー用フレーム、スターン・プルピットの上にはどうも他のオーニング用のフレームが付けられている。以前、このパイプの型のオーニングを付けていたのだろうか。

ラダー上部の木製チーク(ホオ)のカバーは分かるが、スウィム・ラダー(ハシゴ)の真ん中部分にあるカバーは何だろう。ステンレスパイプの横棒に装着した木のステップを保護するためかも知れない。

フォアワード・ハッチの上を覆う小さなオーニング(テント)もこちらではポピュラーだが、日本ではどうだろう。



フリッカのハルは白、淡いベージュ、濃いグリーン、青、紺、赤が多数をしめる。グレーも見かけるが、このような茶色は知る限りこの艇だけ。

PSCは1983年に新しいデッキ・モールドを使い始めたが、この艇がその最初の艇とも言われる。少なくともオーナーのバートはオリジナル・オーナーから代々言い伝えられてきたのか、そう信じている。

(写真はPSC製434艇中261番目、Dream Catcher です。)
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2009年1月30日金曜日

Vバースのバルクヘッド

このフリッカはやはりサンフランシスコ湾をベースにしている 『ドリーム・キャッチャー』。ギャリーとVバースの間、マストを支えるアーチの下、ポート側にバルクヘッドがある。














大変珍しい。[ココ] に見られるように、時代ごとに少しづつ変化はあるが、広々としたエアリーな空間を保つため、通常この間仕切りはフリッカにはない。同じ造りはこのドリーム・キャッチャーの他、知られている限り同じ1983年製の 『メイブル』 (下の写真)だけだ。













(前オーナーの健康上の理由から3年ほど係留されっ放しで誰もハッチすら開けたことのない状態だったという。新オーナーがこれからいろいろメンテをしていくとのことなのですぐに小奇麗になるだろう。)

この写真はスターボード側の様子も見える。ポスト(柱)が立っていて、ちょうど通常のフリッカのポート側にあるものが、バルクヘッドの下半分と合わせてそっくりそのまま反転してスターボード側に移った感じだ。

面白いのはVバースの真ん中の切り込みがないこと。Vバースというより三角バースか。

このアレンジは2艇ともに、ファクトリー製のようだから、1983年(新型のデッキ・モールドが出来た年)にはファクトリーはインテリア面でもまだいろいろな注文に対応してマーケットを模索していたことが想像される。

(写真上はPSC製434艇中261番目、Dream Catcher、下は265番目、Mable です。)
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2009年1月29日木曜日

ホットスパー

フリッカは20フィート艇にしてはいつでも大きく見えるが、見る視点・角度によっては特に大きく見える時がある。

フリッカの写真は数が多いが、この 『ホットスパー』 の機走する写真ほどフリッカのヴォリュームを良く捉えている写真はないような気がする。

(写真はいずれもクリックで拡大)

2005年の夏、サンフランシスコ湾エンジェル・アイランドのアヤラ・コウヴという入り江でムーアリング・ブーイー(常設アンカー)に係留中の同艇。

この写真に出ている前オーナーのエリックは、オルソン30という超軽量艇でシングルハンド・トランズパック(SF~ハワイのレース)に出た経験の持ち主で、重量艇のフリッカをこよなく愛していた。SF湾は5~10月毎日フリッカの得意な20~30ノットの風が吹くので、フリッカには持ってこいの環境だ。

ホットスパーのドジャーはメイン・ハッチの上だけをカバーするコンパニオンウェイ型。[ココ] にもっと写真がある。

尚、現オーナーはレイク・タホでセイルしている。余談だがホットスパーのドジャーを造ったのは女性で、当ベイ・エリアでは海やヨットの絵を得意とする画家として知られている人物。

(写真はいずれもPSC製434艇中386番目、Hotspur です。)
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2009年1月28日水曜日

コックピット・ドレイン

まずこの2枚の写真を見て欲しい。

場所はコンパニオンウェイの下(ハシゴをはずし、ビルジへのアクセスのカバーをはずしてある)。





ハルに開いていた3つの孔(スルーハル)は左上がエンジン冷却水の取水口、その下と右側の孔はコックピットからの排水の出口だったところ。

新オーナーはエンジンを換載するのに合わせ、これら3つのスルーハルを後部へ移動させ、このスペースはエンジン始動用のバッテリーを置くスペースにするのだという。

これが新しいコックピット・ドレイン(排水)の経路だ。ここに見えるのは、コックピットのポート側の排水口に付けられたチューブ。チューブ自体をファイバーグラスでラップしてカチカチにしてある。ホースの先はそのままポート側に開けた新しいスルーハルにファイバーグラスで固定してある。シーコックはない。本人はこれで頑丈なものが出来たと満足しているようだ。



が、このアレンジには問題がある。

通常、1983年頃以降のフリッカではコックピット・ドレイン(排水)の経路は [このリンク先] (上から2番目の写真)のようになっている。チューブが交差している点に注目。(写真はクリックして拡大すると見やすい)。

つまり、スターボード側コックピット・ドレインの水はチューブを通ってポート側のスルーハルから艇外へ排出され、ポート側のコックピット・ドレインの水はスターボード側のスルーハルから排出される仕掛けになっている。

