昨日見たフリッカと同じミシガンの自作艇だが、ハルとデッキの結合部にはブルワークスがなく、代わりにトウ・レールが装着されている。
しかし何よりハウスの前面がなだらかに前へ延びて、フォアワード・ハッチがそこに仕込まれているのが目につく。
これはVバースの頭上スペースを確保するためだろう。通常のフリッカではコンパニオンウェイを降りてキャビンに入ればスターボード側にセッティー、その先にVバースと続き、開放観があるが、この艇ではNAVステーション、個室ヘッド、ハンギング・ロッカー、とそれぞれバルクヘッドで仕切られ、その先にVバースがある。頭上にスペースを確保してVバースの居住性を得るためにこの改造が必要だったのだろう。
ハルはストリップ・プランキングで、表裏両面にファイバーグラスを張ったもののようだ。目を引くのがハルの先端、ステムだ。PSC製フリッカに比べてステムが鋭利に尖っているように見える。
また意図的にカーブル・プランキング・ラインを施し板張りを擬したPSC製ハルと違ってのっぺらぼうだ。
こういうハル細部の変更やハウス前面の傾斜により、フリッカの 『木造艇』 を思わせるイメージがいくらか薄らいだかも知れない。が、バウスプリット下に付けたニー (knee) はいかにも木造艇だ。
船腹のラブ・ストレイクにはステンレス製レールが付けてある。ハル全体を真横から見た写真がなく、艇のシアー・ラインとハウスやコーミングなどスーパーストラクチャーのラインを確認できないのが残念だが、どうも1960年代に流行したレイズド・デッキのセイルボートたちのように、コックピット部分がグッと落ち込むブレイク・シアーになっているように見える。
スターンは一見変わりないが、ハルの後端上部がさらに一段低くなっているのが分かる。ぜひとも一度全体のシアーを確認してみたいものだ。
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=> 後日註: 約1年半後、やっと [シアー全体を見られる写真] が出た。当ページ上から3枚目の写真はポート・サイド(左舷側)の写真かと思っていたが、さにあらず。スターボード・サイド(右舷側)の写真だった。つまりシアーラインの高い方がコックピットだった。
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(写真はいずれもミシガンで建造中の自作フリッカです。)
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