俗にキット・ボート、正式にはオーナーが完成させる 『オーナー・コンプリーション・ボート』。
沖縄の頼丸もそうだが、オーナー・コンプリーション・ボートには、特にキャビン内のレイアウト、造作などユニークなものが多い。
本日の写真のフリッカは、ハルとデッキだけPSCから購入、インテリアは全部プロに依頼して造ったものだそうだ。
通常セッティーにあるところには向かい合って座れるテーブル。場所を取る個室ヘッドはない。
文字通りのV字型切り込みのついたVバースも目を引く。
天井はウッドの張り込み。
トリム、ビーム、ポストはティーク (*) だが、天井そのものはアッシ、バーチ、メイプル、ファー、イエロー・パイン、それともレッドウッド?(**)
マストの下部分には両舷ともバルクヘッドとポストが品良く仕込まれている。
ギャリーのアレンジはオーナー好みで、前に行くほど細くなる船幅のちがいを考慮して、大きめのシンクをアフトに、2口コンロはフォアに置いている。
ヘッドはポータ・ポッティ(簡易トイレ)だという。クォーター・バース、または、テーブルの下、フォアのベンチの中にあるのかも知れない。
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後記: PSCは1978年にフリッカを造り始めた当初からおそらく1983年頃までは、オーナー・コンプリーション・ボートを販売していた。完成度はオーナーの注文によって、ベアーのハルとデッキだけ、という状態から、いろいろ段階があったという。
完成艇の場合でもレール、ハッチ、コーミングの上などをティークにするか否かを含め、リグのタイプ、エンジン、ポート、クリート、セイルなど幅広いアイテムについてオプションがあり、さらに1983年後半くらいからデッキ・モールドのデザインや内装の変更、バックステイのコンフィグの変更などが加えられたため、フリッカにもいろんなフリッカがいる。
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* 後日註: トリム、ビーム、ポスト等はティークではなくホンデュラス・マホガニーだという。
** 後日註: 天井の張り込みに広く使われている板はファー(モミ)だそうだ。
(写真はPSC製434艇中、番数艇名未確認、1979年製のフリッカです。)
⇒フリッカ・ホームページ