これは他でもない、艇がヒールした時、スルーハルから入った海水が逆流してコックピットに噴出するのを防止するためだ。

この工夫により、例えば艇がポート側にヒールする時は、スルーハルから入った海水がコックピットに噴出すヒール角度になる前に、スターボード側のスルーハルが海上に出てしまうのだ。だからコックピットは艇がヒールしてもドライに保てる。

***

この改造艇のオーナーは自艇を改善したと思っているのかも知れないが、これでは改悪だ。艇がヒールすると水がコックピットにどんどん入ってくる。しかもスルーハルのシーコックもなくして、ファイバーグラスで管を直結してあるから、浸水を防ぐには木のプラグ(栓)をコックピットの孔に差し込むしかない。

セイリングしないパワーボートとして使うのならまだしも、はたして自分のやっていることが理解できているのか疑問だ。

本人宛てに要点だけ書いて報告しておいたが、大事に至る前に(少なくともコックピットが水浸しになる前に)理解して修正してくれればと思う。

(写真はいずれもPSC製434艇中366番目、Scout です。)
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2009年1月27日火曜日

ウィンター・フレーム

昨日のビデオで120フィート級のヨットにフレームを組んでラップした姿が出てきたが、フリッカでもラップはともかく、きちんとしたフレームを自作した人たちがいる。

これはニューヨーク近辺のオーナーが、冬篭り用のアルミ・フレームを組んだところ。






この上にキャンバスなり、タープ(ターポリン=日本で言うブルーシート)なりかぶせて雨雪からトップサイドを守るための下地だ。

ただ昨日のビデオとちがい、フレームはトレイラーに乗った艇全体を被うように、地面の上に直接組み立てられている。全体像がないのが残念。

(写真はPSC製434艇中358番目、Sans Souci です。)
この艇が Sans Souci
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2009年1月26日月曜日

エンド・タイ (Video)

End Tie (エンド・タイ)とはマリーナのドックで一番先端にある係留スペースのこと。言うならばT字の上の横棒の部分で、その下の縦棒の両側の櫛の目のようなスリップ(係留スペース)に並ぶ他艇の2倍以上の長さがある。 櫛の目のスリップに入りきれない大型船艇係留用だ。



[ここ] は我がフリッカ 『セレニティ』 が目下世話になっている、約550艇が係留可能な中型マリーナ。入り口に一番近いところ、ドック1Aのエンドには101フィートの木造ケッチ。この艇は過去三年に一回だけ機走で出航したのみ。

次のドック1Bのエンドは「ハリウッド風」海賊船のレプリカ。両マストにクローズ・ネスト(見張り台)が付いたブリガンティン(前のマストはスクエア・セイル、後のマストはフォア&アフト・セイル)。これはここに泊まっているだけ。出て行けるだけの整備はされていない。

次の2Aのエンドは2008年にワシントン州からやって来た恐らくファイバーグラスまたはメタル製のケッチ。120フィート以上ありそうな、このマリーナ最大のヨットだ。見ての通り、見事にラップされて長期保存の構え。ラップ用のフレーミング、ラップそのもの、ラップの開口部に仕込んだ大型換気扇など、唖然とするくらい立派だ。

いったいどういうオーナーたちかは知らないが、大型になるとそれだけメンテも大変、出航にもクルーが必須で、セイリングを楽しむヨット生活とは程遠いものになっている。マリーナに係留されるためにこの世に生まれてきた訳ではないだろうから、海に出られない船自体がかわいそうな気もしてくる。

(ビデオはマリーナに帰着、メガ・ヨットの前を通り、自分のスリップへ向かうPSC製434艇中295番目、Serenity です。)
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註:これは帆走ビデオではありませんが、当ブログの全てのビデオをひとつのラベルで一括表示するために、帆走(ビデオ)のラベルにしてあります。あしからず。

2009年1月25日日曜日

ツインズ(双子)?

何度も何度も見比べた。昨日の314番のフリッカと実に良く似ている。











ハルの色、ポートの形、ドジャーとオーニングの造りと色、コックピット・コーミング上に張ったティーク、2枚のソーラー・パネル、ウィンドヴェイン、バーベキュー・グリル、プルピット右舷の白い救命浮き輪に至るまで全く同じだ。

黄色い軽油用補助タンクは1個しか置いていないが、レイダーがなく、リフレクターだけが左舷のスプレッダー下に掲げてあるのも同じ。


同一艇ではないのか。ディンギー用の船外機を掛けておくプルピットの板も全く同じだ。その船外機の姿が見えないのはオーナーがディンギーに乗ってこの写真を撮っているからだろう。

このフリッカ 『セルティック・タートル』 はホームポート名がオーナーの住んでいるペンシルヴァニアの街の名前になっているが、係留場所はメリーランド州ロックホール。ハル番号はオーナーが413番であることを確認している。413番の前オーナーはフロリダ州マラソンに係留していたというから、どうもHonuと呼ばれていた当時の写真が昨日の写真らしい。

314番と413番の間にはPSCでの製作年に約8年の隔たりがあり、しかも314番が造られた1984、85年頃のフリッカはポートの形が長方形ではなく楕円形だ。そのことからも別艇であるとは考えにくい。やはり314番というセイル番号(というより、それを即ハル番号と解釈した小生)が混乱の元のようだ。

しかしなぜわざわざセイル番号を 314 にしたのだろう、という疑問は残る。(誕生日をセイル番号にする人もいるから、誕生日が3月14日で、ハル番の 413 をヒネって洒落たのかも知れない。)

