2011年12月21日水曜日

メリーランド州のエトワール エンジン

この艇は1985年製 (*) だから1GM10と思いきや、1GMのようだ。85年初期のビルドで1GM10の出る直前のモデルだろう。(1GM10は1GMのシリンダーのボアを大きくして排気量と馬力をアップしただけで外観は殆ど見分けが付かない。)

画面右上、オルタネーター(交流発電機)にベルト・カバーが有るのはまず間違いなく1GM。





エンジン下手前、燃料パイプの下を赤っぽいゴム管が横切っているが、これは外付け燃料フィルター(+外付けポンプ)から伸びて、エンジン本体にある燃料ポンプに接続している燃料供給ライン。通常、ポート側の外付けフィルター+ポンプを出てからずっと後方、トランサムの内側まで引っ張り、そのフリーな空間でSTB側へクロス、そこから [前へ走らせエンジンに接続] (リンク先画面:右下から上部中央まで走る黒いゴム管)、またはエンジンの上前方 [ブリッジ・デッキの中辺りを横切って] (リンク先画面:1990年代半ばの432番艇)STB側に渡り、合板壁を降りてエンジンに接続してある。この艇のようにエンジン下を這わせるのはエンジン振動の影響を受け易いこと、また各種リークの汚れの対象となること、から推奨できない。

画面左上、少し埃りを被った太い黒いホース、ミキシング・エルボーの上をアフト方向へ走っているが用途は不明。また通常エンジンのシリンダー・ブロックを冷却した後の水はシリンダーの [フォアからエルボーに直接繋いである] (リンク先画面:左上から中央部分へのグレーの塗装を施したホース)のが、この艇ではエルボーに接続されるまで随分迂回しているようだ。なぜそうなっているのか、上からの写真があれば理由が分かるかも知れない。

話は変わるが、エンジン下の冷却水配管を見てみよう。









取水口のスルーハルから伸びた青いホースがポート側のハル内側をぐるっと廻り、かろうじて画面右下に見えるストレイナー(ろ過器)に接続、ストレイナーを出た後(この画面では見えないが)一度ビルジ方向に降りてから上昇、エンジン手前、白いファイバーグラスのブリッジに開けた孔を通ってエンジン本体の冷却水ポンプに接続している。

ちなみにおよそ1984年製までは孔はファイバーグラスのブリッジではなく、エンジン下の [パンに開けてある] のが普通。(リンク先の同写真で分かるようにストレイナーも艇中央にある。)

冷却水配管のレイアウト変更は使い勝手というよりも、できるだけ器具装着・配管作業をやり易くして生産効率を上げようという観点から行われたのではないかと思うが、どうだろうか。

* 後日註: この艇は1985年製ではなく1983年製であることが判明した。エンジンが1GM なのも納得できる。

(写真はいずれもPSC製434艇中 268番、1983年製の Etoile です。)
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