2010年9月12日日曜日

船内機プロペラ・シャフト用の孔開け

自作フリッカの [レッド・ラスカル] のオーナー、ロバートは、無論自分でハルのスターンにプロペラ・シャフト用の孔を開けた。

手順の概略は以下のとおり。

1.まず、直径1/4インチのドリルでハルにパイロット・ホールを開ける。外側と内側から掘って中間で貫通させる方式で孔を開けたそうだ。孔、つまりトンネルの長さは約11.5インチという。

何といってもエンジンとのアラインメント、そして外側と内側から掘り進める孔のアラインメントがぴったり合うことが肝要。片方だけからの掘削ではもう片方を狙ったところに出すことは極めて難しいという。

(孔の傾斜角、つまりプロペラ・シャフトの傾斜角はエンジン・メーカーと確認しておく必要がある。)

2.ハルの内側からホール・ソーで下のデモンストレーション写真のような木のプラグがはまるくらいの穴を開ける。

鉄棒の左下にプラグ、右上にホール・ソーが見える。







3.パイロット・ホールにハルの外側からホール・ソーを付けた鉄の棒を通す。内側は前述のように穴に差し込んだ木のプラグで支える。この鉄棒がガイドになり、ホール・ソーがまっすぐ進むという訳だ。ホール・ソーの掘削はハルの外側から行う。

(ホール・ソーが付いた方の鉄棒のエンドを電動工具に差し込む。)

外側からホール・ソーで掘削を進めている様子。ホール・ソーは直径1.5インチ、長さ3インチのものを使用。




4.ホール・ソーの孔が両側から貫通し、ホール・ソーやプラグ、鉄棒を引き抜いた後も、言ってみれば円状に掘削された部分の円の中の部分はまだハルに入ったままで、抜けてこない。それを改めて直径1.5インチのドリル・ビットを付けて掘削して出す。貫通したトンネルは直径1.75インチになるそうだ。

5.トンネルにコーキングを塗り、カーボン・ポリマー製のシャフト・チューブを差込む。

カトラス・ベアリング、プロペラ、ジンクなど付けて完成したところ。

シャフトの直径は1インチ。





下のリンク先のPSC製ハルではハルからシャフトの出てくる部分が突き出ているが、その部分トンネルが長くなるのか、またはこの自作フリッカでは突き出た部分もカバーするようにキールを作っているのかは不明。

尚、レッド・ラスカルのハルは木製のストリップ・プランキングの両面にファイバー・グラスを積層したものだ。このトンネル掘削作業をソリッドなファイバーグラスの [PSC製ハル] で行うのはもっと難しいかも知れない。

PSCではどうやっていたのだろう。船内機仕様のオーダーを受けた場合、あらかじめハル積層時にトンネルを作り込んでいたのだろうか。

(写真はいずれもカリフォルニアの自作フリッカ Red Rascal です。)
USヤフー・フリッカ・グループ