***
『セルティック・タートル』 には余談がある。2008年6月25日、夕刻6時。東海岸のチェサピーク湾のフェアーリー・クリークという小さな錨泊地に投錨してから小一時間後、「おい、見ろ、あいつらは双子だな。」と言う声がするのでデッキに出ると、ハルの色もドジャーの色も同じ 『ラーフィング・ドルフィン』 がすぐ近くに投錨するところだったと言う。お互い相知らぬフリッカのオーナーたちが、示し合わせた訳でもないのに、こんな小さな場所に同日、同時刻ごろにアンカリングする確率を考えると全くの偶然とはこういうものか、と驚いたそうだ。
***

『セルティック・タートル』 のノース・セイル製フル・ボートカバー。






生地は最高級品の Top Gun 。値段はSunbrella の4倍だそうだ。

(写真はいずれもPSC製434艇中413番目、Celtic Turtle です。)
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413 が Leprechaun という名前だった頃の写真 (上から2枚目)

2009年1月24日土曜日

クルーズ仕立てのフリッカ

このフリッカの登録州はフロリダ。カリブ海へ、バハマへ、とクルージング先には事欠かないはず。

見ての通りの重装備。左舷には軽油用の黄色い5ガロン補助タンクが二つ。右舷には荒天時のシー・アンカー(パラアンカー)用のラインがコアに巻いてあるのが見える。大きなフル・ドジャーの後ろには、コックピット上をフルに被って直射日光をさえぎるオーニングが付いている。ないものと言えば、レイダーくらいだろうか。





オーニングを取り払ったところ。ウィンドヴェインの両側にはそれぞれディンギー用船外機とバーベキュー・グリル。ソーラー・パネルも各舷一つづつ。

オートパイロットも見えるし、ティラーにぶら下がっている金色の袋はホット・シャワー用の水を太陽熱で暖めるソーラー・バッグのようだ。ブームはステンレス・パイプで作ったブーム・ギャローズの上に載せられているが、このパイプはオーニングのサポートを兼ねている。

(天井についている明かりは丸い真鍮のスタンダードではなく、木箱式。この艇だけではないからこれもオプションだったのだろう。)


ポートのカバーは覗き防止用というより日光を避けるためだろう。EPIRBの上に扇風機(換気扇)が見える。フロリダは日本以上に蒸し暑いから、必需品か。

Vバース左舷側にもひとつ。(Vバースとフォアピークの収納を仕切るバルクヘッドにあるのはステレオ・スピーカー。)



左舷側だけではなく、右舷側にも付いているそうだ。これだけあれば、室内の強制換気も効率良くできるだろう。

棚にはエンジンのないヨットで世界を巡り、外洋に出かけようというセイラーたちから絶対的な信頼を寄せられているリン&ラリー・パーディーの本「ストーム・タクティックス」が見える。

(写真はいずれもPSC製434艇中413番目 Celtic Turtle、 旧名 Honu, Leprechaun, Turtle です。)
註:セイル番号は314だがハル番号は413だということ、及び撮影当時の名前がHonuだということが後日判明した。
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2009年1月23日金曜日

特別ウディなインテリア

フリッカは味深い、飽きの来ない、木のぬくもりを感じさせるヨットだ。フリッカのハルには丁寧にカーヴル・プランキングのラインまで入れてある。ステムの形もカーヴル・プランキングを張り込む木のステムそのものだ。マリーナやボートヤードでこれは木造か、と聞きに来る人の数は少なくない。

フリッカでファイバーグラスだからこういう形ができた、と言える点はひとつもない。逆に言えば造ろうと思えば全て木で造り上げることも可能なデザインということ。

外見がそうだから、キャビン内もウディな感じを出そう、とティークをふんだんに使ってあるが、この艇はまた特別。


ちなみに [このリンク・ページ] の写真、トップの1枚が典型的なフリッカの内装だ。

ティークのソール(フロアのこと)の周りのせり上がり、その上の垂直な壁の部分、どこもかしこもティークで被ってある。


ドロップ・リーフ式のテーブルも例外ではない。木のテーブルは昨日のフリッカとこの艇だけ。他には見られない。

この写真では下のバルクヘッドやカボードの直線と対照的に、複雑でありながら単純に見えるハウスの壁の曲線が実に良く捉えられている。フォアからアフト方向へどんどん低くなるサイドデッキ。キャビン内がティーク張りであろうがなかろうが、キャビン内部からこのようにきれいに木造船のラインが見えるヨットは今日ではあまり見かけなくなった。






(写真はPSC製434艇中424番目 MoonShadow です。)
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2009年1月22日木曜日

デイ・セイラーとしてのフリッカ

ヘビー・ディスプレイスメント(重排水量)型のハル、頑丈なつくりのフリッカは、軽いレース艇とはコンセプトの違う艇だ。安全性が高く、丈夫で、多くの食料や水などの荷物を積んで遠洋航海のできる外洋艇だ。だからと言って、すべてのフリッカが南太平洋やカリブ海を航海しているわけではない。他の様々なデザインのセイルボートと同様、海、湖、大河など、どこにでも見られる。この艇はオーナーが最初から遠くへ行くことは考えず、デイ・セイリング(日帰りセイリング)のために購入したようだ。

