2009年3月7日土曜日

タンバークのセイル・カラー

日本では血染め色という人もいる。英語では Tanbark (Tan Bark) 色だ。

欧米では根強い人気のあるセイル色。フリッカのようなクラシックなデザインのセイルボートに良く似合う。

ハイテクなルックスのレース艇こそがヨットだと思っている若い人は、古臭い外付けラダーにタンバークのセイルなどつけた時代遅れのものにどうして乗るのだろう、というより、そもそもこういうフネがなぜ現代でも存在しているのか、と疑問に思うかも知れない。実は筆者が昔そうだった。




ところがフリッカに限らず、クラシックなハルの艇に乗ってセイルしてみると、レース艇、軽量艇とは別の面白さ、使い方、楽しみ方が理解できる。どちらの方が良いというものではなく、コンセプトがちがうのだ。滑降を楽しむのにスノーボード派とスキー派がいるのと似ているかも知れない。両方の世界を楽しめる人も数多い。

本題から外れるが、フリッカはいつまでも飽きがこないデザインだ。マリーナを後にする時も振り返ってその姿を見ると引き返したくなる。




またフリッカを初めて見る子供たちは必ずと言っていいほど一目見て「かわいい、乗ってもいい?」と訊いてくる。海上では他の艇に乗っているゲストたちがカメラを向ける。高価な大型艇のオジさんたちも「いいフネに乗ってるな」とにっこりする。

フリッカには何か人の目や心をひきつけるものがあるのだろう。

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さて色がなぜタンバークなのか。タンとは樫の樹などの皮(バーク)に多く含まれているタンニン酸のタン。昔素材がキャンバス(つまり木綿)だった頃、セイルが腐ったりカビたりするのを防ぐため、生地がタンニンに付けられた。現代ではケブラー、マイラー、その他のレース用ハイテク・セイルを除き、殆どのセイルがダクロン製。タンニンにつける意味はない。クラシックなデザインの艇にはクラシックな色の帆が似合う、それだけの理由だ。

尚、ダクロン製はタンバークのセイルより白いセイルの方が長持ちすることは良く知られている。紫外線の吸収量のちがいが原因らしい。値段は素材に染めのプロセス(タンニンとは別の染料)が入っている分だけタンバークの方が高い。

(写真はいずれもPSC製434艇中、番数艇名未確認、1980年製、メキシコにいるフリッカです。)
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2009年3月6日金曜日

1980年製フリッカのキャビン

このフリッカのキャビンはいつも見慣れているものとは細かいところが少しづつ違っている。キャビン内を自分で仕上げたキット・ボート(オーナー・コンプリーション・ボート)のようだ。自分の好みに合わせ、良く考えて造ってある。

例えば少なくとも1980年代後半に入った頃まではアイスボックスのフタは一枚ものが普通。その後のものは真ん中からの二つ折り。この艇のものは珍しい6.5対3.5くらいの比率。

真ん中から二つ折りのものと違い、小さい方には取っ手がついていないが、大きい方の取っ手を掴み、フタ全体を後ろにずらせば、そこからも出し入れができるし、小回りが利き便利なのかも知れない。しかし要点は大きい一枚ものだと外してから置き場所に困るが、その不便を解消したという事か。






ポンプ式の蛇口は2本、海水用と清水用だろう。皿洗いには海水を使って仕上げだけ清水を使ったりする。

テーブルも変わっている。白色フォーミカのスタンダードではなく、クレイトを使い、エッジにはグルリと滑落防止用のストッパーが付いている。


脚もソリッドなティークの1本ものではなく、蝶番で二つ折りにできるようにしてあり、通常の取り外し式ではなく裏側に畳み込み式になっているようだ。

クォーターバースのクッションの下。普通ここは清水タンクになっている。そのスペースが二つに仕切った収納になっているようだ。カバーは通常この二枚分をマリーン合板一枚でカバーし、ネジ止めしてあるが、この艇では見ての通り、各スペースに孔を開けたフタを置いてある。







孔が開いていれば脱着がしやすいし、軽いという利点もあり、クッションを外した状態では風通しも良く、中も見えるので便利だろう。食品置き場か。清水タンクがどこにあるのか知りたいところだが、案外、キャビン・ソール(床)下のビルジ・スペースを利用しているのかも知れない。

クォーター・バース奥の合板のフタも気になる。

(写真はいずれもPSC製434艇中、番数艇名未確認、1980年製、メキシコにいるフリッカです。)
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2009年3月5日木曜日

プロペラ・アパチャー

初期の船外機仕様のフリッカには船内機仕様フリッカの様なプロペラ用に切り込んだスペース、アパチャーがない。

この1980年製の艇にはアパチャーがある。

1979年頃にPSCがハル・モールドを自社で作り直した時からこうなったのだろう。


この艇にはアパチャーはあるが、プロペラ・シャフト用の孔は開いていない。アパチャーのない船外機艇を船内機仕様に変えるのは大変だが、この写真の状態のものを船内機仕様に変えるのは可能で、実際にその転換をしたオーナーもいるという。

