2009年1月2日金曜日

ミキシング・エルボーの掃除

1GM10 のマニュアルによるとエルボーは250時間ごとにクリーニングするように書いてある。

これはエルボーとエンジン本体の間に挟むガスケット。ガスケットはメタル・コアの両面に銀パラ(スキーの銀パラではない)のコーティングを被せたもの。画面右が新品、左は使用済み。


外したエルボーのエンジン側取り付け口。フランジについているのは古いガスケットの銀パラ。エルボーの口から管内に厚さ5-6mmの油性カーボン(スス)が層になって付着している。エンジン稼動193時間でこの状態。


外したエルボーの出口側。層になって付着した真っ黒いススで分かりにくいが、内側の菅と外側の菅の間のスペースはまだ塞がってはいない。(写真をクリックして拡大すると分かりやすい。)






エルボーを取り外したエンジン排気口。

外したばかりなので排気口のまわりにガスケットの銀パラが付着したままだ。


排気口自体もエルボー同様、油性のススが層になって付着している。これも忘れず清掃・除去しなくてはならない。

エルボーから取り出したススの固まり。









煙突掃除屋のワイヤ・ブラシの小型版で行うべき作業だろうが、それがなかったので先ず先の平らな細身のドライバーを注意深くゆっくり押すような形で大部分のススを徐々に剥ぎ落とした。結構やりやすい作業だった。それを両方の口から行った後、ラニヤード(細紐)を両端から引っ張ってゴシゴシ、最後はタオルを両端から引っ張ってゴシゴシ。最後の点検で部分的に残ったススをまたネジ回しで軽くはがしてきれいにした。尚、紙の上、画面左の小さい山はフランジから剥ぎ落とした銀パラ。

清掃後のエンジン側取り付け口。

画面左は清掃後のエルボー、右はスペアとして購入してある新品のエルボー。






新品のエルボーがあると、エルボー清掃時の参照用としても役立つ。新品を見てその形状が分かれば、この部分はまだ力を入れてドライバーで掘り進めていいな、とか、エルボーの取水口の菅の内側のあたりは少し盛り上がっているので注意して作業しなくては、とか、参考になり、自信を持って作業をすすめることができる。万が一エルボー本体を傷つけてしまったり、腐食で空いた穴を発見したりした場合、新品の方を装着すれば良い。

清掃後の出口側。

画面右が清掃後のエルボー、左がスペアとして購入してある新品。今後もエルボーを約200時間毎(または2年毎、どちらか早い時期)に清掃してみる。尚、ガスケットは当然清掃時毎回新品との交換が必要。


(写真はすべてPSC製434艇中295番目 Serenity です。)
⇒Flicka20_Japan

2009年1月1日木曜日

ピントルの腐食

正月向けの話題ではないが、昨日のラダーとガジョン+ピントルのつながりでこの写真となった。

3組あるガジョン+ピントルのセット中、一番下の組。








約3年前南カリフォルニアで購入後、サンフランシスコに移して船底のブリスター処理その他、3ヶ月かけて大掛かりなメンテをした時の 『セレニティ』 だ。

こちらは手入れをする前の姿。










22年間、年中ロサンジェルスの南、ニューポートの海に係留されていたせいだろう、見てのとおりピントルの環が電蝕でボロボロになって一部がガラッと落ちてしまっていた。

原因は海中での異種金属の接触にあるのだろう。








ということで、ピントルを新品に交換時にピントルの環と特大ボルトのように見えるピンの頭の間に挟まれていたウォッシャーは除去してしまった。ガジョン、ピントルはともに一式シリコン・ブロンズ製。今度は何年持つだろう。ピントルやガジョンに円盤型のジンクをネジで装着しているフリッカも見かける。次回上架時にやってみようかとも考える。

(写真はすべてPSC製434艇中295番目 Serenity です。)
⇒Flicka20_Japan

2008年12月31日水曜日

ラダーのストッパー

フリッカのラダーは通常3組のガジョン+ピントルで外付けしてある。

ハルにメスのガジョン、ラダー側にオスのピンの付いたピントルがあり、上からピントルのピンをガジョンに差し込む。この写真に見えるのは一番上の組。喫水線あたりに2組目があり、3組目はプロペラよりも下のキールにある。ガジョン+ピントルはそれぞれ装着場所の形状に合わせるため、各組とも少しづつ形や大きさがちがう。