バウスプリットはあるが、プルピットはない。スタンチョンもライフラインもない。スターン・プルピットもない。



1981年製。自分のセイリングの楽しみ方に不必要と感じたものは一切付けなかったと見える。無論キャビンがあるから20フィートのオープン・ボートなどと比べるとデイ・セイラーだとしても、居住性は比べ物にならない。1、2泊のウィークエンダーと言った方が正確かも知れない。

キャビンはヘッドがVバースにあるオープン・レイアウト型。サイドデッキ下の棚にも転落防止用の木のレールがないなど、シンプル。


実はこの艇はオーナー・コンプリーション・ボート(キット・ボート)。ハル、デッキ、ラダーが組み立てられたところでオーナーに引き渡された。とは言え、キャビンはギャリー、Vバース、セッティー、クォーター・バースなどを含むイナー・ライナーが既に造り込まれていた。その残りをオーナーが自宅近くのプロにオーダーして仕上げたものという。

良く見ると、ギャリー・トップ周りのトリミング、シンクやアイスボックス外側(サイドデッキ下)のカボード、ドロップ・リーフ式テーブル、Vバース正面の扉など、ファクトリー・フィニッシではない部分が分かる。

ポート(窓)は両舷とも前の二つは締め切り式で、後ろの大きいものだけが開閉式。またこの時代の艇にはマスト・サポートのアーチの下にポールがないのが普通。この締め切り式楕円形ポートと四角いポールに関しては、ファクトリーでのオプションだったのか、オーナーの希望によるカスタマイズだったのか、はっきり分からない。

(写真はPSC製434艇中136番目 Ocean Gypsy です。)
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2009年1月21日水曜日

船底のスライム (Video)

オリンパスのキャメラは防水なので水中での撮影も可能。と言うわけで、2年前に塗ったPettit のTrinidad の効果を見てみた。



このスターボード側のハルは22ヶ月前に塗ってから、ただの1度もスクラップ(擦って掃除)していない。赤い部分は付着物が何もないところ。以前に塗っていたInterlux のUltra よりも効果がある。Pettit のTrinidad の銅化合物含有率は70%、Interlux のUltra は66.5%だからその差が出ているのかも知れない。

海水はアリューシャン列島、アラスカ本土、と北太平洋を時計周りに回って来た寒流のせいで、すこぶる冷たい。例え真夏でも、サンフランシスコは無論、南のロサンジェルス、サンディエゴあたりでも、とても日本感覚の海水浴はできない。

ただ、ロサンジェルス(サンタ・バーバラあたりから南と言った方が正確だ)ではダイヴァーと契約して月1回必ず船底をスクラッブしてもらうのが普通なのに対し、サンフランシスコでは全くやらなくても平気だ。やはり400マイルも離れているとスライム(ヌルヌル)やノリなどの付着の度合いがかなり違うと言える。



見ての通りフジツボなど硬いものは一切付いていない。ラダーの赤い部分は比較のため撮影前にブラシでサッサッとなでてスライムを落とした部分。力を入れる必要は全くない。まさに撫でるという感覚。船底管理は至って簡単だ。

(ビデオはいずれもPSC製434艇中295番目 Serenity です。)
註:下のラベルは「係留」とすべきところ、すべてのビデオを一括して表示させるため敢えて「帆走(ビデオ)」としてあります。ご容赦。
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2009年1月20日火曜日

カウンタートップのカスタマイズ

通常は白のカウンタートップを、コーリアン(Corian) を使ってカスタマイズしたフリッカ。インテリアの雰囲気に合わせながら、もっと家庭的な暖かい感じになっている。ギャリーというよりはキッチンという感じだ。悪くない。

ただ、カウンタートップを家庭のキッチンのように一面にコーリアンにすると、やはりシンクの左横、オライゴ製の非圧式2口アルコール・レンジの処理に困る。この艇でも除去されている。コンロはこの上に置くしかない。

尚、シンク右隣のアイスボックスのフタは1990年代(または80年代後期から)の艇ではこのように2つ折り式だが、それ以前のものは1枚式。





ドロップ・リーフ式テーブルには大胆にコンパス・ローズを埋め込んである。





右手前のポストに組み込んだのは栓抜きか。

2口アルコール・レンジのあったスペースを利用して、引き出しが設えてある。





そう言えば前面のスペースだけを利用して [スパイス棚] を作った例もあった。ギャリー周りは見えるところ、隠れたところを問わず、色々カスタマイズできるスペースや物が多い。

(写真はPSC製434艇中、番数艇名未確認のフリッカです。)
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2009年1月19日月曜日

南太平洋のフリッカ

このフリッカはバウスプリットに掲示された船艇登録番号を見ると、頭の2文字がWNだから米国ワシントン州がホームだ。スターンに掲げた国旗は星条旗、訪問国のコータジー・フラッグはフランスの三色旗だ(ちょうど裏側から見ている)。撮影場所は南太平洋のタヒチとかボラボラとかフランス領ポリネシア、と想像される。

PSC製マルコーニ・リグのフリッカはマストのシュラウド用チェインプレイトが各舷3本づつだが、この艇は2本づつしかない。



畳んだジブとイナー・ジブ(ステイスル)に被せたカバーが仲良く並んでいるので、スループではなくカッターだ。

キャビントップのキャンバー(円弧)が大きく盛り上がっている(PSC製フリッカではもっと緩やか)ので、この艇は 『ラダー』 誌に掲載されたブルース・ビンガムのオリジナル・デザインから起こした自作艇か、ノー’スター製20艇中の一艇だ。

