1979年製のこの艇は全部がPSCファクトリー製ではなく、オーナー・コンプリーション・ボート(キット・ボート)だったようだ。
全6個のポート(窓)中、両弦とも前2個はそう遠くない昔、開閉式ブロンズ製に交換されたようだ。左舷後ろの一番大きいポートは開かない。1979年にはこういうポートもオプションだった。右舷の同ポジションのポートは開閉式だそうだ。後付けのブロンズ製か、79年当時のプラスチック製かは残念ながら写真がないので不明。
シーリング(天井)は板張り。Vバース上の収納は手作り。
ギャリー外側(サイド・デッキ下)のカボード・ドアは白いメラミンで仕上げられている。
シンク左のスペースにはスタンダードの非圧式2連アルコール・コンロの姿が見えない。埋込式のコンロがないということは、その部分も収納になっているのかも知れない。
マスト下の分厚いアーチ部分も板で葺かれている。
手前がアーチ梁でうまくカバーされているので良く見ないとその分厚さが分からない程。前方に僅かに見えるフォアワード・ハッチとの段差でその厚さが分かる。木のアーチ梁の手前にはVバースを仕切るカーテン用レールも装着されている。ヘッド(トイレ)はVバース下にある。オープン・レイアウト型のインテリアだ。
初期の1979年製なので左舷ギャリー前端部にコンプレッション・ポスト(柱)がなく、オープン・レイアウト型の面目躍如という感じだ。とても20フィート艇とは思えないスペース。
生活のにおいがする。リブ・アボード艇だ。
この年代の艇は配電盤やVHFその他のエレクトロニクスが右舷クォーターにある(個室ヘッドがないのでその部分もオープン)ので、左舷クォーターにフライパンなど調理用具がぶら下がっていても不都合はない。しかし、このままでは帆走時にチンドン屋になりそうだ。
テーブルの高さはスウィングして畳んである [この艇の白いテーブル] と比較するとちがいが分かる。脚も大きいスタンダードの脱着式と違い、小型の張り出し型。
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オーナー・コンプリーション・ボートはオーナーの好みが出て興しろい。使えそうなアイデアが見つかった時はうれしい。一方でファクトリー・コンプリーション・ボートは中庸をとってなかなか良く出来たデザインだと感心することが多い。
いずれにせよ、どの艇もオーナーの代替わりの度に、いつも何かが少しづつ変わっていくのかも知れない。
(写真はいずれもPSC製434艇中109番 Mithril です。)
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