しかし、USヤフー!フリッカ・グループのオーナーたちの間では、船内機艇に乗っている人は船内機艇が良い、船外機艇の人は船外機艇が良い、と思っている人が多く、コンバート例は極めて少ない。しかしヤンマーが壊れたのを機に、船内機に比べ値段の安い船外機を購入して走る人たちは見受けられる。

アパチャーのない船外機フリッカのハルは [こちら]

(写真はいずれもPSC製434艇中、番数艇名未確認、1980年製、メキシコにいるフリッカです。)
USヤフー!フリッカ・グループ

2009年3月4日水曜日

船外機用燃料タンクの置き場所

フリッカは1980年代半ば以降、ヤンマーの船内機を搭載している艇が圧倒的に多いが、それまでは逆に船外機仕様のものが多いようだ。特に70年代生まれのフリッカにはそれが顕著だ。

コックピット最後方には燃料のポリ・タンクを置く場所が設定してあり、その上にファイバーグラス製のカバーを置くようになっている。

そのカバーはポリ・タンクの上に乗っかって納まるのではなく、両脇がコックピット・シートの壁に仕込まれた出っ張りに引っかかって水平にストップするようになっている。





このアングルからだと分かりやすい。










コックピット・シートの壁に仕込まれたこの出っ張り(レッジ)は、船内機仕様のフリッカでもそのまま残っている。⇒ [リンク先2枚目の写真参照]

これを利用してコックピット・ベッドのためのベースの板を置いているオーナーもいる。⇒ [シアトルのフリッカ]

(写真はいずれもPSC製434艇中、番数艇名未確認、1980年製、メキシコにいるフリッカです。)
フリッカ・ホームページ

2009年3月3日火曜日

スクロールワーク

フリッカのスクロールワーク(彫り込み)は葡萄の蔦のデザイン。スクロールワークはフリッカのクラスの旗印、 [バージー] にもなっている。フリッカ・グループの最初のニューズレターの名前もフリッカ・フレンズではなく、スクロールワークという名前だった。

殆どのPSC製では [バウの両側が大版]、スターン両脇はこの写真のように小版のものをあしらってある。





実はこのスクロールワーク、フリッカのデザインが発表された当時はバウ、スターンともに同じもの(大)を使っていた。初期自作艇や [ノー’スター製のフリッカ] 全20艇、およびPSC製でもノー’スターから引き継いだハル・モールドで造られていた当初の艇は全部そうだ。スターン両脇のものが小さくなったのはPSCでハル・モールドを作り直してから。(1979年の#054ではすでに大小のコンビになっていることが確認されているが、どの番の艇からそうなったのかは未確認。)

この艇ではフリッカのシンボルとでもいうべきスクロールワークをさらにトランサムにも大きく引き伸ばしてペイントしている。




尚、この艇はもともと西海岸オレゴンをホームにしていたが、4年前にトレイラーに載せられて大陸を横断、今はニューヨーク州をベースにし、フリッカが集まるフリッカ・ランデブーなどにも参加して東海岸の生活を楽しんでいるようだ。この様に海路にしろ陸路にしろ北米や世界をあっちこっちへ移動するフリッカは少なくない。

(写真はいずれもPSC製434艇中、203番 Destiny です。)
フリッカ・ホームページ

2009年3月2日月曜日

オーニング

ビマイニのように展開、折りたたみはできないが、ブーム・テントも日除け雨避けに良く使われる。

オーニング(テント)で手っ取り早いのはブームに載せて家の屋根のようになる [屋形ブーム・テント]




同じブーム・テントでもこのフリッカのように骨が入っていてアーチ型になるものは機能的にも優れているし見た目も良い。

オーニングには [方形] のものもある。方形の場合、ブームにサポートされているわけではないので単にオーニングと呼んだ方が理にかなっているようだ。

ロサンジェルスのマリーナ・デル・レイから出航すると、サンタ・モニカ湾に出る。そこは波は殆ど無いが良く太平洋のうねりが規則的に寄せて来る。










南カリフォルニアはサンフランシスコ湾に比べ風は弱い。しかしSF湾では帆走シーズンがはっきりしている。夏は他の何処よりもセイリングに最適なSF湾だが冬は風が無く雨が降る。このような写真を見ると、昔12年間居た、年中セイリングの可能なLAが懐かしい。

(写真はいずれもPSC製434艇中、047番 Kara Du です。)
USヤフー!フリッカ・グループ

2009年3月1日日曜日

ビマイ二

これはメイン・ハッチの上に付いているが、スプレイ避けのドジャーではない。

見てのとおり、ビマイ二だ。ビマイ二はオーニング(テント)の一種で、ドジャーのように折りたたみ式フレームが付いている。



通常メイン・ハッチの上はドジャーでカバー、ビマイ二はその後方、コックピットの上をカバーする。





が、このフリッカのようにコンパニオンウェイの上をカバーしても何もおかしくない。オーナーのニーズに応じて好きに付ければ良い。直射日光を避けるのが一番の目的だろうが、マリーナやアンカレジでのリラックス時、フロリダ特有のにわか雨に襲われてもこれなら平気だろう。

帆走中の写真には写っていない。撮った時期がズレているのだろうか。















(写真はいずれもPSC製434艇中、187番目 Seabound です。)
フリッカ・ホームページ