補機はガソリンの船外機なので赤い色の予備タンクがサイドデッキにある。青い色は何用だろう。水用か。それとも赤いタンクが手に入らなかったのでこれで代用しているのだろうか。(ちなみにディーゼル=軽油用は黄色。)

遠洋航海には欠かせないウィンドヴェインを装着している。セイルを降ろした時やリーフをする時にブームを置くブームギャローズも設置。暑い日差しを遮るブーム・テントも付けている。(写真はクリックすると拡大。)

ボブステイもウィスカー・ステイもチェイン。フォア・デッキにはヴェント(通風用カウル)。その前には大型のウィンドラス。ポートは正円形のブロンズ製。コックピット・コーミングはウッドで、スターン・プルピットは低く、メイン・トラベラーも特製のようだ。艇と同じようにソールティーなオーナーがコンパニオンウェイから今にもひょっこり顔を見せそうだが、キャメラのシャッターを押したのが本人だろう。

見たところ撮影されたのはずいぶん昔のようだが、この艇の詳細は今のところ不明。

***
追記(2009年4月28日): このフリッカはアメリカ・シアトルがホーム・ポート、ノー’スター製20艇中11番目 Hrai Roo であることが判明した。
***

(写真はNor'Star製20艇中11番目 Hrai Roo です。)
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2009年1月18日日曜日

プラスチック製ポート

パシフィック・シークラフトは1982-83年くらいまで、フリッカをキット・ボート(オーナーが完成させるオーナー・コンプリーション・ボート)としても販売していた。ポートもブロンズにするかプラスチックにするかはオーダー時に選択、その他の艤装やインテリアの完成度も種々選択できた。

新艇をオーダーする時、とにかくフリッカを手に入れたい、と言う人には幸いだったはず。室内の造作はいつでも自分で必要に応じて作っていけば良いのだから。おそらく、1970年代後半から80年代前半にかけて1年に100艇も売れたのはそういうフレキシブルな売り方も一因ではないかと思う。

1983-84年以降ファクトリー・スペックの完成品のみを売ることになり、値段は上がり生産は減った。90年代に入ると4-5年間でやっと10艇ほどしか造られていない。

このフリッカのギャリーの前にはシェルフ(棚)もカボード(扉つきの収納)もない。





通常シンクの左には2口のオライゴ製非圧式アルコール・レンジが埋め込まれているがそれもない。そこはカウンタートップになっていて、1口のオライゴ製コンロが奥に置いてあるだけ。(コンロの上に乗っているのはクルーザーになくてはならない圧力釜)。

プラスチック製ポートの場合、特にアフトの大きいポートがブロンズ製のものに比べ、際立って大きいのが良く分かる。室内がとても明るく感じられる。





ヘッドが個室ではなくVバース下にあるいわゆるオープン・レイアウト型のこの艇では、右舷の大型ポートからもキャビンに光が入ってくる。


両舷のサイドデッキ下のスペースもティーク製の落下防止用細板の仕込みがなく、唖然とする人がいるかも知れないが、使い勝手は別にして、その開放感が不思議とオープン・レイアウトやプラスチック製大型ポートにマッチしている。

こちらは外観。ガナルの上のレールもティークではなくアルミ製だが、それはそれでメンテが楽、孔にプリヴェンターを掛けられる、など利点もあるだろう。




(写真はいずれもPSC製434艇中、番数未確認、1981年製の Roane です。)
www.yachtworld.com Flickaで検索すると他のフリッカも見られます。

2009年1月17日土曜日

またまた12月26日 (Video)

撮影日は依然として去る12月26日(金)。『セレニティ』 の後方に見えるのはマリーナやサンフランシスコ空港のある、ペニンシュラ(半島)。



出航時はなんとか8-9ノットあった北風もどんどん落ちて、この時は4-5ノット。それでも例年10月から4-5月頃までずっと日中無風~2-3ノットの風しかないSF湾のオフ・シーズンとしては、今年の気候は異常だ。冬場につきものの雨も降らないし、生暖かい。



進行方向正面はオークランド空港などがあるSF湾のイースト・ベイと呼ばれる地区。キャメラを左舷に振って見えるのは遠くSF市街や49ersのキャンドル・スティック・パーク。今年の夏はいったいどうなるのだろう。まさか、いつも午後に判を押したように吹く南西~西の20-30ノットの風がなくなる、ということはないだろうが、これだけ異常な天気が続くと何が起きても不思議はないような気がする。

(ビデオはPSC製434艇中295番 Serenity です。)
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2009年1月16日金曜日

マストの起倒

フリッカはトレイラーに乗せてあちこちの海、湖、河に行ける。だがマストを起てたり倒したりする作業が必須。その度にクレーンのお世話になるのではやっかいだ。そこでマストの起倒用にいろいろなアイデアや小道具が考案、販売、使用されている。いずれもテコの原理を使って一人や二人でいかに無理なく安全に作業できるが鍵だ。

