ギャーフ・リグのフリッカは意外と少なくない。クラシックな姿が好まれるのだろう。ギャーフ・リグはマストが低く、ブームは長く、セイル面積は広い。
しかし長いブームがトランサムよりも後方に突き出ているので、マルコーニ・リグに見られる [固定式のバックステイ] はいずれも使えない。
代わりにメインスルの邪魔にならないようにステイをタイトにしたりレイジーにしたりできるラニング・バックステイを使う。
(アメリカではアメフト流に洒落てラニング・バックと呼ぶセイラーも多い。)
マストトップに装着したラニング・バックステイ上部はワイヤー・ステイ。
下部はラインで、メイン・シートのセットアップ同様、フィドル・ブロック2個(1個はキャム付き)で締め込みを調整できるようになっているのが普通(⇒ [図解例] )。
この艇 『ベン・メイン・ジュニア』 ではワイヤー・ステイのアイに短いペンダントを付けてバンジー・コードを装着し、フォアへ引っ張っている。
両舷とも同じセットアップ。
ギャーフ・リグ・フリッカではラニング・ステイ下端を何処にでもセットしやすいように、キャップ・レイルはティークではなく定間隔に孔の開いたアルミ製を装着しているようだ。
ラインは通常帆走時以外は緩めてレイジーな状態。
帆走中は当然ウェザー・サイド(風上側)のステイを締め込む。
同上。
[このページ1枚目の写真] で下りのリー・サイドの緩め具合が分かる。真下りの場合はギャーフとブームの付いたメインがフリーに動けるようにバックステイを存分にレイジーにする必要がある。ラインをレッ・ゴー(解放)しても前方のバンジー・コードのおかげで上部のワイヤー・ステイが暴れることはない。
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[こちら] は別のギャーフ・リグ・フリッカ。 ビーム・リーチでリー・サイドのステイも締め込んだまま。カター・リグだが、イナー・ジブ(ステイスル)用のラニング・バックステイは装着していないようだ。
(写真はいずれもPSC製434艇中315番目 Ben Main, Jr. です。)
⇒ フリッカのリグ