2~3週間前CL (craigslist) に出ていたカナダはブリティッシ・コロンビア州ヴィクトリアのフリッカ。艇名は Myphrend と綴る。子供向け小説や映画で知られるフリッカという名の馬の物語 My Friend Flicka をもじったのだろう。
常設アンカー(ムーアリング・ボール)に係留中。
夏のクルーズ先での撮影と思われる。
ファーラーのUVプロテクションと同色の幅の広いホエールストレイクが目を引く。(ホエールストレイクを塗ったフリッカはこれまで [ジプシー・レイディー] と [ホーカス・ポーカス] の2艇のみ。)ホエールストレイクには遠方からでも自艇を認識しやすい、シアーラインが実際よりも低く見える、等の効果があるが、上の写真でもそれが遺憾なく発揮されている。
しかし本日のハイライトはこの艇のハルとデッキの組み合わせ。
写真をクリックして拡大すると分かりやすいが、ハルは大きくかつ詳細な葡萄のスクロールワークからしてPSC がNor'Star から引き継いだハル・モールドで造ったものであることが分かる。一方、デッキはフォアワード・ハッチがキャビントップにあること等からPSC のエンジニア、ビル・ルーサーの設計によるPSC 独自のデッキ・モールドで造られたものであることに間違いない。
PSC はこの直後ハル・モールドも自前のものを製作して生産に使用しだした。(自前モールドではスクロールワークもフォアのものが大、スターンのものは小、とサイズも2種類になり、デザイン自体も少し簡素化されている。)
つまりこの艇はPSC がNor'Star から引き継いだハルにブルース・ビンガム・デザインをそのまま踏襲したデッキを合わせて造ったPSC 製フリッカ1号艇([ここ] と [ここ] をクリック)から、ハルもデッキもPSC 自前モールドで造った純PSC 製1号艇([ここ] をクリック)の中間、前者(1977年10月)から後者(78年4月)への過渡期の謂わばハイブリッドのフリッカなのだ。
この様な事情からこの艇には後にスタンダードとなるバウスプリット両側に装着したプラットフォームも、プラットフォームに装着したプルピット・レイルもまだ無い。
(写真はPSC製434艇中、番数不詳、1977年末~78年初頭製の Myphrend です。)
⇒ フリッカ・パッセージのページ フリッカ各艇の長距離航行記録を載せるページ (全6ページ、各ページ一番下の Next>> をクリック)。