ブリスターはハルが乾いてしまったらしぼんでしまうものが多く、特に大きいものを除いて視認は難しい。そこでボートヤードのマネージャーのやり方は乾いた船底をウェット・サンディングしてしまう。そのあと手でさわりながら目で確認してチョークでひとつひとつマークして行く。
ウェット・サンディングの後。白く見えるのがチョークでマークしたところ。
確認できたブリスターの数は左舷側92、右舷側63、計155個。
サイズ別に見ると、直径1インチ前後の大きいものが左舷27、右舷13、計40個。小さいブリスターは左舷65、右舷50、計115個。
2006年は両舷で計154個のブリスターを修理した。各ブリスターを円くグラインドしてアセトンで清掃した後、円形に切ったファイバーグラスをだんだんサイズを大きくしながらレジンで積層し、最後にバリアーコートを塗装した。積層でオリジナルのハルの強度を保つためだ。決して単にコンパウンドを詰め込んで見た目だけフェアにしてごまかすことはしなかった。今回の修理もちゃんと積層でやりたい。
ただ、今回は小指の爪ほどの大きさしかないブリスターが多い。グラインドしてもせいぜい親指の爪のサイズにしかならない。
深さもグラス1層分かそれ以下になる。そこで、取り合えず計40個の大きいサイズのブリスターだけ2006年と同じ手法で修理することにした。
残りのサイズの小さいブリスター115個は、後で再検討し、その中から大きめのものをさらに計40個ほど選び、ウェスト・システムのマイクロファイバー入りフィラーで修理することにする。
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最後に残る一番小さいサイズのブリスター70~80個は今回何もしない。次回の上架時まで逆に大きく育つのを待つ。今回ウェスト・システムのフィラーで処理するものも含め、ブリスターが十分大きくなったらファイバーグラス積層方法で直す。これからも2~3年に一度の上架時には必ずブリスターの修理が待っている。ブリスターとは長く付き合っていく。長年の中に数もだんだん少なくなっていくだろう。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
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