中古艇の販売サイト 『ヨットワールド』 のページで Flicka と入力し検索するといつもフリッカが12、3艇は出てくる。その中でこの1981年製があった。
ギャーフ・リグでシュラウドは各舷2本づつ。PSCはギャーフ・リグの注文も受けていたし、この写真では別段特別変わったところはない。
しかしバウスプリットの装着法がユニーク。デッキへもスルー・ボルトで留めてあるのだろうが、ステム両側とバウスプリットをチェインプレイトで留め込んであるのが目を引く。
ボブステイにはワイヤー・ロープではなくチェインを使用。バウスプリットにはプルピットがなく、ブルワークスに沿ってスタンチョンとライフラインも付いていない。
これらの点からこの艇はオーナーが自分の好みに合わせて造った自作艇、またはベア・ハルとベア・デッキだけPSCから購入した、いわゆる 『キット・ボート』(正式には 『オーナー・コンプリーション・ボート』)だろうと想像できる。
ハルを良く観るとフリッカのシンボルである葡萄の蔦のスクロールワークがない。不可解だ。PSC製のハルならスクロールワークが付いているはずだ。サイトの情報によるとハルはファイバーグラス製だが、ひょっとしてコールド・モールドの自作ハルか。いやいや、ハルにはカーヴル・ブランキングの擬似ラインもついている。自作ではここまでできないだろう。
キャビン・トップ前方に造り込んだフォアワード・ハッチの孔も自作にしてはうまく出来すぎている。やはりキット・ボートだろう。ハンド・レール装着法や、低いブルワークス上の木製レールの形状は素人っぽい。
PSCによるベア・ハルとデッキだけのキット・ボート販売は1983年頃までにはなくなったようだから、この艇は最後のPSC製キット・ボートのひとつかも知れない。
(写真はいずれもPSC製434艇中、番数艇名未確認1981年製フリッカです。)
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