(尚、手前に吊り下がって見えるのは浮遊電流による係留時の電蝕防止のためジンクを装着しようとしているところ。これについてはまた後日。今日のところは無視されたし。)

一番上のピントルの底を撮ったのがこの写真。真ん中にネジ穴があるのが見えるだろうか。これはラダー底部が海底や、ロブスター・ポットを吊るしたロープなどに当たり、ラダーが衝撃で上に突き上げられ、ガジョンから抜けて流出してしまうのを防ぐための仕掛けの一貫。ピントル底部にガジョンの孔の内径よりも大きいウォッシャーを宛て、そのウォッシャーの孔を通してネジを差込み、ピントルにねじ込んで固定する。

ラダーは簡単に抜けても困るが、逆になかなか抜けなくても困る。強い衝撃を受けても抜けないようにするとピントルやガジョン、ひいてはハルやラダー自体を痛める結果になる。どのくらいの衝撃なら抜けないようにするか、微妙なところだ。ここに付けるウォッシャーとネジくらいがちょうど良いのだろう。ということでこの写真を撮った2、3週間後に 『セレニティ』 でもウォッシャーをネジ留めした。

(写真はいずれもPSC製434艇中295番目 Serenity です。)
⇒ Flicka20_Japan

2008年12月30日火曜日

ロックナット用レンチ

PSSシャフトシールをつけているフリッカはさておき、伝統的なスタッフィング・ボックス(パッキング・グランド=グラン・パッキン)式の艇では、当然定期的にロックナットを緩め、パッキンの入っているナットを締め込む必要がある。

実はフリッカではこの作業の所要時間の大部分は、スタッフィング・ボックスの上についているウォーター・ロック(マフラー)をアクセスのために外したり付け戻したりする作業にとられてしまう。後期(1990年代)のフリッカではオーナーたちからのフィードバックに耳を傾けたのだろう、ウォーター・ロックを少し前方にずらし、いちいち外さなくても良い位置に設置してある艇もある。

ウォーター・ロックは艇の中心線上につけるのが原則だから、フリッカの狭いスペース上、従来スタッフィング・ボックスの上にウォーター・ロックが来ていたのも納得がいくが、ほんの少しずらしただけで作業時間が10分は短縮できるはず。

話を本題に戻そう。ロックナットを緩め、パッキンの入っているナットを締め込む作業自体は比較的簡単で、道具(レンチ)にパイプ・レンチではなく、ロックナット用レンチを使うと、ものの3分もあれば仕事が終わる。

台所の流しの下の配水管のロックナット用などに売られている品物だが、このレンチ、薄いため、ロックナットとパッキンの入っているナットに各1本宛てフィットさせる時、レンチ同士が邪魔をせず楽だ。また、レンチがナットの二つの対辺にぴったりフィットして、レンチをナットの角にひっかけてつぶすようなこともなく安心。軽いのも利点だ。

中国製。日本でも売っていて既に使っている人がいるかもしれない。例:⇒ Locknut Wrench (Slip Nut Wrench)

(写真はいずれもPSC製434艇中295番目 Serenity です。)
⇒ Flicka20_Japan

2008年12月29日月曜日

小さなスペース活用のスパイス棚

フリッカはデッキ長20フィートという制限があるからスペースは有効に活用したい。その観点からインテリアのスペースを見ていくと、レンジの下の引き出しの箱とハルの間、など特にギャリー周りに隠されたスペースがあるのに気付く。 『キャラウェイ』 のオーナー、アンガスはそれらのスペースを積極的に利用してデッキ下の居住性を高めている。

シンクとレンジの前面は通常 [このページの写真] のように白いフォーミカで覆われ、せいぜい1990年代の艇でスタンダード、それ以前の艇ではオプションだった手すり(タオル掛け)がついている程度。いずれにせよ、その内側のわずかなスペースはいわゆるデッド・スペースになっている。キャラウェイではその部分を開閉式スパイス収納棚にした。引き出しのシルバーウェア(フォーク、ナイフ、スプーン等)のトレイも同時製作。