フランス語の名前の付いたニューヨーク近辺のフリッカ Sans Souci ではマスト前側にテコをつける。





基本的にはこのテコの先端をデッキまで引き下げればマストが起つ。

簡単に起った? いやいや、実際には写真2枚で終わるほど簡単ではないが、手順を踏んで注意してやれば誰にでもできるらしい。


この方式を取っているフリッカは Sans Souci だけではない。こちらはフリッカ・ホームページに出ている 『イーブンタイド』 ("Lowering the Flicka Mast" をクリック)。 このアイデアはフリッカを設計した男、ブルース・ビンガムの本 『セイラーのスケッチブック』 にも書いてある。

マストの前にテコを付けるかわりにA型(V型と呼ぶべきか)のテコを使う方法もある。両舷のスタンションを足場にしている。デモ写真は他の小型艇だが、興味のある人は [こちら]

テコの形状や設置場所がちがうと、テコとラインの組み合わせ方にも特徴が出る。

(写真はPSC製434艇中358番目 Sans Souci です。)
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2009年1月15日木曜日

シングルハンダーズ・パッケージのリーフィング・ライン

フリッカのメインスルは通常リーフィング・ポイントは2つ。

この写真ではグリーンのラインがファースト・リーフのラインだ。シングルハンダーズ・パッケージではこの写真のように、ブームにクリートしたラインがセイルのリーフィング・クリングルを通り、ブーム・エンドへ引っ張られ、そこからブームの中へ入り、ブームのフォア・エンドから出たラインがマスト・ステップに付けたブロックを通り、さらにキャビン・トップ上のオーガナイザーのシーブを経てからコンパニオンウェイ横のクリートに至る。

要するにコックピットからラインを引くと、セイルのクリングルが下へも後ろへも引っ張られ、リーフィングが簡単、というアイデアだ。

しかし 『セレニティ』 でこれを試したところ、思うようにクリングルがブームまで降りて来ない。ラインの走りがスムーズではなく、いくら強く引っ張ってもクリングルは中途半端な位置で止まってしまう。どうしてもタイなどを使ってグイと下へ引っ張る作業が必要になる。

そこでセレニティではラインをブームにクリートするのではなく、最初からクリングルそのものに結んでいる。つまり、リーフィング・ラインは主にクリングルを後ろ(アフト)へ引っ張るために使うのみ。下方への引きは予め別途用意してある長さ4フィートほどのラインをクリングルに通してグイと引っ張り、ブームに結ぶ。その方が効率が良い。

[このページの3枚目の写真] を参照されたし。

(写真はPSC製434艇中366番目、在ニューイングランド地方、艇名未確認のフリッカです。)
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2009年1月14日水曜日

アンガスのキャラウェイ

ナイス・ガイのイギリス人アンガスはフリッカ・ホームページの管理人。本職はウェブ・デザイナーだが、時間を作ってボランティアでフリッカ・ホームページのリニューアルを行った。

『キャラウェイ』 はフランスをホームに、季節によってイタリアなど地中海各地を航海しているが、写真はコルシカ島にて。


[ここ] に地中海を行くキャラウェイのビデオがある(Youtube)。奥に写っているのがキャラウェイ。僚艇 『ブロウン・アウェイ』 から撮影したもの。真下り+追い波のセイリングの感じが良く出ている。

(写真はPSC製434艇中423番目 Caraway です。)
フリッカ・ホームページ
アンガス個人のサイト

2009年1月13日火曜日

キャビン暖房 3

キャビン暖房については [1] [2] にも書いたが、キャンピング用のプロパン式を使っている人もいる。

部屋を換気しなければならない点を除き、安全性には優れているというがどうだろう。暖気は電池式の換気扇で部屋に押し出される。


後ろを覗いたところ。真ん中の緑のものがプロパン・ボンベ。















(写真はPSC製434艇中200番台後半の Kittiwake です。)
Hal's Home Page
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2009年1月12日月曜日

ユタのメイブル

オレゴンにあった1983年製のフリッカ 『メイブル』。新しいオーナーがユタのソールト・レイクに移した。新オーナーの話では購入直前16ヶ月間はマリーナに係留されていただけで手入れもされていなかったそうだ。前オーナーの健康上の理由という。その間誰も艇を訪れることもなくコンパニオンウェイも閉じっ放しだったそうだ。フリッカ最後のプロダクション艇が出たのが1998年。前オーナーが人生を全うした、という話も良く耳にする。















写真は昨年9月購入後同レイクで新オーナーたちが初めてセイルした時の様子。






メイブル自身もうれしいだろう。新オーナーは無論、前オーナーも喜んでいるにちがいない。






Nor'Star製20艇、PSC製434艇、さらに自作を含めたフリッカの大部分が今でも現役で世界のどこかでセイルしていると思う。オリジナル・オーナーに愛され続けているフリッカ、2代、3代、4代目のオーナーに愛されているフリッカ、皆んなこれから何十年も生き続けて欲しい。









(写真はいずれもPSC製434艇中265番目 Mabel です。)
フリッカ・ホームページ

2009年1月11日日曜日

慣れない手つき (Video)

デッキ上のものを撮影する時はキャメラをブーム(ボート・フック)先端に付ける必要はない。やはり手持ちで撮影するのが一番。

だがレンズを自分の方に向けて撮る時は注意が必要。これまで使ってきたキャノンのバカチョン(比較的大きいレンズがキャメラ本体の真ん中にある)のつもりでオリンパスを使うとこうなる。ついボディの中心をセンターにして撮ってしまった。



