コッパーコート(Coppercoat)という船底塗料。普通の船底塗料ではない。一度塗ると10年以上保つという実証済みのライフの長い船底塗料だ。秘密は銅(Copper)を長期間持続して溶け出させる工夫にある。
イギリスでメンテ中の#423キャラウェイ。オーナーのアンガスがそのコッパーコートを塗布した。
これは船台(スタンド、およびキール下の木のブロック)が当たっていた部分を塗布するため台を移動したところ。
色は鮮やかな赤とは程遠く、くすんだ赤。色成分を主成分の銅の色にマッチしてあるためだろう。
この [ビデオを見る] と分かるが、コッパーコートは普通の船底塗料と異なり、2パートのエポキシ・レジンと純度99%の銅粉を混ぜ合わせたものを塗布していく。
塗布する船底はクリーンでなくてはならない。以前の船底塗料は全て落とし、その後塗布時の付きを良くする為にサンディング。そしてサンディングで出たほこりなどの汚れも全て拭き落とし、クリーンにする。そこにコッパーコートを直接塗布するか、まず専用のエポキシ・バリヤーコートを塗った後に塗布する。いずれの場合もブラシではなく必ずローラーを使用し、コッパーコートは合計4コート(4回塗装)。
註: エポキシ・バリヤーコートは専用のものでなくても良いが、他社の製品を使う時はまず小さいエリアで相性をテストしてみる必要がある。
エポキシ・レジンだからキュアする時間は気温など塗布する時の気象条件に左右される。
作業にあたる人数も考慮し、一回にミックスする量を加減して作業していくことが肝要。
ミックスした後は銅粉が底に溜まりやすいのでバケツを良くかき混ぜる。かき混ぜた上でパンに小分けして取る。パンに小分けする量は、パンの底に銅粉が沈まないように少量。
1回で厚く塗ることは避ける。1コート目はまだハルの生地が見えるくらいでもOK。1コート目が指で触って少しベタ付く程度になったら、2コート目。コートとコートの間に余分の時間を置かない。塗り重ねるコートは少しピンク色に見えるのでどこを塗っているか判断しやすい。乾くとダークになる。
3コート目を塗り終わるとハルのジェルコート(またはその上に塗ったバリヤーコート)は全く見えなくなるが、それでも必ず4コート目を塗布する。余ったらさらにその上に塗布。
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キャラウェイの船底に4コート塗布するのに計5リットルのミックスを使用したそうだ。コッパーコート1パックの約半分は残ったので後日のために保管。
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塗布が完了すれば、後は時々ボトム・クリーニング(水中の船底をブラシなどで軽く擦る)、または上架時に軽くサンディングして、コート中の銅成分が水にさらされるようにする。最低でも10年(沖縄など海温が高いところでは8-10年)は保つという。環境基準で許されている最大の銅含有量のお陰だ。
尚、船底の色は歳が経つとこの銅成分のため緑青色に変化する。
(写真はいずれもPSC製434艇中423番目 Caraway です。)
⇒ フリッカ・ホームページにあるアンガスのブログ