ヘッド(トイレ)の話。
USヤフー・フリッカ・グループのメンバーで自分のフリッカのヘッドをレイヴァックに換装した人が二人いる。
この写真はニュー・イングランドの [スカウト] 。レイヴァック(Lavac)はクルーザーの間で水洗力が強く、なかなか壊れないという定評があるそうだ。
ちなみに一回流すのに約1.5ℓの水を使うというから、ことさら節水(汚水タンクの容量が限られている場合には重要)にはならないようだ。
ポンプは手動式、電動式、いずれも装着可能。
この艇ではヘッドのすぐ後ろのバルクヘッドに手動式ポンプが装着してある。手前に突き出ているのはそのハンドル。
尚、手動にしろ電動にしろ、レイヴァックのポンプは配管により、ビルジ・ポンプ、またヘッド・ルームにシャワーを設置した場合のサンプ(排水)ポンプとしても共用できるそうだ。
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さて、この写真で興しろいのはこの改造汚水タンク。ファクトリー製タンクは左下に見える木の蓋のある部分から下のハルをそのまま利用したビルト・イン式。
この艇ではファクトリー・タンクのカバーを取り外し、ハル内部を清浄、その一部を見ての通り収納にしてしまった。無論、木の蓋は新装。
管はポンプから喫水線上に上った後、容量3ガロンのポリ・タンクに降りるが、タンクに入る直前のところにYバルブがあり、排泄物をタンクに入れるか、スルーハルから艇外に出すか選択できる。(注:アメリカでは排泄物を湾内・湖内は無論、外洋に面した海でも海岸から3マイル以内で海に棄てることは厳禁。このためヘッドを備えた大小あらゆる船艇は沖に出ない場合、排泄物はすべてホールディング・タンクに溜め、マリーナや港湾のパンプ・アウト施設=どこでも使用無料=でタンクを空にする。)
タンクからはパンプ・アウトのための管が伸びている。(* 下記註参照)
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このオーナーは方々いじるのが好きな人で、右舷にあるコックピット・ロッカーを広く使うため、通常ロッカー内にある手動ビルジ・ポンプを左舷クォーター・バースの隅に移した。また、エンジンのストッパーは使い勝手の点からコックピット内に出している。
それだけ利用可能スペースの広くなったコックピット・ロッカー内に特別発注の汚水ポリ・タンクを設置することを検討中という。タンクから下にスルーハル配管を付ける。排出許可海域ではスルーハル・コックを開け、禁止区域では閉じておく。タンクの位置が喫水線より高いのでスルーハル・コックを開けるとタンクは重力によって空になる。パンプ・アウトの手間もいらないというアイデアだ。
そうすればヘッド後方のスペースからタンク、およびYバルブ配管、パンプ・アウト配管が除去でき、同スペースのセイル・ロッカーとしての使い勝手が良くなる。
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後日註: 汚水タンクに入ったものはパンプ・アウトではなく、タンクから伸びた管から専用のスルーハルを通して海中投棄するようになっているようだ。
(写真はいずれもPSC製434艇中366番目 Scout です。)
⇒ USヤフー・フリッカ・グループ