パシフィック・シークラフト071番艇 『ターン』 は1979年製だが、一見してバウスプリットとプラットフォームは作り直したもの。
バウスプリットをデッキに留めるスルー・ボルトはPSC艇初~中期の3本式。
SSプレートは少し幅広のものに変えてある。しかもプレートとバウスプリットの間にはティーク板を挟んである。
バウスプリットの根元を見ると、スプリット両側に装着したプラットフォームが [PSC製スタンダード仕様] に比べ前に約15㎝移動しているように見える。
しかし、良く見るとSSプルピット・レイルを装着したプラットフォーム自体、手前のデッキ側を約4cm、先端の方を1cmほど落として短くしてあるようだ。
単にプラットフォームの取り付け位置を前にずらした距離は10-11cmのようだ。(スタンダードのスプリットではプラットフォームの付いていない角材の部分が先端部に12-13cm位残っている。)
前に移動させた理由は判然としないが、案外、バウ先端部ティーク・レイルの手入れをしやすくしたかったということかも知れない。
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プラットフォーム右舷側手前に装着してあるのは [チェイン・ストッパー]。錨泊中、チェインが風波の影響でピーンと伸びた時、デッキ上でチェインが引っ張られ、ウィンドラス、ハウザー・パイプなど、チェインと直接コンタクトしているデッキ装着品が損傷するのを防ぐのが主目的の品物だ。
チェインはチェイン・ストッパーの中をインボード(デッキ)方向には走れるが、アウトボード(アンカー)方向にはストップされて走れない。
[アンカー・スナッバー] や [ブライドル(ページ下の写真)] を使用しない艇ではこれだけはセットしておいた方が無難かも知れない。
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USフリッカ・グループのメンバーには、このチェイン・ストッパーが揚錨時、大変役に立つという人がいる。60代後半の人だが、体がきつい時はハウスの前に腰を下ろし、ハウスを背もたれにしながらチェインを2-3フィート引いたら休み、また2-3フィート引いたら休む、というようにゆっくりしたペースで揚錨するそうだ。
仮に手を放しても引き揚げたチェインがアンカーに引っ張られて海に戻ることがないので、水深のある泊地では特に重宝するという。手動ウィンドラスを付けるより余程良いらしい。
(写真はいずれもPSC製434艇中071番 Tern です。)
⇒ フリッカ・データベースにある同艇の紹介