アメリカ・ワシントン州シアトルの近く、ポート・タウンゼントで売りに出た1982年PSC製フリッカ。US$17,500 という値段のせいか、1週間もせずに購入希望者が現れた。
このフリッカも良く観るとなかなか個性がある。
マストは当時のファクトリー・スペックだったキニヨン社製のアルミ・マストではない。色からしてスプルース材のようだ。また、ブームが長い。そのブーム中央上にはハルヤード用のブロックが見える。これらの点からガーフ・リグだと分かる。しかしシュラウドは各舷3本のマルコーニ型。ガーフ・リグのマストは低く、スプレッダーがないので3本ともマスト上の同じ場所から引いているのだろう。
セイルを揚げていない時にブームを支えるブーム・ギャローズはガーフ・リグでは必須だ。この艇の物は柱2本を逆V字に立てる単純な仕掛け。スターン・プルピットのパイプ上にどのように装着してあるか知りたいところ。
アミッドシップ、チェインプレイトの間にはレール上にクリートが2本連続で装着してあるのが見える。通常はチェインプレイトよりも船尾側、船幅の一番広いところに1本つけてあるのが普通。この2本の使い勝手はどうなのだろう。
尚、ハッチはフォア、メインともファクトリー・オプションのティーク製。
フォア・デッキ中央にはスタンダードのブロンズ製クリートではなく、いわゆる十字型のサムソン・ポストを設置。
両舷のもやい用チョック外側にはティーク・レール保護のためラビング・プレートを仕込んである。
スターン中央のティーク板やエンジン・コントロール計器盤のカバーは手造りなのだろうか。
右舷側、エンジン・ストッパーのノブはラザレット内ではなく、コックピットから操作できるように外に出してある。
この写真右上、かろうじてプルピット・パイプ上にステップさせたブーム・ギャローズが見える。半円形の切り込みでパイプを挟んで立っている。
ブーム側がどうなっているのか不明だが、ブームの重さで立っているように思える。航行時は取り外すのだろう。
Island Maiden の木製ネーム・プレートはフリッカには珍しい。木製銘板を付けたフリッカにはトランサムの殆どをカバーする大きさの [日本のフリッカ] や、ピカチューという名の銘板を [スターン・プルピットに装着したアメリカの艇] がある。
(写真はいずれもPSC製434艇中番数不明、1982年製 Island Maiden です。)
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