小さなレンズが本体の左上に埋まったような感じでついているオリンパスではその小さなレンズを意識的に中心に持ってこないと当然ながら画面がズレてしまう。これはスターボード側に振れてしまった。レンズが左上端にあるので手持ちの場合、見てのとおり指の先をお披露目することにもなりやすい。

撮影日は以前と同じ去る12月26日(金)。

尚、バウスプリットの先端は木のエンド・グレイン(柾目)なので剥き出しだと水を吸いやすい。ペイントを塗布するなり、キャップをかぶせるなりしてバウスプリットが腐らないよう防御しなくてはならない。バウスプリット先端部に付いていて、最低4本のステイ(上のフォアステイ、下のボブステイ、両脇のウィスカー・ステイ)を留める部品はクランズ・アイアン(cranse iron)と言う。アイアンと言っても、フリッカではブロンズだから錆びて腐る心配はない。

(ビデオはPSC製434艇中295番 Serenity です。)
Flicka20_Japan

2009年1月10日土曜日

オフ・シーズンの冬の日 5 (Video)

暗い所から明るい所へ、また暗い所へと移動させてテストしたが、キャメラの目は人間の目より適応するスピードが速いので驚いた。人目にはキャビン内が画面より余程暗く感じられる。



室内の見苦しい点は目をつむって欲しい。ティークのキャビン・ソール(フロア)は通常このようにカーペットでカバーしている。

(ビデオはPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・ホームページ

2009年1月9日金曜日

ラダーとキール間の隙間のカバー

今日のイチマイは地味な一枚だ。普段あまり目につかない代物。

ロブスター・ポット(イセエビ漁のかご)を仕掛けてある海域に入る艇は海面のブイ(浮き)と海底のポットを結んであるロープを引っ掛け、難儀をするという。日本でも各種海産物の養殖・養魚場近辺で苦い経験をした人も少なくないだろう。

ロブスター漁のメッカ、メイン州のこのフリッカはキール・エンドの底部にヘラ状のフェンダーを付け、ロープがラダーの先端に引っ掛かからないようにしている。


良く見ると分かるかも知れないが、実はこのフェンダー、セイル・バトンの切れ端をファイバーグラス+レジンでキールにくっ付けたもの。効果抜群だそうだ。

それにしても白い船底塗料は珍しい。Micron のボトム・ペイントでもホワイト、グレー・ホワイト、シャーク・ホワイトとかあるから船底塗料にまちがいはないが、白を選ぶ理由は何なのか興味がある。ピントル+ガジョンにも塗ってある。これで電蝕を防ぐつもりだろうか。

(写真はPSC製434艇中366番目 Scout です。)
US Yahoo! フリッカ・グループ

2009年1月8日木曜日

オフ・シーズンの冬の日 3 & 4(Video)

デッキ上のラニング・リギングの様子。撮影日は前、前々回と同じ12月26日(金)。



セイルはクラブ(ブーム)付きの100%ジブ、メインともに今年25年目になるヴィンテージ。疲れているがまだまだ走る。毎年冬になると新調を考える。でももう少しこれで我慢してみるか。



以前にも書いたがクラブ付きのジブにはメインのようにシートが一本しかない。ポートサイドのコックピット・ウィンチに引いている。

(ビデオはPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカ・ホームページ

2009年1月7日水曜日

「ハイドロ・バブル」アンカー

フリッカにファクトリーから付いてくるアンカーは20ポンド(9kg)のCQRアンカー。CQRはバウスプリットに収まった姿は潮っ気があって様になっているが、なかなか海底をバイトしない、走錨する、など性能が劣る。各種テスト結果でもそのとおり報告されている。(例:Yachting Monthly & Sail Magazine Test ) 

そこでテストでいつも好成績を残しているこのHydro Bubbleアンカー(AC300GS型、重さはCQRの約半分の11ポンド、5kg弱)を購入した。

30フィート・約10,000ポンドの船艇用。20フィート・6,000ポンドのフリッカには十分な大きさだ。





前々から買おうと思っていたのだが、実際に購入したのは昨年3月。製作会社が潰れてしまったというニュースを聞き、急ぎストックのある販売店から購入した。自分でテストしたところ、評判どおり食いつきが抜群で、一発でセットできる。ホールディング・パワーも申し分ない。

いつもはコックピット・ラザレット(ロッカー)にしまい、必要な時のみ取り出してバウのプライマリー・アンカーとして使っている。軽いから持ち運び、取り外しは簡単だ。組み立ては写真のように行う。分解は逆の順番で。


見かけが悪い(端的に言うとオモチャに見える)、エアタンクの寿命が実証されていない、など懐疑心の深い人々が多くて実際に買う人の数が会社を支えるほど多数ではなかったのだろう。潰れてしまったのは大変残念だ。


このアンカーのおかげで 『セレニティ』 のCQRは今では家のガレージの置物になっている。スターン用にはチェイン不要でスコープが小さくて済むと宣伝している [ボックス・アンカー] タイプの [三角アンカー] を積んでいる。


ハイドロ・バブルはバブルが付いているため、CQRのようにバウ・プルピットのプラットフォームには搭載できない。が、そもそもそこにはアンカーを置いていない方がプルピットでの足場が確保でき、ジブのテイク・ダウン作業などの立ち回り時に安全性の面から都合が良い。

