さあ、作業にとりかかろう。
ガラスを外すためにまずシリコン・ラバーのガスケット(パッキン)を外す。
最初は溝にねじ回しの先を差し込んで少しづつジワッジワッと起こして行くが、出てきたところを上につまみ上げれば後はいとも簡単に外れていく。
ガスケットの張ってある面が、雨風に晒されるキャビン外側になる面だ。
左が外したガスケット。
断面は約10mm四方の角型だった。
尚、同じ長方楕円形(陸上競技場のトラック形)ポートでも、80年代後半のファクトリーでは断面直径約1/2インチ(12.7mm)の円形のものを使用していたようだ。
ポートが長方形の90年代の艇ではどのようなガスケットを使っていたのだろう。
次にガラスをフレームに装着するための内枠(写真真ん中のブロンズ製のもの)を外した。
内枠は小さいポートではビス6本、大きいポートでは同8本で留めてある。
緑っぽく見えるのは緑青。湿気に晒された部分だ。ちょうどポートを閉じた時、下に来る部分。
その部分の拡大。
ビスはブロンズ製ではなく、ブラス(真鍮)製。
同じ銅合金とは言え、真鍮は弱い。この部分2本のビスはヘッドに加え内枠に入っていた部分が殆ど赤くなり腐食していた。フレーム自体に入った部分は折れて残っている。
埋まったままのビスの残りは特殊な工具で取り出すことができるが、小生の場合、その上からドリルで孔を開けるようにして取り出した。
ビスは今回全部シリコン・ブロンズ製のものに取り替える予定。
最後にガラスを外す。
大きいポートライトも同様に分解。
こちらのビスは8本とも殆ど腐食は見られなかった。
ガラスの曇りも殆どない。しかし、ガラス周辺部に気泡のようなものが目立つ。これもラミネート劣化現象だろうか。
とにかくこの機会に全ポートのガラス、ビス、ガスケット、全てを取り替える予定だ。
外したガラス大小各1枚の断面。
いずれも厚さは1/4インチ。
この現物をガラス屋さん(複数)に持ち込んで見積もりを取る。
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ポート(船窓)には開閉式と固定式がある。どちらも壁に開いた孔(ポートホール porthole)にガラス、レキサン、プレキシグラスなどを嵌め込んである。
ポートホールに直接嵌め込むガラス類そのもの、またはポートホールに押し付けて閉めるようになっているガラス類を嵌め込んだ蝶番付き窓枠のことをポートライト(portlight)と呼ぶ。
固定式ポートライトを特にデッドライト(deadlight) と呼んでいるのをよく見聞きするが、どうもそれは間違った使い方のようだ。開閉式とか固定式とか区別したい場合、opening portlight、fixed portlight のようにその旨指定して呼ぶのが正しいという。
また単にポートライトと省略すると一般に固定式のものを指す場合が多いという。ということは開閉式であることを特に明記したい場合、必ずオープニング・ポートライトと修辞することが必要ということだ。
尚、デッドライトと言えばポートライトの金属製カバーを指す ⇒ [閉じたデッドライト]、[開いたデッドライト(上に開いた金属製のカバー)]。
セレニティーの場合、どのポートも開閉式。表題は上の定義からすると、オープニング・ポートライトの交換、と呼ぶのが正しいことになるが、それだとブロンズ製の枠も交換するように聞こえる。ガラス(レンズと呼ばれる)の交換ということを強調したいので、ここからは表題をオープニング・ポートライトのレンズ交換にすることにした。
(写真はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity 関係のものです。)
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