アンカーの種類も色々あり、先日も [アンカーの比較テスト結果] を持ち出した。しかし今ひとつ、そのテストには入っていなかったが、スライド・アンカーという会社が製造している [ボックス・アンカー] という興味深いアンカーがある。
先ずは [このビデオ] を観て欲しい。構造や使用法が分かると思う。
名前の通り四角で上面と下面に歯が4枚づつ。ホールドダウンのためのチェインは不要 * でラインのみでOK。スコープは何と水深1に対しロード2の割合(アメリカではロード長を先に言うので2:1という言い方をする)でも良いそうだ。砂、泥、海草、小石などボトム(海底)の種類は問わないという(無論、岩盤や野球ボール程の大きい小石の堆積ボトムは無理だろう)。
使用法も簡単でセットの仕方は文字通り投錨するだけ。揚錨は他のアンカー同様、艇をアンカーの上に持って来るとボトムからスポンと抜ける。錨泊中、潮、風その他の変化でアンカーがフリップした場合、反対面の歯が利いて停まる。艇上に仕舞う時はロックを外して棒状に平たく畳める。
スターン・アンカー(またはセカンダリー・アンカー)として便利かも知れない。大きさは4種類あり、フリッカの場合最低でも2番目に小さいSサイズ(19ポンド)、できれば一段上のLサイズ(22ポンド)が欲しいところ。Lサイズならプライマリー(主)アンカーとしても使えそうだ。
* しかしチェインが無いとラインが直接海底の異物に擦れてカットされる恐れがあるので要注意。
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実はセレニティーにはこのボックス・アンカーに似た、言わば三角形のボックス・アンカーがセカンダリー・アンカーとして乗せてある。
3フィートのチェインと約22フィートのライン付き。重量は約10ポンド。超小型だ。(20ポンド、せめて15ポンドは欲しい)。
ニューポートには [ミニーズ] という南カリフォルニアのボーツメン(セイル、パワーを問わず)なら知らない人は居ない有名な中古の船具屋さんがある。12ドルという値段がマジックで書いてあるので恐らく初代オーナーがそこで購入したのだろう。(ここには古物から未使用の新品まで多種多様実に色々な品物がある。ミニーズの [ブログ] の写真参照。)
このアンカー、本物のボックス・アンカーのように箱を平たくすることはできないが、画面右の三角形先端部を左側に畳んで保管する。これは先端部を伸ばしたところ。
ボックス・アンカーと違い、片面にしかフルーク(歯)がない。しかも歯は見ての通り3枚のみ。
しかしフリップしても食い込めるように後ろの2枚中の1枚は面の表裏が反対になっている。
フリップのデモンストレーション。
これがアンカーが利いている状態と思って欲しい。(撮影の便宜上、アンカーの向きを上の写真2枚と反対にさせてもらった。)
艇をアンカーの上に持って来るとこの様にボトムからポンと立ち上がるので揚錨は簡単。
錨泊中に潮の向きが変わったりしてアンカーがフリップすると、先ずこのように先端部のフルークがカチャンと反対側を向く。
(アンカー下のチェインとラインは無視、アンカーに注目。)
続いて底部の2枚もガチンと向きを変える。
180度向きが変わってもボトムに食い込む、というアイデアだ。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity のものです。)
⇒ フリッカ・ホームページのフリッカ・データベース