見かけは良くないが、フリッカにはピッタリのアンカーで満足している。長期クルージングに出かけるチャンスがあれば、純正フォートレスもひとつ用意したい。

(写真はいずれもPSC製434艇中295番目 Serenity です。)
Flicka20_Japan

2009年1月6日火曜日

オフ・シーズンの冬の日 2 (Video)

同じ12月26日(金)、別アングル。のんびりしたウェザーサイドを主体に。



見ての通り、ブーム(ボート・フック)の先のキャメラをどのくらいの角度で被写体に向けたらいいのか、まだ割り出せていない。突き出したレンズがキャメラ本体の真ん中にあるキャノンと違い、対ショック性を売り物にしているこのオリンパスではボディの左上隅にあり、ボディ自体に埋め込まれているような状態。感覚的に慣れるまでもっと練習が必要だ。

(ビデオはPSC製434艇中295番 Serenity です。)
Flicka20_Japan

2009年1月5日月曜日

オフ・シーズンの冬の日 (Video)

12月26日(金)、なんとか8ノットほどの風があったので出航、オリンパス・キャメラのテスト。落としてもぶつけても壊れず、水に浸かっても平気な防水キャメラだが、画質はキャノンのバカチョンに劣る。ブームには7フィートのボート・フックを使った。ボート・フックは伸縮自在なのでデッキ上での取り回しが楽。



今年の冬は雨が少ない。このまま冬が終わると旱魃で夏の水不足も懸念される。

(ビデオはPSC製434艇中295番 Serenity です。)
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2009年1月4日日曜日

パワーボートになったフリッカ

カナダで造られた自作フリッカ。もともとはセイルボートとして使われていたのだろう。

ロング・ショットで分かりにくいが、真ん中の艇(クリックして拡大)。場所はおそらくオンタリオ湖(トロントやナイアガラの滝の近く)。


寒い季節が長いのだろう、モーター・セイラーのようなスーパー・ストラクチャー(デッキ上の造作物)を付けてシーズンを長くして楽しんでいたが、その中マストも倒して、パワーボートとして使うようになったようだ。パイロットハウス的スーパー・ストラクチャーのデザインや設置法は素人離れしている。外見上も機能上もこれ以上のものが望めるだろうか。

サイドデッキの広さとコックピットの造作などからブルース・ビンガムの図面から起こした自作艇であることが分かる。




それにしてもスーパーストラクチャーは限られたスペースで外観をこわさず、使い勝手も良く考えて作ってある。雨雪がガラスから落ちやすいように傾斜をつけたフォア、その角度、その3枚ガラスのバランス、両サイド各2面の窓の大きさ、そしてアフトの観音開きのドアとその下の取り外し式バルクヘッド。私見だが実に良くフィットしている。残されたコックピットも充分実用的だ。

(フォア・デッキ、ならびにルーフ・トップに乗せられたスパーを見ると、もしかして今でもそれらを組み立ててセイリングが可能なのかも知れない。)

(写真は存カナダ、自作のフリッカです。)
フリッカ・ホームページ

2009年1月3日土曜日

浮遊電流対策

マリーナにはセイルボート、バワーボートが多数係留され、殆どの艇が係留中に陸電でバッテリーを充電している。中には海中へ漏電している艇も、無きにしも非ずだろう。海中にこのような浮遊電流があれば、海中にある艇の金属部分の電蝕を心配しなくてはならない。

プロペラ・シャフトにジンクは付いているし、ピントル+ガジョンにもジンクを付けている艇もある。アルミなどメタル製のハルでないかぎり、それだけで十分な気もするが、ステンレスとブロンズといった自艇の異種金属間の電流による腐蝕ではなく、よそからの電流にアタックされた場合を考えて念のためにシュラウドやステイのチェインプレイトなどから海中にジンクを提げているヨットがある。

『セレニティ』 でもそれをまねてどのような効果があるかテストしてみることにした。しかし、船具店で魚の形をしたそれ専用の大きいジンクの塊(グルーパー・ジンク)を売っているが、値が張る。とりあえず安い小さいものでテストすることにして、ポートサイドのステイ(正確にはチェインプレート)から吊り下げた。






ジンクにつけるラインにはスタンディング・リギングを全部新品にした時にとって置いた、古いウィスカー・ステイ(バウスプリットからバウ両舷に各1本づつ付いているステイ)の1本を使用。




ブロンズ製ターンバックルが付いている方が上になる。上端に大きい円形ピンを付け、ジンクはもう一方の端にステンレス製のボルト・ナットで固定した。








3ヶ月後のジンクのようす。ツルツルだったジンクの表面も、近くで見るとすでにアバタ面。月面のように小さな穴があちこちに出来ている。(写真をクリックして拡大すると分かりやすい。)




裏面は特にエッジ(周辺)部分が、ギザギザに電蝕されている。







そこまでの電蝕は早かったが、不思議にそれからスピードが落ちて、その後さらに半年経ってもあまり大きな変化は見られない。この3ヶ月目の写真を撮った時、同じものをもうひとつ作ってバウのフォアステイからも吊るし始めたが、そのフォアステイのジンクも大体同じくらいの期間で同じくらい電蝕されたあと、やはりスピードが落ちた。なぜだろう。

何はともあれ、吊るしていなかった時に比べて気休めにはなっている。

(写真はすべてPSC製434艇中295番目 Serenity です。)
Flicka20_Japan