また、この写真のようにコンパニオンウェイの3段式ハシゴを取り払い、コーヒー・マグなどを収納できる据え置き型に改造したり、その後ろブリッジ・デッキの中をワイン・ボトル収納スペースにしたりしている。ウッド・ワークが本職の友人ベンジー(デイナ24のオーナー)の技術で、違和感のない仕上りになっている。





限られたスペースを品良く有効に使うような造りは昔の日本の職人だけの得意技ではないようだ。

尚、下のルーヴァー付きの扉は、特製階段(兼補助テーブル)を取り外さなくてもエンジン・ルームの中を覗いて冷却水ポンプにアクセスできるようにとの工夫。

(写真はいずれもPSC製434艇中423番目 Caraway です。)
⇒ Caraway

2008年12月28日日曜日

セイルボートの楽しみ方

このフリッカはハル番号が014番と初期のPSC製。写真のようにトレイラー付きで売りに出ている。マストのシュラウド用チェインプレートが各舷二つづつしかないから、ギャーフ・リグ艇だ。

オーナーのスティーブはアメリカ中西部ネブラスカ州在。山の中だ。普通は近場の湖でのセイルだが、直線距離でも片道1000マイル(1600km)はあるフロリダまで2回もフリッカを引っ張って行き、バハマ往復やフロリダ沿岸クルーズもしたことがあるという。

フリッカのオーナーにはアメリカ北部やカナダからフロリダまでトレイラーで引っ張っていく人は珍しくない。





ちなみにトレイラーでフリーウェイを引っ張って行く事を風を切って走ることからしゃれて 『真上り』 と呼ぶ人もいる。それができるのもフリッカの大きな利点だ。

ヘッドが個室ではなくVバースにある、いわゆるオープン・レイアウト型。エンジンは船外機仕様。




実はこのスティーブ、2年前サンフランシスコ湾のマリーナで我が愛艇 『セレニティ』 の隣の隣のスリップにいる36フィートのスループ艇を買った。ネブラスカから片道2、3日かけて車で来るからそうそう来れないだろうと思っていたが2年目の今年は6、7回は来てその度一週間から10日ほど滞在。一人の時もあるが、通常友人のカップルや、ワイフ、甥っ子、親父など、家族を連れて来る。

しかし一度海からの観光に機走で出かけた他は、各年1回これも機走で船底塗装塗りに出航しただけだ。要するにマリーナに浮かぶカリフォルニアの別荘として使っていてとても満足している様子。36フィート艇にした訳も納得がいく。

歳とともにフリッカのように小型艇に乗り換える人もいるかと思えば、大きい方に乗り換える人もいる。ボートも使い方次第だ。

(写真はいずれもPSC製434艇中014番目 Tortuga Azul です。)
⇒ リンク先で Tortuga Azul の More info をクリック

2008年12月27日土曜日

アクアドライブ(フレキシブル・カプリング)

1GM10は単気筒で振動が激しいのでシャフトとのカプリングをフレキシブルにしたいという人もいる。暴れるエンジンの振動が吸収されるのでエンジン稼動時に静か。かつ、カトラス・ベアリングやグランドの磨耗も防げるという。アラインメント(芯出し)に神経質になる必要もなさそうだ。

写真は [アクアドライブ] というスウェーデン製のフレキシブル・カプリング。大きく分けてスラスト・ベアリング、フレキシブル・ジョイント、ギア・ボックス(トランスミッション)との接合部、の3つの部分からなる。

これはアンガスのフリッカ 『キャラウェイ』 につけたもの。フリッカはスペースがタイトなので工夫してこういう形になったそうだ。




これは装着途中。専用バルクヘッドはファイバーグラスで仕込んだ。








このバルクヘッドはスラスト・ベアリングを取り付けるスラスト・プレイトと呼ばれるもの。スラスト・ベアリングはプロペラが回る時にプロペラからの押しの力(スラスト)を受ける。これがない艇ではスラストは直接トランスミッションとエンジンで受けていることになる。

それにしても上のアクアドライブ・サイトのエンジン振動デモの画像は大げさすぎかな。

(写真はいずれもPSC製434艇中423番目 Caraway です。)
交換の様子 ⇒ リンク先で [Flexible Coupling] をクリック