この艇のマストには常設マスト・ステップが付いているので [スカウト] の様にボースンズ・チェアーをハルヤードで吊る必要もなく、一人でも登れる。
無論体にハーネスを付けテザーをマストに回し、安全を確保している。
この艇は船外機仕様でスターンに見えるのはYamaha 8。
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室内写真はこれ一点のみだが、この艇だけのユニークな仕込みが見られる。
まずギャリー・カウンタートップのフォア側エンド周辺。造りが複雑だ。Vバース・エンドにあるバルクヘッドとカウンタートップとの間にスペースがあり、そこにコンプレッション・ポストが仕込まれている。後のフリッカよりポストの位置がアウトボード側に見えなくもないが、もしかしたら逆にカウンターの幅が広いのも知れない。残念ながらこの写真だけでは分からない。
またマスト・アーチ下には積層材のコンプレッション・ビームが仕込まれている。コンプレッション・ビームもコンプレッション・ポストも1978~83年前半のPSC製フリッカには付いていない。PSCは極く初期にこの様な造りを模索していたのだろうか。それともこの艇は室内をオーナーまたはオーナーの依頼を受けた大工が仕上げるオーナー・コンプリーション・ボート(キット・ボート)だったのだろうか。
Vバース・フォアエンド部分や両舷の棚の造作から見て後者だった可能性が大きい様に思う。
(写真はPSC製434艇中、番数不詳、1977年末~78年初頭製の Myphrend です。)
⇒ フリッカ・ホームページの歴代カバー写真