この艇はステム上部両脇に位置する昆虫の目玉の様な航海灯から1978~80年頃のPSC製であることが分かる。
両舷共シュラウド間に [ビレイング・ピン] が仕込んである。メイン・ハッチの上にはティークを張り、バウ・サイドの船籍番号表示も木板で古き良き時代の雰囲気がある。
趣に合わせてリグは稀有な本格的カター・リグ(ヘッスル2枚)。しかもフォアワード、イナー、両ジブ共ハンク式。
ファーラーが主流の今日、この様なハンク式セイルのカバーを見ることも少なくなって来た。2連で見られるチャンスは殊に少ない。(ちなみにファクトリー出荷時のセレニティーはカター・リグでフォアワード・ジブはこの写真の様なカバーを掛け、イナー・ジブ=ステイスルはクラブ=ブーム付きでブームの上に畳んでカバーを掛けていたそうだ。)
カター・リグはメインスル(フル、シングル・リーフ、ダブル・リーフ)と2枚のジブの組み合わせの数が多く、昔は特に外洋艇で人気があった。メインとヘッスル2枚で走る姿も美しい。しかしフリッカの様な短艇ではヘッスル2枚の実用性は如何程だろう。3~30ノットの範囲でこの艇を試してみたいものだ。
(写真はPSC製434艇中、番数・艇名共不詳のフリッカです。)
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