[昨日1枚目] の写真で、コンパニオンウェイに伸びている黒いホースは何だろうと思った人が多かったと思う。梯子の後ろを走らせてバルクヘッドと手摺りの間に仮留めしてあるホース。
使わない時はこのようにコイルして、コンパニオンウェイ下、コックピット排水口横に仕舞ってある。
コンパニオンウェイ下のスペース全体写真。
白いエルボーの付いたスルーハル二つはコックピットから艇外への排水口。
画面左上のスルーハルはエンジン冷却水の取水口。この艇は海水域または汽水域でエンジンを使うことが多いのででここから入った冷却水には殆どいつも塩分が含まれている。その結果エンジンを止めた後冷却回路に塩がビルドアップすることが考えられる。
そこで登場するのが件の黒いホース。係留地に着いてからエンジン停止前の5分間、アイドル状態でエンジンを冷却する際、水道水などの清水をバケツにとって冷却水として使用するためのホースなのだ。
別アングル。左上はスルーハルの冷却水取水口。そこからホースがビルジに降りてストレイナー(ろ過器)を通って上方にあるエンジンへ上って行く。
この写真では見えないが、ストレイナーの下のホースにY字型バルブが付けてあり、スルーハルからの海水・汽水、バケツからの清水、どちらを使用するか切り替えができるようになっているのだ。
余談だが、この艇では冷却水ストレイナーの位置と種類がファクトリー・スタンダードとは違う。ファクトリー・スタンダードでは配管の仕方は前期と後期( [例A 1984年製]、[例B 1990年製] )で少し異なるものの、ストレイナーの位置はいずれもコックピットからの排水口二つの間である。T.C.ではYバルブをどうしてもストレイナーの前に持って来たかったらしい。
無論、ファクトリー・スタンダードのストレイナーの後(ストレイナーとエンジンの間)にYバルブを設置し、冷却水回路の清水洗浄ができるようにしてある艇もある(例:#261 [Dream Catcher] )。清水は大抵水道水を利用するのでストレイナーを通す必要は無く、エンジン内の塩のビルドアップを防ぐにはそれで充分だ。
T.C.ではストレイナーも含めて清水洗浄したかったらしいがそこまで神経質になる必要はない。実際的には無用の配慮だ。ストレイナーは定期的に容器のトップを外してストレイナー本体を取り出し、ゴミその他を除去しなければならない。清水洗浄はその時すれば良い。
(写真はいずれもPSC製434艇中336番 Tuesday's Child です。)
⇒ フリッカの歴史