動かなくなったボルトメーターは新しい代替品注文時の寸法その他のレファレンスとして家に持ち帰った。代替品注文後この故障品を見ていると故障の原因は何だろうかと、どうしても蓋を開けて中を見たくなる。
そこで表面の箱蓋を外す。上下の長辺の部分を接着剤で4箇所簡単に留めてあるだけなので固化した接着剤をナイフでカットして隙間にドライバーの先を入れると簡単に外れる。
この写真の撮影後陰極にもケーブルを繋いでバッテリーのスイッチをオンにしてみたが針はやはり止まったまま。
テスターは艇に置き忘れ。バッテリー・ケーブルを外してメーターを手に取り、さあてどうしようかな、と針を横からポンと指の爪ではじくと針は勢い良く振れて元に戻る。ふーむ。一呼吸置いてまた何の当てもなくポンとはじいた時に、ふともう一度通電してみようかと思った。
驚いたことに今度はご覧のとおり。
注:バッテリーは充電済みで針が12Vに至っていないのは針のキャリブレーション(目盛り合わせ設定)がズレているため。筆者は蓋を開ける前に蓋の裏(画面右上)に付いているキャリブレーション調整用の小さなテコの角度を設定する [メーター表面の黒いネジ] をそれとは知らずドライバーで回してしまった。
小さなテコ先端のフック部分が針の基部近くに見える真鍮色の人形に似たボディの下、2本の開脚に見える部分の又の間に収まる様だ。
試しに脚を軽くドライバーの先で押して人形を反対側に傾けた後、再びバッテリーのスイッチをオンにするとこの通り。
今回の不具合の原因は電気的なものであれ、機械的なものであれ、キャリブレーション・コントロール・メカニズムを含むこの心臓部の何処かに隠れているのだろう。
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これがキャリブレーションに使う蓋の裏についた調整用テコ。
表のネジを回すとテコの両脚がそれを捉え、下端の突起物経由で本体コントール部の人形が動く。非常に華奢な造作。(メーター製造出荷時しか使わないメカなのだろう。)
その後少し触っていたら、テコも黒いネジも簡単に蓋から外れ落ちてしまった。
しかし今回の不具合の直接原因がこのテコ自体である事は疑わしい。不具合でメーターの針が動かなくなるまで黒ネジには全く触らなかったからだ。
白い表示パネルを外したところ。
見た限り上部の回路にあるダイオードに異常は無い。
何かの拍子で動かなくなったが、針を指の爪で軽くはじいた後はまた動いているという事は何かが引っ掛かって針の動きを阻止していたのかも知れない。
先ずテスターを使って家の12Vポータブル・バッテリーの正確な電圧を測定し、次にそのバッテリーにメーターを接続した時にメーターが同じ電圧を示す様にメーターのキャリブレーションを調整し直した上で、この開脚部が動かない様に何がしかの方法で固定(蓋にあるテコは外したままにして使わない)、蓋も接着し直してメーターを再び配電盤に戻して使い続けられない事もない様な気がする。
しかし不具合の明確な原因が不明なためまたすぐ動かなくなる可能性もある。少し迷ったが当座の好奇心は満たしたので今回の探索はこれでおしまいにして、新メーターの届くのを待つ事にする。
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ところでメーター裏側に貼られたこのラベル。
極性表示(-、+)に注目。
ラベルを剥がすと不思議にラベルと反対の表示が現われる。
本体にある表示に従ってバッテリーを繋ぐと無論メーターは動かない。製造下請けに出す時のスペックに間違いがあったのだろうか。
(写真はPSC製434艇中295番 Serenity 関連の品物です。)
⇒ フリッカ・ニューズレターのページ (休刊中。アーカイヴ参照。)