昨日、今回購入したSS製ミキシング・エルボーには外管に冷却水がインジェクトされる辺りの内管に膨らみ(窪み)が無いことを書いた。冷却水がインジェクトされる辺りについてはもう一つ書いておかねばならない。
水管を繋ぐ小径のパイプを真上から見たところ。
外管自体にも水流を出口側に向ける工夫が無い事が分かる。
手元に良い写真がないが、例えば先日エルボーを換装した時の [この写真] を見るとヤンマー純正品の取水管底部は水がエンジン側ではなくエルボーの排出口に向かって流れる様に斜めにしてある。
SS製にその造作は無い。
(話はズレるが孔の真下の内管表面に一部SSの欠落した様な瑕疵が見られる。)
別アングル。
別アングル。
さらに別アングル。
360度どこを向いても取水管の下に見えるのは内管のみ。
水流を出口側に向ける造作無し。
昨日書いた内管の膨らみ(窪み)が無い事と相俟ってこれが性能や耐久性にどういう影響があるのか今のところ不詳。
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昨日も触れたがエルボー内管に孔が開くと、内管(排気管)内に水が入り、そこからシリンダー・ヘッドの排気口を通ってシリンダーの排気弁に至る。弁の上に溜まった水はそこからシリンダー内に落ちる。
ところが [エルボーを3本ほど切り開いて分析] した人の報告によると、内管(排気管)に少し孔が開いた状態ではまだ運転中に水がシリンダーへと向かうことはないらしい。
問題はエンジンが止まっている時に起こるそうだ。特に冬場のオフ・シーズンなど艇を陸揚げ等して保管している期間が長い場合。これはエンジン停止後エルボー内に残っている海水が内管を腐蝕し、そこから排気口を通ってシリンダーへ入って行くかららしい。このため長期間乗らない時は海水をエンジン内に残さない様にするため最後にしばらく冷却水に清水を使って運転し、その直後清水の代わりに不凍液を入れてエンジンを止める。そうするとエンジン内ならびにエルボーなどに残っている僅かな清水と不凍液が混ざって錆止めの役目を果たしてくれると言う。
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また上記リンク先写真4 にも出ているが溶接部の腐蝕が進み内管(排気管)が離脱してしまう例も少なくないと見える(昨日の2GM20 のビデオもその一例)。それは溶接母材や溶加材のステインレスの質が悪くかなりの鉄粒子を含んでいるからだろうと言う。この溶接部に腐蝕で孔が開き水が漏れる様になると頻繁にエンジンを運転する夏のシーズン中でもエルボーからシリンダー内へ水が浸入して行くに違いない。
(純正品のエルボーの素材は軟鋼と思っていたが、上記レポートの報告者は純正品も内管や外管、さらにフランジまでSSだと思っている様だ。実際はどうなのだろう。)
何はともあれ、エルボーも定期点検・清掃を欠かさないことが一番。セレニティーではこれからも2年または200時間(どちらか早い方)を目安にそのメンテを続けて行きたい。また将来このSS製に換装した時は余程注意して1年に1回は検査してみたいと考えている。
(写真はPSC製434艇中295番 Serenity 関連の品物です。)
⇒ フリッカ・ブローシュア