2011年1月21日金曜日

マスト・ステップのタバーナクル

2年程前にオーバーホールと言って良い位の改修を行ったPSC製#366スカウト。

フリッカのマストはデッキ・ステップ式、つまりデッキの上 (正確には[キャビン・トップ] ) に載っているタイプ。無論直接載っている訳ではなく、デッキとの間に4本のボルト・ナットでキャビン・トップに留めた下敷きのSSプレイトが置いてある。

このSSプレイトは両サイドに側壁、さらに四方にハルヤードやリーフィング・ラインなどを整理して走らせるためのブロック装着用として開けた孔のあるヒレ(オーガナイザー)が付いており、全体の形が教会の中や祭礼の場所に似ているのでタバーナクルと呼ばれる。

前置きが長くなったが、これがスカウトから取り外したタバーナクル。

マストの断面が判を押したようにインプリントされている。また見ての通りマストが完全にタバーナクルに収まりきれず、フォアが前に突き出た状態でステップされていたようだ。







これは若干のウェザー・ヘルムにするためマストをレイクさせる(スターン側に少し傾けた形で起てる)ことを計算に入れてのことだろうか。ちなみにフリッカ設計者指定のマスト・レイクは1.75度だ。

興しろいことにセレニティーではフォアへのはみ出しはないが逆に [アフトへはみ出し] ている(2006年撮影の古い写真だが2枚目の写真をクリック拡大)。そのためかマストが真っ直ぐの状態でスターン側へ少し傾くレイクではなく、まるでフラクショナル・リグのように [緩やかなカーブを描いたレイク] になっている。

ほぼ同年代のフリッカでも艇によって艤装の癖がちがい、それが形になって現れているようだ。

(写真はPSC製434艇中366番目 Scout のものです。)
フリッカのリグ