2010年2月12日金曜日

燃料タンクのヴェント改善策


シアトルをベースにパシフィック・ノースウェストをクルーズするフリッカ、トゥーカン。

冬でも可能な限り足を伸ばしているようだ。これはハイキングのためシアトルの西南約50マイル、ハースティーン・アイランドに係留中の同艇。










燃料タンクのヴェントは燃料をエンジンに効率良く回すため、タンク内の圧力を大気圧と同じにするための通気口だが、フリッカでは開口部がバウにある葡萄の蔦のスクロールワークの上にある。トゥーカンはそのヴェントに工夫を凝らした。












そもそもヴェント開口部がバウにあると、荒天時、艇の動き、波の動きで、そこから海水がタンクに入りやすく、そのためにエンジンが停止することがある。軽油に混じった水がある程度の量に達すると、水を燃料から分離する燃料フィルター2本(エンジンまでの燃料経路にひとつ、エンジンにひとつ)を以ってしても分離しきれないのだ。

オーナーたちはそれぞれ対策を施し、ヴェントそのものをプルピット・レイル、スタンションなど、高い位置に移動したりしている。中には海が荒れると消しゴムを開口部に詰めるオーナーもいるようだ(それでもエンジンは1時間くらい問題なく稼動するという)。

トゥーカンでは見ての通りホースのジョイント用金具の一端にエポキシを付け、開口部の穴に差し込んで装着してある。これだけでもスプレイ避けの効果はありそうだが、荒天時にはチューブ(ゴム管)を付け、スタンションの上部まで伸ばし、首を下に向けるそうだ。

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オーナーの中には開口部に金属管を付け、荒天時にはそれに長さ30cmほどのゴム管を装着し、そのまま下に垂らす人もいる。細いゴム管ならバウがピッチングで揺れて海水に浸かるようなことがあった場合、海水の力で簡単に折れ曲がり、水を通さないそうだ。

自宅にあったゴム(レイテックス)管を手で押して試してみると成る程簡単に折れ曲がる。セレニティーでは開口部に長さ約4cmの銅管を差込み、必要時に約30cmのゴム管を付けるか、あらかじめゴム管を付けてある銅管を差し込むようにしてみようと思う。

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(写真はいずれもPSC製434艇中340番目 Toucan です。)⇒Toucanホームページ ”Blog” をクリックするとアップデートが見られます。