シアトルのトゥーカン。冷却水取水ポンプの下にある2本のオイル・パイプが錆びて孔が開き、エンジンをかけている間にエンジン・オイルが全て流出した。
これはヤンマー1GM、1GM10 の弱点としてよく知られている。
冷却水取水ポンプにあるウィープ・ホール(涙線)から出た海水が下のパイプにかかって乾燥すると塩が残る。それを長期間無視するとパイプに孔が開き、リークする。
セレニティーの1GM10 のウィ-プ・ホール。鏡を使って下から見たところ。
上の青っぽい部分の中央にある黒い箇所がウィ-プ・ホール。ポンプから漏れた海水をこの孔から外に出し、エンジン内部に滞留するのを防いでいる。
問題はエンジンからオイル・フィルター、フィルターからエンジンへとオイルを循環させるための2本のオイル・パイプがウィープ・ホールの下に位置していること。
オーナーたちにはビニールや布などをパイプに巻きつけて保護している人が多い。セレニティーでは以前はガムテープでカーテンを作ってウィープ・ホールとパイプの間に下げていた。
しかしそれだとパイプが隠れて、パイプ自体の状況を視認できなくなるので、今は透明なシリコン・コンパウンドを厚めに塗っている。
これで塩が直接パイプのペイントにかかることはない。出航・帰港時は必ずチェックし、塩を除去、シリコン・コンパウンドが薄くなってきたら、全部拭きとって、新しく塗り替える、ということの繰り返し。
シリコン・コンパウンドを塗った上でパイプに透明なチューブを被せるとか、もっとメンテが楽になる方法も検討中。
尚、海水で冷却するヤンマーは稼動時の温度は通常55℃、62℃になると警告音がなるように設定してあるという。55℃以上になると海水から塩が固体として抽出されるようになり冷却回路を急激に塞ぎ始めるそうだ。
(写真上はPSC製434艇中340番目 Toucan、下2枚は295番目 Serenity です。)⇒Toucanホームページ