シー・フッドはメイン・ハッチ(スライディング・ハッチ)をスライドして開けた時にハッチが収まる場所のカバーだ。大きい波のしぶきがデッキを舐めるような海でメイン・ハッチとキャビン・トップの間から海水が入るのを防止するのが目的だが、1983年にPSCがデッキ・モールドを新型に更新するまではシー・フッドは付いていなかった。
セレニティーではシー・フッドの足回りをコーキング(シール)している。4年前の雨のシーズンに施したコーキングはまだ充分用を成していたが、黄ばんで見栄えが悪くなっていたこともあり、劣化して水漏りし始める前にと思い、先週末新しくやり直した。
これは左舷側。白っぽく見えるのが新しいコーキング。
古いものを剥がして素地をきれいに掃除し、新しいコーキングを埋め込むという作業に全体で約3時間。その時間の殆どは古いものの除去と素地のクリーニングに費やした。ペイントやこの種の塗布物の作業は、実際の塗布作業の前に素地をいかにきれいにしているかが成否の鍵になる。
左舷側前方。
階段のステップのように一段高く斜め上に上る箇所が急所のようだ。
右舷側前方。
同じく階段のステップのように一段高く斜め上に上る箇所が急所。
ここを完全に塞がないと他をいくらやってもリークする可能性は大きい。
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そもそもシー・フッド足回りをコーキングしたのは4年前、雨のシーズンに入り、ある日突然リークし始めたからだ。
これがリークの痕跡。右舷側、マスト・アーチの下から漏れていた。
気付いたのは雨の日の翌朝、艇に来た時。漏れた雨水は約50cc。キャビン側壁を伝って下のセッティーに落ち、クッションの下に溜まっていた。(クッション・カバーはビニール製。)
流れた量はわずか50ccとは言え、ティークの壁に残った痕は消えない。ティーク・オイルなどでいくらカバーアップしようとしても、どうしても周りより明るく浮き出てしまう。
リークしたマスト・アーチのスターン側はちょうどシー・フッドの前側あたりになる。
シー・フッド周辺部と同時にデッキ・オーガナイザーの足回りもコーキングした。それ以来4年間、一回もリークはない。
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リークの原因を特定したいところだが、これらのコーキングで処置できているため、今回もまたイージーにコーキングのやり直しだけで終わってしまった。
次回こそシー・フッドを留めている一連のネジを外し、シー・フッド自体を取り外してその下を細かく検査してみたい。今回古いコーキングを除去した時、その先にかなり劣化しているシー・フッドのガスケットらしき物を視認できた。そのガスケットを交換すればコーキングは不要になるかも知れない。デッキ・オーガナイザーも一度外して、装着し直すべきだ。
その時はまずマスト・アーチ部分の天井ライニングのジッパーを開け、内部のインシュレーション用クッションを取り出し、天井にベイビー・パウダー(天花粉)を撒いてから、水道の水をホースでキャビン・トップに流し、リーク箇所を特定したい。パウダーの散布なしでは、いくら目をさらにしても、手で注意深く触っても、いったいどこから漏れて来たのかの判断は極めて難しい。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
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