2015年1月18日日曜日

マイフレンド 初期PSC製フリッカ

2~3週間前CL (craigslist) に出ていたカナダはブリティッシ・コロンビア州ヴィクトリアのフリッカ。艇名は Myphrend と綴る。子供向け小説や映画で知られるフリッカという名の馬の物語 My Friend Flicka をもじったのだろう。

常設アンカー(ムーアリング・ボール)に係留中。

夏のクルーズ先での撮影と思われる。




ファーラーのUVプロテクションと同色の幅の広いホエールストレイクが目を引く。(ホエールストレイクを塗ったフリッカはこれまで [ジプシー・レイディー][ホーカス・ポーカス] の2艇のみ。)ホエールストレイクには遠方からでも自艇を認識しやすい、シアーラインが実際よりも低く見える、等の効果があるが、上の写真でもそれが遺憾なく発揮されている。

しかし本日のハイライトはこの艇のハルとデッキの組み合わせ。








写真をクリックして拡大すると分かりやすいが、ハルは大きくかつ詳細な葡萄のスクロールワークからしてPSC がNor'Star から引き継いだハル・モールドで造ったものであることが分かる。一方、デッキはフォアワード・ハッチがキャビントップにあること等からPSC のエンジニア、ビル・ルーサーの設計によるPSC 独自のデッキ・モールドで造られたものであることに間違いない。

PSC はこの直後ハル・モールドも自前のものを製作して生産に使用しだした。(自前モールドではスクロールワークもフォアのものが大、スターンのものは小、とサイズも2種類になり、デザイン自体も少し簡素化されている。)

つまりこの艇はPSC がNor'Star から引き継いだハルにブルース・ビンガム・デザインをそのまま踏襲したデッキを合わせて造ったPSC 製フリッカ1号艇([ここ][ここ] をクリック)から、ハルもデッキもPSC 自前モールドで造った純PSC 製1号艇([ここ] をクリック)の中間、前者(1977年10月)から後者(78年4月)への過渡期の謂わばハイブリッドのフリッカなのだ。

この様な事情からこの艇には後にスタンダードとなるバウスプリット両側に装着したプラットフォームも、プラットフォームに装着したプルピット・レイルもまだ無い。

(写真はPSC製434艇中、番数不詳、1977年末~78年初頭製の Myphrend です。)
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