さてセレニティーのプライマリーのアンカー・ロード(rode)はチェイン45フィート、ライン170フィート、計215フィートだが、今回はチェインだけのアンカリング。
錨泊は通常スコープ(水深対ロードの長さ)が1:7、少なくとも1:5はなくてはならない。水深15フィートの場所なので、チェイン45フィート(その中5フィートは海上)では、ランチ・フックではあるまいし、1:3以下という推奨できないスコープとなる。
しかし、今回はクリッパー・コウヴというSF湾ではどんな気象海象でもこれ以上の場所は望めない静かで安全な泊地であること、万が一走錨したとしても回りの海底が風下U字型に高さ約6~8フィート、傾斜45度前後の海中崖で囲まれている場所でありどちらに走っても再度のバイトは確実であること、ボトム(海底)もアンカーも以前テスト済みの場所であること、以上からショック・アブゾーバーのブライドルを付ければ大丈夫という確信があった。
両舷から出したブライドル。
写真上部、チェインとライン(ロープ)の接合部が見える。
ライン端のシンブル(輪状保護金具)が大きいため、チェイン・ストッパーの中を通らない。このためチェイン部分だけのアンカリングにした次第。無論一度シンブルに付けたアンカー・シャックルのネジ棒を外してチェインをラインから外し、ラインをチェイン・ストッパーの上か横に配置して再びチェインとラインを繋げば、ラインも使えないことはないが、今回は敢てそれをしなかった。(チェイン・ストッパー装着前のアンカリングの様子は [こちら、一番下の写真参照] 。)
ブライドルがアンカーからの全荷重を受け継いでいる。
海上のチェインは真っ直ぐぶら下がっているだけ。アンカーからのロード(load=荷重)はゼロなので例えば手で軽く横に振ることができる。艇は風や波に因って左右にスターンを振って方向を変える。
これはスターンが右に振れ、バウが左を向き、荷重は殆ど左舷側のブライドル・ラインにかかっている状態。
夜12時以降は風も止み静かになったが、それまでは周期的に15+ノットの突風も吹いていた。しかし艇はブライドルでショックを吸収、左右に振れるだけで当初のアンカリング位置から少しも揺るがず。5分、15分、30分、1時間と、位置とセットアップを確認し、無事を確認してその後は夕食、歓談、就寝。朝までぐっすりと休むことができた。(それにしてもバブル・アンカーの食い込み、効きはいつでも抜群だ。)
一等上の写真では見づらいかも知れないチェインとラインの接合部分。
尚、揚錨時はチェイン・ストッパーの手前でチェインを引くと苦労する。バウ・ローラーとチェイン・ストッパーの間でチェインに手をかけて引っ張ると楽。
チェイン・ストッパーでチェインをストップさせると途中で手を離すこともできるので年寄りには向いているかも知れないが、若い人には無用。ウィンドラスやクリートなどデッキ上のハードウェアを守る役割も果たすというが、その役は揚錨時はいざ知らず、係留時にはブライドルやオンデッキ・スナッバーが果たしてくれる。
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さてセレニティーでは(まだ小生本人は若いつもり)、使い勝手上、しばらくストッパーを外して以前のようにチェイン+ラインのロードを使い続けるか、新しいチェインを約220フィート購入して、全チェインのロードにするか、道は二つにひとつ。揚錨時チェインをストップして洗浄することを考えると長いチェインだけにしたいところ。しかし、予算のこともあり、暫く考えることにする。
尚、洗浄装置 ([Ref: 1], [Ref: 2] ) は機能的には問題なし。使い勝手の点から改善点ふたつ。(1)ホース各端の接合部が緩まないようにホースを上からクランプで締める。(2)ポンプのオン・オフをシガレット・ライター口に差し込む・抜くではなく、差し込んだままオン・オフできるように回路にスイッチを付けようと思う。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
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